バランスを取り戻したベガルタだが

　ベガルタは泥沼の３連敗。４−０、５−０、１−０と、まあ一見状態がよくなったようにも見える（泣）。しかし、ある意味では今シーズン最も不満が残る試合となった。

　スタメンを見て、ベルデニック氏のいい意味での強情さに驚いた。どうしようもない２連敗を受けて、評価の高い若手選手たちを大量投入するのではないかとの噂もあったが、結果的には開幕戦のスタメンから代わったのは、負傷の渡辺に代わったべテランの原崎のみ。萬代までスタメンから外された。まずは信頼できるベテラン、中堅選手の起用を継続し、現行のメンバでチームを機能させるのが、長丁場のリーグ戦に向けて適切と考えたのだろう。この強情さは悪くない。悪くないのだが．．．

　さすがに、過去２試合の諸問題の多くは解決されていた。特にＭＦのしつこいチェックと、３ＤＦの連携が落ち着き、守備はようやく安心して見られるレベルになっていた（まあ、普通のプロフェッショナルのチームのレベルに復旧したとも言うべきだろうが）。特にガスパルが（ラインがやや深いのが気にはなったが）守備の中核として、安定したカバーリングを見せたのは大きい。

　失点場面のＰＫ。スローインの崩しからの売り出し中のウィングバック岡田の高速ドリブルに、森川が対応し切れなかった。ベガルタサポータとしては、「０−０の難しい試合であの程度でチャージでＰＫか」と愚痴を言いたくもなるが、取られてもしかたがないプレイだったのもまた事実。実はそのスローインに至るガスパルのプレイがやや淡白だったので、悪い予感がしたのだが、そこまで言うとややこしくなるのでやめておきます。

　問題は失点後。チーム全体から「どうしても点を取って追いつく、逆転する」と言う意思が伝わって来ない。萬代、中田と言った若手を投入し、攻撃の活性化を図るのは当然。しかしリスク覚悟で、最終ラインが押し上げるでも無し、前方に選手を増やすでも無し。結局、散発的に好機を掴むに留まり、そのまま１−０で押し切られた。

　コンサドーレの柳下氏が、無理をしてこないベガルタを見て、攻撃ラインの選手を入れ替え忠実に前線でチェックをさせて、ベガルタの反撃を防いだのは見事だったのは確かだが。ベガルタとしても、もっとやりようがあったはずだ。過去２試合は、反撃どうこうを語る以前にケチョンケチョンにされた訳だが、この日は互角の戦いを演じていただけに、終盤なすすべなく攻め込めなかった事には、物凄い不満を感じた。むしろ過去２試合の方が、大差がついてもとにかく１点でも取ろうと言うもがきは感じたのだが。



　以前も述べたが、昨シーズンベガルタは今シーズン以上敵との戦闘能力差がありながら、ほとんどの試合で精神的に充実し、あらん限りの抵抗を行った。それは感動的でもあり、サポータとして非常に誇らしかった。しかし、今シーズンは、とてもそうは思えない試合が続いている。そして、特に上記したように今日の試合の終盤は、気持ちが伝わってこなかった。

　シーズンはまだ長い。来週は全勝でトップを走るフロンターレをホームに迎える。チームとしてのバランスは取れてきた、厳しくも暖かいサポータの前で、まずは「勝つ姿勢」を見せて欲しい。