血沸き肉踊る試合だった。タイトルがかかったこの宿敵と、お互いノーガードでのぶん殴りあいを見る事ができるとは。ノーガードながら、お互い守り切るのだから、双方の最終ラインの気迫も素晴らしかった。 通常、日韓戦というものは「お互い負けたくない」と言う意識から、慎重な戦い方になり、双方ともチームバランスを崩さないようなジャブの打ち合いに終始するのが普通。ところが、この日は「勝たなくてはならない」日本が、人数が減ってしまった。そのため、後半から日本がオープンな無理攻めを展開、日本は日本で再三決定機を掴んだが、逆に韓国はスカスカのMFと無防備の左サイドバックをついて再三決定機を掴む。おそらく、過去にも未来にもない、「ぶん殴り合いの日韓戦」だったのだ。
本当に面白い試合だった。そして、本当に腹が立った。
全ては大久保のおかげである。
あの主審はJリーグのTVをを毎週堪能しており、大久保を退場するのを愉しみに来日したのかもしれない。しかし、2枚のイエローカードは現場で見ていても、改めてTV映像で見ても、「出ても仕方が無い」ものだった。あのホームの熱狂的な応援の中でさえも、自己顕示欲の強い主審ならば、安心して2枚のカードを序盤で切る事を迷わせなかった仕草でもあったのだ。
ここまで、日本代表に迷惑をかけた人間は珍しい。92年アジアカップ準決勝の松永、退場ではないが96年アトランタ五輪鈴木秀のPK提供に匹敵する愚行である(もっとも、松永の振る舞いに比較すれば、同情の余地はある、しかし、松永にせよ大久保にせよ、日ごろの国内リーグで同様の振る舞いを行った実績があるのだから、似たようなものだ)。今大会は「大久保のせいで負けた大会」と明確に記録し、末代まで語り継ぐべきである。例えば、今後全てのマスコミは、「03年アジア選手権で優勝を逸する原因となった大久保」と紹介すればよい。そうする事が、大久保本人にとっても、絶対にいい。
何故ならば、済んだ事は済んだ事だから、未来にこれを取り返す活躍をしてくれればよいからだ。今まで、何回退場になろうが、その品性が周囲から顰蹙を買おうが、それは既に取り返せない過去。今回反省し、今後、何度となく我々に歓喜を提供してくれるならば、私は許す。しかし、セレッソサポータと国見高校関係者以外の全てのマスコミ、いや日本人が、今回の大久保を糾弾し、それをはね返すくらいの活躍をしてくれての話である。
この試合については、別な場で論評しようと思うが、「ぶん殴り合い」の中で、色々な再発見があった。アレックスが使えない事とか、ジーコ氏の采配が駄目な事などと言った負の再確認はおなじみの事。しかし、素晴らしい正の再発見も多数。宮本の完璧なリーダシップ(フィールドを去る大久保に走り寄り激励、ロスタイムのヘディングなど、名場面多数)坪井が見事に金度勲を完封、ルイジ・リーバを髣髴させる久保の単独突破、そして何より、遠藤−小笠原−藤田−本山、いずれ劣らぬ創造的な中盤の名手たち4人の美しい攻撃。「おお、新黄金の4人」ではないか。
2003年12月10日
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