久保の一発は稲本の好パスから右オープンに抜け出した所で勝負ありだったが、ここまでの2つのプレイが伏線となった。
まず前半10分過ぎだったか、ロングボール(起点を見落とした、あの精度から言えば小野だろうか)から久保が2人のDFを抜群の肉体能力で抜き去り、軽率に飛び出したGKをもかわしてシュートした場面が1つ目(GKが好捕と言うより久保がシュートをコントロールしきれずGKに当ててしまった感があった)。これでチェコDFは久保の一瞬のスピードに完全にビビった。
さらに20分頃か、久保が落としたボールを受けたアレックスの横パスが、再び久保に。久保は左に出るフェイントから右に抜け出し振りの速いシュート、低い弾道が僅かに枠を外れた。これでチェコDFは左利きの久保には右足シュートのポイントがある事も伝わった。
ここまでの仕掛けが行われた後の右サイド抜け出しだったのだ。チェコDFは久保のスピードと右足を恐れ縦を切るしかなかった。そこでの悠然とした切り返し、そして究極の左足。ズド〜〜〜ン。ああ、気持ちよかった。
ハンガリー戦と言い、チェコ戦と言い、日本サッカー界がようやく前線のシンボルとなるプレイヤを、釜本以来実に約30年ぶりに確保しつつあると言っても過言ではないのではないか。
なるほど、カズは好機を逃さない多産系のストライカだったが、あくまでもチームメートが作った絶好機をつついてゴールに叩き込む仕事師だった。なるほど、原はゴール前の空中戦は強かったが、あくまでもチームメートが上げた好クロスが必要だった。
しかし久保は違う。ある程度よい状態で前を向けば、自ら独力で点を奪えるストライカなのだ。そして、その久保がワールドクラスのチェコ守備陣を手玉にとって得点を奪った。これは日本サッカー史においても分水嶺となる得点なのではないか。
楢崎は安定感のあるGKだが、この遠征で久々に代表ベンチに入った川口と比較すると、何か花がなかった。川口はアトランタ予選サウジ戦、アトランタブラジル戦、アジアカップ決勝サウジ戦などのように、「川口で勝った」歴史的試合が何試合かあるのに対して、楢崎にはそのような印象的な試合がなかったからだ。
しかし、この日は「楢崎で勝った」と言う記憶に残る試合となった。それにしても、終盤再三見せた神がかりのセービング、低いミドルシュートを一切ファンブルしない安定感。力任せに長身選手に合わせてくるロビングへの対応も問題ない。本当に素晴らしかった。
言ってしまえば月並みだが、今まで日本で最も苦しいポジションだったCFとGKが、ここまで確立してくると、元々MFを中心につなぐ選手は質量ともに豊富なだけに、存分に世界とも戦えるようになってくる。
ハンガリー戦に続いて腕章を巻いた藤田の運動量は鬼気迫るものがあったし、(後半消えてしまったのは残念だったが)前半の玉田の技巧もお見事、稲本も攻守に奮闘し久々によかった(ただ解説の武田氏は褒め過ぎではないかと思ったが)。そして田中誠が凄かった。坪井と茶野を頑張らせておいて、ここぞと言うときには自らがつぶしに入る。この3DFの即席連携を見るとJリーグの質の高さが証明されたような気がして誇らしい。
ただ一言苦言を呈するとしたら小野である。
全体的にはよい出来で見事なゲームメークを見せてくれた。守備も利いていたし、中盤で展開する様には風格すら感じられた。本人も納得する試合内容だったのだろう、好調時に時々見せる嬉しそうな表情(小野の「サッカー少年」を思わせるこの表情は見ていて本当にいい)を見せていた。終盤必死に同点とすべく奮闘するネドベドを「動」のワールドクラスとすらば、冷静沈着に中盤を展開する小野は「静」のワールドクラスと言う感すらあった。
しかし、だからこそ、この日前半序盤と後半半ばに見せたアレックスへの逆サイド展開がやや短く、チェコDFに引っ掛けられ逆襲から大ピンチを招いた場面が残念だったのだ。一層の充実を期待したい。
最後にここまで酷評を続けてきたジーコ氏にも触れねばフェアであるまい。
一言で言えば「どうしてこのような柔軟な采配を前からしなかったのか」と言う事だ。国内組で固めたハンガリー戦のメンバに海外組からは小野と稲本のみを加えるバランスの取れた布陣。無理に4DFに拘らないフォーメーション。疲労の見えた玉田や稲本の早めの交代。今までジーコ氏が「自分のやり方は違う」と拒絶してきた事を行っただけではないか。
今日のような柔軟な対応をしていれば、今日のように「よく考えた」対応をしていれば、オマーン戦もシンガポール戦も、あんな苦労をしなくてよかったのだ。
まさか中田、中村、高原の負傷離脱が、幸いしたとは思いたくはないのだが(もっとも柳沢をスタメンから外した事、疲労が見えてきた稲本を早々に交替させたは、従来の「ジーコ方式」とは間違いなく違うな)。
とは言え、今日の采配は無難極まりないものだった。チェコにアウェイでの勝利。素晴らしい実績だ。ここでご勇退と言うのは素晴らしい「男の花道」だとも思うのだが。
最近の論調は殆どこれ、食傷気味だ。<br />
何もジーコ万歳!!と言ってる訳でない。よいときは褒め、悪いときは批判する、これでよいのでは。<br />
もっと自然体でいけないかな。<br />
私自身、今までのジーコには批判的だったが、日本のサッカーもかっての世界的名選手に「選手の自主性に期待する」といわせるだけに進歩したかな、と素直に喜ぶ、といった反応もあってもいいと思う。<br />
少なくとも、何もかもがんじがらめの前任者のやり方(その当時は必要な部分もあったと思うが)に戻りたくはない。<br />
それではあまりにも情けないではないか。<br />
ただ、ジーコにはもっと日本語を覚えてほしい。話す努力をしてほしい。イタリア語は話せるそうだから。いくらイタリア語がポルトガル語と同じラテン系言語だとしてもだ。
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彼は所詮「お飾り」の方が良い仕事をするのであって、それは監督じゃなくて総監督とかテクニカルディレクターの仕事でしょう。<br />
ここから先は夢想のレベルだけど、日本に縁がある彼にWC2006日本親善大使のような役職をお願いし、ブラジルのためだけでなく日本のためにもベッカンバウアーとサシで話をしてくれる方が、よっぽど有益だと思えるんですが。
他のジーコ批判派もほとんど感情的で非難を繰り返してきただけに、文章もコントロールできずダッチロール状態に陥ってしまっている。<br />
武藤さんは、感情的でまず結論ありきのコラムを書いてきたことをまず自省すべきだし、そのことをコラムで公表するべきですね。<br />
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フォーメーション<br />
中盤メンバの構成<br />
調子の悪い選手を使わない<br />
疲れた選手を交代させる<br />
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どれもいわゆるジーコのやり方じゃないでしょう。(後半2つがやり方じゃないのがびっくりですが。。)<br />
「ジーコも学習してきたから様子を見るべきだ」<br />
なら言いたいことも分かります(賛同はしませんが)、<br />
しかし「ほら、やっぱりジーコはすばらしい」は、<br />
どう考えてもおかしいのでは。
前から一部で言われていたことですが、ジーコは怒らないと真価を発揮できないことしばしばです。プレーヤーとしてはその身体的な要素(技巧など)でこのメンタル面をカバーすることが出来ましたが、管理職としてはそうはいきません。常に結果が欲しい我々としては常に怒っていていただきたいのですが、そりゃ難しいとしか言いようが無いかな、と。(always山中鹿之助ですな。)
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個人的には、チェコ戦のような双方にとってテストの意味合いの強い親善試合で、監督の采配について評価するのは何か違うなー、という印象です。<マスコミ様、解説者様<br />
なぜなら、親善試合はあくまでも親善試合でしかなくて、監督の采配が入る余地がないと思われるからです。(うまくせつめいできずスミマセン)<br />
やはり、監督の采配評価をスルのはガチンコ勝負の本番においてのみ可能であるとおもいます。<br />
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では、親善試合は何のためにあるのか?<br />
私は選手を評価するためであると思います。(not監督)<br />
本番の舞台に立つために、選手が選別される舞台、それが親善試合であるべきなのです。<br />
だから、ジーコが親善試合であるにもかかわらず勝負にこだわりすぎて、選手選考を怠ったり、選手に機会を与えないと言うのは監督として失格な行為なわけです。<br />
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結論<br />
親善試合で結果を出した久保や玉田の頑張りが賞賛され、評価があがることはあっても、親善試合であるがゆえにジーコの評価が変わることは無い、いや、変えてはいけないとおもいます。<br />
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この一戦でジーコの評価が上向くことが私はいちばん怖いことであるとおもいますが、いかがでしょうか、武藤さん。<br />
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(拙い文章ご容赦ください)
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確かにこの試合での監督采配にはうならせる部分があったけれども,この試合はとにかく相手の準備・モチベーションがまったく万端じゃなかったことが総べてて,そりゃ相手がやる気なくて体調も悪けりゃ(そこまでではないが)勝てるでしょ,というゲームだった気がするので,これでジーコ監督の解任問題が避けられたかというと全くそうではないはずだと考えます。<br />
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この試合での采配が当てずっぽじゃないか否かはインド戦で見させてもらおうじゃないですか。
タイガースは世界一やー!
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コリンチャンスに勝った時はどう感じましたか?
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>本当は、武藤さんも「ぺルドン…」と言いたかったんだよね。<br />
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本当は、武藤さんも「ぺルドン…」といつか言いたかったんだよね。<br />
すでにそういう時期はすぎている。