2004年08月19日

快勝に悔しさがまたつのる、でも切り替えよう

 冴え渡る石川直宏。

 得意のタテ突破を何回か見せ、好クロスをしっかりと逆サイドに合わせる。敵がタテを警戒し始めると、中に切れ込みシュートを狙う。さらには中央から高松への完璧に近いスルーパス。このチーム最高の攻撃の創造主が能力をいかんなく発揮した。もっとも、山本氏はこれだけのタレントも駒の1つとしか捉えていなかったようだが。

 今更何を言ってもむなしいだけだが、私は年初の時点で、混迷極まる山本氏の「テストごっこ」の連続に、石川のみがレギュラを確保していると、状況を憂えた。悲しい事に、全体的には私は正しく山本氏の混迷はアテネ本大会まで継続し、部分的には私は間違っていて石川はレギュラを確保する事はなかった。これが逆だったらどんなに素晴らしかった事だろうか(無論、これは山本氏だけの問題ではなく、石川自身の問題でもあったのだが)。



 菊地が期待された潜在力を存分に発揮したのも素晴らしかった。大久保に合わせた鮮やかなラストパスを含め、度々見事な大きな展開を見せてくれた。この選手の評価は難しい。潜在的な素質は素晴らしいが、最終ラインの守備者としては再三軽率なミスをする事が多いからだ。もちろん、このあたりは経験の問題であり、DFとしてもこれからの選手なのだが。しかし、この選手の素質を考えるならばボランチとして試す価値は存分にありと思われた。しかし、菊地のMFテストは先日今野が負傷するまで行われなかった。どうせ、広範なテストをするならば、同僚のFW前田でなく菊地をボランチに試す機会は、いくらでもあった筈なのだが。



 もっとも、山本氏の戦術的なミスについては、もうあまり触れたくはない。氏の最大の問題点は、一昨日も嘆いたように戦略性の欠如、あるいは自己位置把握の不在だったのだから。



 このチームは本当に素晴らしい潜在力を持っていた。そして、その潜在力を前面に押し立て、優秀な選手を当たり前に並べれば、物凄い成果を収める事も可能だったのではないかと思うのだ。当たり前の準備さえしていれば、あれだけ強かったパラグアイにもイタリアにも、互角(あるいは互角以上)の戦いができたのではないかと思うのだ。その事を、日本にとって消化試合になってしまったガーナ戦で、再確認できてしまったのは、あまりに悔しい。サッカーを理解しているとプライドのある人間ならば「谷間」などと軽率な表現の使用はあり得ない。実に質の高い選手たちのチームだったのだ。しつこいけれど繰り返そう。私は悔しいのだ。



 もう終わった事だ。切り替えよう。

 悔しさに震えた選手たちは、皆ドイツを目指す。まずはインド戦に向けてのジーコ氏へのアピールが、君たちの課題だ。

 同世代の強力な戦友も復活を目指し再起している。未来は果てしなく明るい。
posted by 武藤文雄 at 23:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
五輪代表の試合を録画しました。<br />
石川はすばらしかった。<br />
それだけに彼を交代したのは<br />
不可解極まりない人事です。<br />
よっぽど松井が好きなんでしょうね。<br />
<br />
それにしてもウチのレギュラー(駒野)がガーナの選手に壊されました。<br />
こっちのほうが頭が痛い(泣)<br />
駒野out松井inだったほうが<br />
はるかに面白かったと思うんですが。<br />
まあ攻守のバランスもへったくれも<br />
無いんですけどね<br />
Posted by トラマ at 2004年08月20日 08:50
ボジョレーヌーボに更にボジョレーヌーボを継ぎ足す、永遠に足す。<br />
<br />
A代表とまるっきり逆の現象に成ってしまったのは残念、<br />
他国に比べ個が弱いなら組織としての熟成度は必要だったんでしょうね。<br />
<br />
カンフル剤としてユース組や怪我から復帰組、トゥーリオは良い働きをしてくれました、<br />
が、自分の好みでリベロにコンバートした青木や主将の鈴木啓太は…。
Posted by 古美根 at 2004年08月21日 00:01
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