2005年01月23日

日本、欧州間の移籍金問題

 最近、中田浩二、フィリップ問題を取り上げる事が多い。今日は、アントラーズとマルセイユの間でもめている?移籍金周辺問題について。



 本件についての私の理解は下記の通り。間違いがあったら指摘して下さい。

 

 まず欧州において、契約期間が切れた選手に移籍金が発生しないのは、国際標準でも何でもなく、EUと言う複数国家連合における地域的な規則。約10年前に、EUの裁判所の判決が基本となっている。例のボスマン判決である。

 そのため、多くのクラブは複数年契約の中途で選手を移籍させて、違約金の形態で移籍代を確保する。欧州では複数年契約の残存期間が短くなると「移籍金」が下がる傾向があるが、これは複数年契約残存期間で現保有クラブに将来発生する雇用費用に連動しているため。



 一方の日本の年齢や年俸で最大移籍金が決まる規則も、無論日本国内にのみ通用する独自の規則。Jリーグ黎明期に作られた規則だが、特徴的なのは最大移籍金が発行されると、事実上選手には無条件で移籍する権利が生まれる事(旧所属クラブの保有権は優先されない)。

 この移籍金は、現保有クラブの提示年俸とも連動するので、契約残存期間とは関係なく、現保有クラブが満額(なりそれに近い金額)を要求するのも当然である。

 

 規則が異なる国同士の移籍なのだから、双方の規則はいずれも有効とはならない。そうなると、ごくありふれた複数国間のビジネスとなる。

 つまり、アントラーズサイドはマルセイユに対し、(「将来海外移籍を承認する」と言う類の特別なオプション契約がないのならば)「国際移籍証明書」を発行しないと言うカードを見せながら、妥当と思える金額を請求する。この場合、日本風のナニワ節としての「過去の功績と、中田浩二の海外への夢」も考慮に入るかもしれない。さらに将来の帰国後の優先権に関する要求もありか。

 一方、マルセイユのフロントは、現監督が「中田浩二が欲しい、彼が獲得できればこれだけの成果を上げる」と言うコミットとのバランスをとりながら、いくらまで出せるかを提示する。



 したがって、アントラーズと中田浩二の契約期間が切れたからと言ってマルセイユは無料で中田浩二を獲得できる訳ではないし、アントラーズは日本の規則による移籍金を満額もらえる筋合いでもない。あくまでも、双方の交渉で移籍金は決まるものである。

 最悪、交渉がもつれた場合は、FIFA?の裁定を仰ぐ事になるのかもしれない。ただ、これまた通常のビジネスでは当然の事だが、交渉がもつれたと言って裁判まで行っていたらコストがかかって仕方が無いから、どこかで落し所を探す事になるのが普通。



 私の理解は以上。



 私は日本のトッププレイヤが欧州でどんどんと活躍して欲しいと考えている。一方で、Jの各クラブが健全な収入を得る事も望んでいる。双方のバランスが取れる事を期待する。しかし、そのバランスが取られないならば仕方が無いと想う。その場合は、中田浩二は次の機会を目指すべきではないか。そうならない事を望んでいるのだが。
posted by 武藤文雄 at 22:57| Comment(12) | TrackBack(1) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
良く分かりませんが、欧州では契約期限の切れたプレイヤーの国際移籍証明書を発行しないチームに何かペナルティーがある、あるいは証明書なしに移籍できるのでしょうか。そうでないとしたら、そこで移籍金が事実上取れてしまうと思うのですが。<br />
<br />
更にアントラーズが移籍証明書を発行しないとごねて交渉するという手段がなかったとしましょう。この場合、双方に共通のルールが存在しないとすると、日仏どちらかの法律に基づいて移籍金が取れるとする規定があり、かつその規定が国際私法上適用ある法律として認められない限り移籍金を取ることは難しいように思います。
Posted by Unknown<br> at 2005年01月24日 00:57
現行ではEU内のみのルールではなくFIFAのルールになっています。
Posted by Unknown<br> at 2005年01月24日 11:56
FIFAのルールというのは、日本のクラブを拘束するのですか?
Posted by Unknown<br> at 2005年01月24日 12:26
・・・拘束出来なければ何の為のルールですか?
Posted by Unknown<br> at 2005年01月24日 12:28
FIFAがなに決めようが、JFAがその規則を承認しない以上、日本国内においては適用されるわけないでしょう。日本は独立国家で、アントラーズはJFA所属のクラブです。FIFAに提訴されたときに負ける可能性が高くなるというだけ。<br />
<br />
それにしても相変わらずこのBLOGは動作不安定だなぁ。武藤さん、なんとかなりませんか?(データが多いだけに余所に移るといっても大変でしょうが)
Posted by masuda at 2005年01月24日 19:54
広山がジェフから強引に欧州へ移籍したときは、確か無償だったんでしたっけ? まぁ最後は「選手」次第というところなんでしょう。<br />
 あと、当然FIFAの拘束力は日本であるでしょ?
Posted by いつも通りすがり at 2005年01月24日 21:08
国際移籍に関しては当然FIFAルールに則らなければいけません。これだけ海外移籍が活発になってきた以上、Jのローカルルールである契約終了後の保有権も廃止すべきでは。複数年契約が増え、クラブの負担は増しますが、このままだと第3の広山、中田浩がまた出ますよ。移籍金なしで中心選手に出て行かれてはクラブもたまったもんじゃないでしょう。
Posted by スペインより at 2005年01月24日 21:52
海外クラブから引き抜かれる選手がいるクラブがうらやましい。<br />
グランパスにはいない。<br />
<br />
おっと、本田を複数年契約に変更せねば・・・(笑)<br />
<br />
しかし、トルシエ氏の悪霊はいまだに祟っているとしかいいようのない中田の移籍話である。<br />
彼が監督でなければ、この移籍は考えられないよなぁ・・・。ほんま。
Posted by U−40 at 2005年01月24日 22:21
>>masuda<br />
FIFAルールは法律<br />
ローカルルールは条例<br />
Posted by Unknown<br> at 2005年01月24日 23:18
>FIFAがなに決めようが、JFAがその規則を承認しない以上、日本国内においては適用されるわけないでしょう。<br />
いつも舌鋒鋭いmasudaさんらしからぬ凄い論法ですね。その論法で行くと、たとえば日本国がある法律を制定しても、東京都がそれを承認しない限り、東京では当該法律が適用されないことになってしまいます。JFAもFIFAに加盟してますから、日本国内にとどまらない事案についてはFIFAのルールに拘束されます。
Posted by 一応法律は専門 at 2005年01月25日 22:14
JFAはFIFA日本支社ではありません。国際連合がなに決めたところでそれ自体では拘束力を持たないのは周知の通り。<br />
>FIFAルールは法律<br />
>ローカルルールは条例<br />
というのは現実に即した例えではありません。<br />
<br />
たかだか国際連合程度の組織が権威と権力ある機関と勘違いさせてくれるのは「ワールドカップ」という強力なカードを持っているからです。そのようなカードを持たないIABFやFIBAは全く力を持っていませんし、ワールドカップの権威が下がり、経済力でのヨーロッパ絶対優位が確立されてからはFIFAの地位も相対的に下がっています。FIFAは尊重すべきでしょうが、100%従わなければならないというものでもありません。(この辺は武藤さんも述べている通り)
Posted by masuda at 2005年01月26日 12:13
FIFAに所属するNFはFIFAの規約にしたがわねばならない決まりです<br />
ですがFIFAはNF内の争いに関知しないというルールがあります<br />
今回のような2つのNF間での問題ではFIFAの裁定に従わねばなりません<br />
<br />
ですがFIFAの規約よりも裁判所の判決の方が効力を持ちます<br />
最近のヨーロッパがFIFAの決定に従わないのはこのケースです<br />
ですから日本も裁判をして判決を出せば従わなくてもいいと思います<br />
そうでないなら従わない場合はなんらかのペナルティがあるでしょう<br />
Posted by Unknown<br> at 2005年01月27日 13:54
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Excerpt: ■KET SEE BLOGさんのところで中田浩二移籍問題について続報がありました。そこから飛んで blog武藤文雄のサッカー講釈さんも参考に。 ■中田浩二の選手の話について、サッカー超ド素人の浅はか..
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Tracked: 2005-01-01 00:00