2004年03月08日

頂点監督批判者の底辺監督振り

 昨日は5チームで争われる地域の少年大会が行われた。私が担当するのは従来3、4年生だったが、今回は新人戦と言う事で、4年生は上級生チームに昇格し、2、3年生の担当となった。結論から言えば、昨年4年生が少なかったため試合経験が豊富な3年生が多い我がチームの優勝。

 「少年サッカーは勝つ事が目標ではない」ので日々目先の勝利を目指す指導はしていないつもりだが、「常に勝利を目指して創意工夫する」のはサッカーはもちろん、人生全てにおいてとても重要なはず。そう考えると、優勝した時の子供達の喜びを見るとやはり嬉しい。



 ただいつもいつもの悩みだが、できるだけ多くの子供に出場機会を与え、しかも勝利を目指す矛盾の解決は悩ましい問題だ。この日も3試合中、最初の2試合は全員を出しながら勝つ事に無事成功したが、最後の決勝は全員出場は叶わなかった。子供達も決勝だけはベストで戦いたいとの意思表示もあった事もある。しかし...

 Sは小柄でお世辞にも運動神経がいいとは言えないが、サッカーが大好きな明朗な子だ。少年団に加入した当初は、飛んでくるボールを逃げているような子だったが、最近は上級生のドリブルにも激しいタックルを見せるなど、ガッツあふれるプレイが持ち味。この日も最初の2試合ファイトを前面に出したプレイを見せてくれた。けれども、決勝はSを中々使う事ができなかった。Sの得意ポジションは右バックなのだが、敵の左ウィングが俊足巧技、正直言って足が速いとは言えないSを使ったら再三突破を許しそうだったから。試合がもつれているだけに、他のポジションでの起用もはばかられる。

 しかしSは粘る。前半最中から私の横に来て「ねえ、僕も試合出たいよ、出してよ。」さらにハーフタイムに交替と作戦を指示されるも、後半からの出場者に自分の名前がない。すると、私に対して「ねえ、どうして僕は出れないの?」と聞いてくるから辛い。フィールド内でも外でも、中々のファイタなのだ。

 試合終了まであと3分程度のところで、我がチームは3点差にする事に成功、私はSをフィールドに送り出した。Sは本当に嬉しそうに走り出した。優勝の瞬間、Sの飛び上がっての大喜び振りに私もやれやれ。

 ごめんよ、S。私も悩んでいるのだよ。

 

 選手から見たよい監督の条件とは「自分を使ってくれる事」だと言われる。いや、本当にその通りです。よくわかりました。頂点をからかうためにも、底辺の監督経験はとても重要だと改めて理解した。そして頂点でも底辺でも、勝利監督のコメントは決まっている。

「私は選手達を本当に誇りに思う。」

 みんな、本当にありがとう。私も嬉しかったよ。
posted by 武藤文雄 at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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