2007年01月30日

15番の思い出

 森本がセリエAで初得点を決めた。

 カターニャと言うあまりなじみのないクラブに加入し、まだユースでプレイしているのかと思っていたのだが、トップにデビューしいきなり初得点を決めたようだ。さっそく各種情報が要領よくまとめられたこちらは便利だな。この選手はJリーグでのデビューでいきなりジュビロの山西をまたぐフェイントで悩ませ、初得点を決めた時は位置取りの駆け引きで(当時)ジェフの茶野を出し抜いた。僅か15歳でJにデビューした事そのものも凄かったが、もっと感心させられたのは、そのあくなき前進意欲。常に前に行こうとする意欲、それも単にゴリ押しではなく、技巧を活かしながら強引に前に行こうとする意欲が素晴らしかった。さらに、敵陣に入るあたりで、しっかりと駆け引きできる冷静さにも感心させられた。

 その若者が早々にイタリアに飛んだ。その判断、意思決定が妥当かどうかは結果が決める事。ただし、10代半ばで「本場」に飛び、ワールドカップ出場を除く全ての栄光を掴み尊敬を集める男が日本にはいるのだよね。そう考えると、「その意気やよし」なのかなとは思っていた。

 で、その初得点。映像を見るやに興奮した。これはストライカだ。あの右サイドからクロスを上げた選手がどこまでの意図を持っていたのかはよくわからない。とにかく、あのクロスが上がったスペースに、少しタメを作っておいてトップスピードで入ってきてDFを振り切ったところからスタート。斜め後方からの浮き球と言う難しいボールを、とにもかくにもしっかりとコントロールしたのがまず素晴らしい。次にシュートを阻止しようと身体を寄せてくるDFを、腰までしっかり入れて肩でブロックして吹き飛ばしたのには感慨。その上でそのような外乱を防いだ後、利き足の右で強いボールを蹴る事ができる場所にボールを置き直す(この「置き直し」が、この見事な得点でもっとも重要にも思える)。そして、その2つ前のプレイで着実にトラップしたボールを、悠然とインステップキックで強烈に蹴り込んだ。

 何とまあ、あざやかな得点である事か。この森本と言う若者が、並々ならぬストライカの素質を持っている事は間違いない。まだ「素質」と言うしかないのだけれども。



 そして、何より嬉しかった事は、この若者の背番号が「15番」だった事。今を去る事、30数年前だろうか。とにかく得点を取る事のみを考えていたあの偉大なストライカは、日本代表に入ると、いつも「15番」を付けていたなと。
posted by 武藤文雄 at 23:04| Comment(2) | TrackBack(1) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
森本の15番はイチローの51を反対にしたものだとか。<br />
<br />
それにしても18歳でセリエにデビュー。<br />
そのデビュー戦で起死回生の同点ゴール。<br />
いやはや、ちょっと信じられないような話ですね。<br />
プレーも大器の片鱗を感じさせてくれる物でした。<br />
下の世代には柿谷みたいな素材もいますし、<br />
暗雲垂れ込めていたように感じた日本の未来に、<br />
少し光が差し込んできた…かな?<br />
<br />
PS.自分も森本には某キングの臭いを感じます。
Posted by ROM男 at 2007年01月31日 01:37
力強さに、釜を見ていますね?<br />
確かにあのくらい強く育って欲しいですね。
Posted by sociton at 2007年02月01日 13:38
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