ブラジル戦について、とりあえず前半に関する講釈。
それにしても面白い試合だった(以降「左右」は全て日本から見てとする)。
開始早々のブラジルの高速展開にまず恐怖感、キックオフ以降しばらく日本はボールに触れない。ところが日本も負けていない、一度ボールを奪うや、小笠原、中田、中村、柳沢での高速展開、最後小笠原がフリーで前を向き、加地へ...何と美しいノーゴールだ。
これほど美しいパス回しからの得点は、トップレベルではそうは見られない。アルゼンチンが時々ワールドカップ予選で見せてくれるくらいかな。あれがオフサイドだったかを議論する気は無いが、あれだけ美しい得点が入りながら旗を上げる「サッカーを好きではない」副審に当たった事を呪うくらいか。
そこから再びブラジルの猛攻。中村の甘いパスを拾われ、ロビーニョが2回長躯前進。2回目は左のカカーがフリーとなりシュート性の強いボール、アドリアーノが右からスライディングするが、合わせ切れずやれやれ。
この試合でその後、中村は物凄いシュートと直接FKを見せマンオブザマッチに輝く事になる。この2発は本当に凄かった(もっとも、中村を見続けてきた我々からすれば、このくらいやってくれて当然なのだけれどもね)。おそらくこの試合だけで、中村の市場価格は上がったのだろう。
しかし、一方で中盤からトップにギリギリで狙うパスを引っ掛けられ再三ピンチを招いていた。これは必要悪なのかもしれないし、もしこれらのパスが通って得点になっていれば、評価されるのだろうが、やはりこの相手にあのような取られ方は絶対にしていけない。今大会、中村は存分に魔術師振りを発揮し、守備もしっかり行った。しかし、この取られ方の悪さの改善、言い換えると(以前から述べているが)「無理をする時と無理をすべきではない時の適切な選択」を、こなせるようになるかどうか。1年後この地で、中村が世界サッカー史に残る存在として語られるかどうか、唯一残された課題なのではないか。
日本の右CKから、こぼれ球を狙うロナウジーニョ、中村を外し、さらに加地を抜き去り、スピードドリブル。ロナウジーニョ、ロビーニョ対田中誠、アレックスの2対2。ここでロビーニョが、ロナウジーニョがいる右サイド側に走り抜ける。、アレックスは棒立ちで、プレイから消え、結果的に2対1ができてしまった。ロナウジーニョは落ち着いて、ロビーニョにつなぐ。全くのフリーとなったロビーニョは落ち着いて、川口の股間を抜いた。
このロビーニョの動きは、2対2の攻撃側の動きとしては、全くのセオリー外。おそらく、自分が動く事でロナウジーニョに突破をさせる、あるいは後方から進出してくる選手に期待する、と言う意図だったのだと思う。
この場面のアレックスは誠に気の毒だった。ロビーニョについていけば、後方から進出してくる選手をカバーできない。おそらく苦渋の選択として、ロビーニョを見送ったのだろうが、結果論として全くのフリーとなったロビーニョを呆然と見送る事になった。それにしても、落ち着いてパスを受け渡すロナウジーニョとロビーニョの冷静さ。アレックスが来ないと見て取った瞬間、2人は同期した判断でパス交換を選択し、川口を打ち破った。このようなアイデアが、私の代表チームとの試合で出てくるのだから、何とも嬉しい(悔しい)。
ちなみにこの1点目の失点場面で、アレックスを批判する論調が多いのはいかがなものか。アレックスには問題も多いが、「猫も杓子もアレックスが悪い」では批判にはならない。
その後もブラジルの猛攻が継続。カカーのシュートがポストを叩く。こぼれ球を拾ったロナウジーニョの一撃は川口が止める。ここまでの時間帯、一体どうなる事かと思わされた。もし、ここで、もう1点入っていたら...
試合終了後、後知恵で考えてみると、ここで2点差にならなかった事が、この試合の輝きを格段のものにしてくれた。世界最高の強豪に対して、早々に失点。その後も猛攻を許したは事実。このあたりの時間帯では、「何とか0−1のまま、前半を終えて欲しい」としか思えない展開だった。
ここは、宮本と田中誠を評価したい。必ずしも肉体的には頑健とは言えないが、読みのよさでは若い頃から定評のあった2人(95、97年のワールドユースの守備の中核ではないか)が、ベテランと呼ばれる年齢になり、実に粘り強く我慢を重ねた守備を見せてくれた。この2人が世界のトップレベルに完全に通用する事が再確認されたのは嬉しい。中澤を加え、計算できるセンタバックが3枚確保されたのだ。後は若いCBをもう2枚くらい探したい。今回茂庭がテストされなかったのは残念だが、隣国で活躍した水本はなかなかだったな。
日本もこの決定的危機を凌いだあたりから、逆襲を開始する。小笠原のFKを柳沢が見事にあわせるがバーを叩く。そして、柳沢が倒されたFKを、中田、福西とつなぎ、中村の強烈な一撃で追いつく。凄いシュートだった、バンザイ。
この時間帯は、ブラジルの猛攻に対して、ようやく日本の対応が落ち着き始め、何度と無く有効な攻撃を仕掛けられるようになっていた。その僅かな時間帯で、中村が強烈な一撃を決めたのは、本当に素晴らしい。フリーで前を向いた中村は、世界のどのレベルに出しても、最高の存在なのだ。
前半、ブラジルに圧倒されたこの試合で、日本がペースを掴んだのは、僅かにこの時間帯だけだった。その短い時間帯で、幾度か決定機を掴み、最終的には中村の「ドヒャー」が決まったのだから、大したものではないか。
別途「ジーコのひみつ」探求で検討したいが、今の代表チームが、多くの試合でペースを掴んだ僅かな時間帯でしっかりと集中して攻撃を行い、キッチリ点を取る感覚は凄いと思う。以前から述べているが、私は監督ジーコは好きではない。しかし、氏が代表監督を務めて以降、多くの試合で「ここぞと言う時間帯」で得点を奪っているのは事実なのだ。それが、どのようなメカニズムで指導され、選手達に身に付いたのかを「日本語化」するのが、自分への宿題なのだが。
と喜んでいたのだが、ブラジルの攻撃は凄い。日本の守備が人数が足りている状態で、カカーのちょっとした溜めから、ロビーニョが抜け出し、加地を抜いてセンタリング。ここで何としたことか、アレックスが棒立ち、ロナウジーニョは全くのフリーでゴール前に飛び込み、2−1。
もちろん、ロビーニョが容易に抜け出した事に関しては、日本の守備網全体への課題。中でも、加地があそこまで簡単に抜かれてしまってはいかんだろう。今大会大いに評価を上げた加地だが、元々この選手は攻撃参加時の思い切りのよい判断による、強引な前進が魅力。メキシコ戦のアシスト、このブラジル戦の悔しいオフサイド、共に素晴らしいプレイではあったが、Jリーグで見せてくれていた得意のプレイが、世界の強豪相手にも通用したと言う事(無論その事はすばらしい)。そして、この選手の課題が守備面での粘りである事も、以前からわかっていた事だ。1点目のロナウジーニョに置いてきぼりにされた場面と言い、この2点目のロビーニョに突破された場面と言い、いくら相手が巧くても「サイドバックとしては大きな問題」としか言いようがなかった。
繰り返そう。今大会の加地は、攻撃面では素晴らしかった。しかし、守備面ではまだまだ改善の余地がある事を示したのも事実なのだ。真摯な姿勢で、着実に成長している加地である、必ずや1年後に向けて、課題を解決してくれるに違いない。
1点目ではアレックスをかばったが、この2点目のアレックスは言い訳の余地なし。逆サイドがえぐられかけている時に、マーカを見失うのは、守備技術と言うよりは、集中力の問題だろう。何度かこの場面をVTRで見たのだが、ロナウジーニョが格段のフェイントを使ってアレックスを振り切ったようには見えなかった。やはりここは穴だ。そして、このままアレックスを使い続ければ、1年後間違いなく列強は、ここを狙ってくるだろう。快感あふれるこの試合で、唯一釈然としないアレックスの存在だった。
前半終了間際。ブラジル守備網が後方に下がり、丁寧にパスをつなぐ。このあたりの、ブラジルのつなぎは実に見事。以前ジーコ氏が語った理想のサッカー、「ブラジルやアルゼンチンは、相手がフィジカルが強いと見ると、速くいやらしいボール回しでペースダウンを狙う」を、具現化するもの。2−1とリードされながらも、宮本を軸に守備を固めた日本に、ペースを渡さぬように前半を終えるため、実にいやらしいキープを見せた。日本としても、2点差にされては勝負あり、ブラジルのボールキープに対し、無理をせずに後方へ引き、粘り強い対応能力を見せ、前半を終える。
いい試合だ。
2005年06月28日
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コンフェデ杯「日本代表VSブラジル代表」雑感 バイタルエリアの守備とボランチの人数の関係
Excerpt: 引き分けで終え健闘したと評価すべきか? それとも予選敗退という結果がでなかったことを叩くべきなのか? 正直、評価は人それぞれだと思うし、どちらで考えても正しい気がします。ブラジルはほとんどメンバーを落..
Weblog: doroguba〜football column〜
Tracked: 2005-01-01 00:00









日本人独自の感情「折角帰化してくれたのに・・・」という配慮が働いて切れないのはどうかと。<br />
本人も「アレックスと呼べ」と言うとおり、日本で妥協してプレイしてるみたいだし。<br />
中村辺りとポジション争う選手であっても決してSBやらせてはいけない存在だと思う。<br />
SBならまだ敵にパスする中蛸のほうが競り合いや寄せは強いだけマシ。<br />
まあ中蛸のWBは二度と見たくないですけどね。
3人目が来ているとしたら、それについてこない選手の責任であって、その3人目にボールが渡って決められてもアレックスの責任ではないと思いますよ。
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でも三都主は代表の失点の多くに関わり、持ち味の攻撃すら止められてる。今となっては代わりを用意するべきなのだろうか?<br />
取り敢えず、東アジア選手権で他の選手を試してくれることを望みます。どうしても三都主を使いたいなら、前で使ってみたらどうだろうか?それも一度試してもらいたい。
「バックラインでボール回す際に、バックステップしてスペースと時間を確保する動き」等と同じレベルのグループ戦術だと思っておりましたが、如何でしょう?
他にも解説者は、ブラジルの動きは特別なものではなくて、教科書通りにきちんと動いている、と言っていたような。<br />
なかなか鋭い解説だよなあ、と思ってみていたら、確か、清水秀彦と^^。<br />
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ロナウジーニョが監督に「ジーコに失礼だ!」って直訴したらしいですよ。<br />
そう言われて主力が出てくるんだから凄いですよね。(ジーコが)
ハーフタイムには体の震えが止まらない症状が出ていたようです。<br />
前半の動きも悪かったですし、相当コンディションが悪かったのでしょうね。<br />
前大会のフォエのこともありますし、特に夏場の試合は選手のコンディションをもっと考慮してもらいたいです。
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決勝前にも「アドリアーノの左足負傷」を報道陣前で演出したブラジル。<br />
ピッチの上以外にも本番の予行演習さながらだと思いました。<br />
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思うに、ブラジルの本大会における目的は、ロビーニョ、レナートといった若手選手に試合経験を積ませる以外に、彼らに「優勝」を経験させるというところに目標を置いていたように思います。数日おきに試合を行い、体調を維持しながら(特にトーナメントは)確実に勝っていくことは、若手の多いブラジルの攻撃陣にはまだ経験の足りないことです。そして最後に栄光を勝ち取るというイメージトレーニングとしてこれに勝るものはないでしょう。<br />
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W杯の度に戦力外の若手ホープを代表入りさせるブラジル協会(アメリカ大会のロナウド、前回のカカー)ですから、そんな戦略的思考は持っているだろうなと思うのです。<br />
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