しかし、「ワールドカップ予選アジアプレイオフ、誤審による再試合決定」と言う、正直言って記憶に無いくらいショッキングな事件について書かざるを得ない。
そもそも、これだけの重要な試合の結果を、この手のトラブルでキャンセルせざるを得ない事態と言うのは、全く記憶に無い。世界サッカー史上でも前例の無い事態とすら思える。もちろん、世界のサッカー史には、人命や人身に関わるもっと酷い事件、事故はいくらでもあった。しかし、ピッチ上のルールの運用を完全に間違ってしまったミスで、ここまで深刻な事態を招いた事例は記憶に無い。
報道によれば、問題は議論の余地もない審判のミス。ウズベクに与えられたPKを、ウズベクが成功。ところが、ウズベクの選手がキック前にペナルティエリアに入っていた反則。ルールブックを見るまでも無く、PKやり直しとなるべき場面。ところが、主審はバーレーンの間接FKで再開を指示してしまったとの事。副審、第4審(いずれも日本の審判!)も、間違いを訂正できなかったらしい。
どうやら、当該審判団は、最新のFIFAのルール変更を完全に勘違いして理解していたのだと思わざるを得ない。具体的には、従来のルールでは、今回のような攻撃側の反則があった場合にPKが入らなかった場合は「再度PKは行わない」としか記述が無く、プレイ再開の方法がいささか曖昧だった。それを今回の改正で「守備側の間接FKで再開する」と明記したもの。しかしながら、今回のようにPKが成功した場合は再度PKとなる事については変更も何も無い。過去のルールにさかのぼっても、PK時の攻撃側の反則後に敵に間接FKが与えられると言う概念は、今回のルール変更のこの部分しか思い当たらない。
先日、私は審判問題には
(1)審判が見切れない事によるミスジャッジ
(2)判定基準の相違による混乱
の2種類があるのではないかと論じた。しかし、今回のように
(3)審判のルールに対する記憶違い(広義には運用違いと言ってもよいと思うが)によるミスジャッジ
と言う、3つ目のトラブルがある事を再認識させられた次第。
それにしても悔しいのは、副審や4審が、試合中にそのミスを是正する事ができなかった事。主審は当然ミスの責任は免れ得ないが、その他の審判のうち1人でも気がついて、是正のアピールを取ってくれれば解決できたはずなのに。どうして誰もそのようなアクションを取らなかったのか...
ただし、今回のFIFAの決断(再試合)は意図は理解はできるが、本当にこれでよいのかと思うと、非常に難しい。確かにPKと言う得点に直結する判定に関する明らかな誤審、これだけ重要な試合、このまま試合を成立させるよりは、試合の全てをやり直す方が適切にも思えなくはない。そして、2試合目を含めて、1ヶ月試合日程をずらしたのは、正に窮余の一策なのだと思う。両国の準備面を考慮すると大変だろうが、ある意味ではよく考えられた裁定だとは思う。
ちなみに、上記報道によると、ウズベク協会は
再試合は(誤審のあった)前半39分の場面から始めることをFIFAに要求するつもりだと主張しているようだが(この時点で1−0でウズベクがリードしていた)、気持ちはわかるが、サッカーの常識から言ってそのような裁定は難しかろう。
しかし、本当に今回のFIFA方式でよいのか。日本協会の審判部長は
審判の決定は最終と規定しているサッカーの根幹に影響しかねないと指摘しているが、これは重要な指摘だ。何が起ころうとも、試合は主審に任され、試合が1度成立すればそれをくつがえさない事はこれまたサッカーの常識。今回のFIFA判断を採るべきか、試合は成立するべきか、いずれかと問われると、何とも難しい。かの試合の重要性を鑑みれば、日程が許すのであれば今回の裁定も正しいように思えるが、今後の前例となる事を考えればやはり試合の成立が重要ではないかとも思える。もし、私が「この瞬間決断せよ」と問われれば、迷った末に「試合成立」と答えるが...
本件に関する極めて個人的な想い。いささか青臭い表現が連続し、気恥ずかしい感もあるが、本件について出来る限り正直に自分の想いを語ってみたい。異論も多かろうとは思うが。
正直言って動揺している。
私は「日本のサッカー」を、心底誇りに思っている。ところが、今回は「日本のサッカー」から送られた審判団が言い訳の余地のない大失敗を演じ、両国を筆頭に世界のサッカー界に多大な迷惑をかけてしまった。また、今回の裁定が、今後の前例として世界のサッカー界によくない影響を与えてしまう恐れもある。今回の審判団は、過去の彼らの審判としての個人実績により、アジア連盟?から選考されたのだろうが、そのキャリアメークには日本協会が相当関与してきたはず。そのような観点から見れば、この審判団は日本サッカーを代表する立場の人々だった。極論すれば、山本アナウンサではないが「彼らは決して『彼ら』ではなく『私たち』」だったのだ。その彼らが、今回のような決定的なミスを冒してしまったのだ。日本のサッカー人として、残念だし、恥ずかしいし、何より申し訳なく思う。
何を語っても、起こってしまった事は仕方が無い。最低限、日本協会は、いや川淵会長は、今回の問題を正面から受け止め、しっかりと対応して欲しい。要因分析と再発防止、審判団の今後の審判人生の保護、他国に対する日本人審判の信用回復など、これらの施策を、明確な説明責任と共に行う事が、日本サッカーの将来のために非常に重要である。
<br />
ウズベキスタンが主張する「再試合は(誤審のあった)前半39分の場面から始めることをFIFAに要求するつもりだ」というのは心情的に理解します。<br />
たしかJSLの時代に主審が時計を見間違えてタイムアップを宣言したが、その直後に間違いに気付き、残りの時間分を再度プレーした記憶があります。うーん、どこの試合だったっけ? <br />
1−0で勝利した試合をまさか無効とされるとは露ほども思わず、『審判のミスなのは明らかだからとりあえず強硬な抗議でもしとけ。もし言い分が認められれば大ラッキー♪』程度のものだったのではないでしょうか。御説の通り、試合途中からの再開が認められる可能性は極めて低く、ウズベクにとっては『泣きっ面に蜂』とも言えそうです。<br />
副審・4審による是正についてですが、バーレーンが即リスタートしたなら主審とのコンタクトを取る時間はないわけで(事実関係未確認・ルール上は再開後の判定変更は出来ない)、主審が少しでも自信のない状況でない限り、副審等からのアクションがあったとしてもそれに気付くのは難しかったと考えます。<br />
AFCの本件に対するリアクションはないのでしょうか?FIFAに楯突く度量があるとは思えませんがね・・・。<br />
<br />
この件重いですね。<br />
<br />
一番気になるのは触れられているように他の3人が何故指摘できなかったのかということです。通達を知っていたが故という可能性はありますが試合前の審判ミーティングでどのような確認をしていたのか、ハーフタイム中この件は出なかったのか、どの時点で過ちに気がついたのかといったことをひとりひとりが明らかにする必要があると思います。<br />
<br />
このようなヒューマンエラーは多重チェックするしかないと思うので。<br />
<br />
試合はNHKBSで前半30分ほど観て寝てしまいました。コンディションがそれほど悪いわけではなく、ゲームも荒れていたようには観えませんでしたが残念なことです。
<br />
武藤氏の指摘の通り、<br />
> 最新のFIFAのルール変更を完全に勘違いして理解していた<br />
のだったらコロコロ変わるFIFAのルールってのも考えもんですよね。<br />
サッカーを面白くするために見直されつづけるルールってのはいいと思うんだけど。<br />
話がずれちゃいますけど、少年指導の立場からするとオフサイドの変更なんて子供達になんて説明すりゃいーんだって思いますよ。
論議をよんでいるところではありますが<br />
そもそも審判の存在そのものを大きく揺<br />
るがしかねない今回のFIFAの裁定に<br />
大きく疑問を感じてなりません。審判も<br />
人間です。ミスもあります。しかしなが<br />
らこの再試合の判断は、審判の判定その<br />
ものを否定させるものではないでしょう<br />
か?それならばビデオ判定などの判定と<br />
同じようなもので何かあれば後から判断<br />
するようなものです。これまでも様々な<br />
審判による明らかな誤審により試合展開<br />
に影響した試合や時には得点シーンなど<br />
もありましたが、それによって後に試合<br />
結果が覆ったことは過去にありません。<br />
スポーツにおいての「たられば」なんて<br />
いうのはやっている者・観戦している者<br />
あるではないですか!どんな判定にもそ<br />
の時の判断が試合結果を覆らせることは<br />
あってはならないことではないでしょう<br />
か。(人為的・作為的なことを除いて)
主審は、プレーを再開する前、または2.試合を終結する前ならば、その直前の決定が正しくないことに気付いたとき、または主審の判断によって副審の助言を採用したときのみ、決定を変えることができる。 <br />
<br />
この二つをつなげると、<br />
1.今回のケースで判定を訂正できるのはFKを指示してからバーレーンの選手がキックするまでの数秒間だけであり、それ以後はたとえ主審が勘違いに気づいても判定を訂正できない。<br />
2.この間副審や第4審は主審から数十メートル離れたところに位置しており、主審の勘違いを数秒間で指摘することは不可能。また、主審が副審に助言を求める気がない場合は数秒が数分であったとしても副審は助言することが出来ない。<br />
なので、副審や第4審にはどうしようもなかったと思うのですが。サッカーの規則って、主審の負担が重過ぎると思うんだけどなぁ。
副審からは旗を振るなどしてアピールするなどもできるかと思いますが、どうでしょう。<br />
主審から見えない角度のファールをアピールすることと同じなのでは?
臭い審判、が引き金でこういう対応なのかね。<br />
<br />
だとするなら、FIFA自身にも問題あろう?
今回のケースでは一番近くで見ているのは主審ですし、FKの指示を出した後はリスタートが適切に行われるかを中心に見ますから、タッチライン上の副審を気にする余裕はありません。<br />
「あ、この位置なら副審のほうが見やすいかも」と主審が判断するから副審のシグナルを見るわけで、主審が「自分のほうが正しい判断が出来る」と思い込んじゃった場合は現行ルールではどうしようもないんですよ。いつだったかの高校選手権岡山大会決勝と同じ事。あの場合も副審はゴールを認めていたけど、主審はそれに気づかなかったんだから。
そりゃそうだ。<br />
主審が副審を見なかったのだとしても、「副審からは旗を振るなどしてアピール」があったのかどうかは重要だと思った次第です。<br />
武藤氏も「その他の審判のうち1人でも気がついて、是正のアピールを取ってくれれば解決できたはずなのに。どうして誰もそのようなアクションを取らなかったのか」と書かれていたので。<br />
書き方が悪くて論点がずれてしまっているようでしたらすみません。<br />
<br />
何分当方は当該試合を見ていません。あまりでしゃばらないようにします。
<br />
今回のケースで副審の責任を問うなら、「FKを蹴るまでの数秒間で主審に確実にアピールを伝える手段を所持していること」が必要条件だと思うんですよ。旗を振るような不確実な手段じゃなくね。そういった意味で、武藤さんの指摘には違和感を感じるです。
<br />
・PK蹴るまで → ペナルティエリア脇に立っている<br />
・PKゴールイン直後 → タッチラインに向け、歩き始める<br />
・主審がファウルの判定、選手が集まってくる → ペナルティエリア脇にゆっくり戻る<br />
・バーレーンGKが素早いリスタート(無効) → ペナルティエリアとタッチラインの中間あたりから、DFに合わせて動き始める<br />
・リスタート無効につき、GKにボールが戻されやり直し → タッチライン沿いに戻っている<br />
<br />
PKが入ったあとタッチラインに戻ろうとしていることから、副審はファウルに気づいていない可能性が高いと思います。その後ファウルの判定の時にペナルティエリア脇に戻ろうとしているのは、副審が(ルール通りに)PKのやり直しだと思ったからではないかなと思われます。<br />
いずれにしても画面に映っていた限りでは、この副審が旗を振ったり、その他の手段で主審にアピールしている様子はみられませんでした。
<br />
@FIFAの決定が「再」試合なら、<br />
試合成立を覆すことになる。<br />
これが、いろんなところで横行する<br />
可能性が、今後、懸念される。<br />
<br />
Aアジア内での <br />
日本の地位を取り戻す必要が<br />
出てきた。<br />
(審判への信頼回復だけでなく)<br />
<br />
B今回関わった4人の今後。<br />
<br />
※Jでの審判に対する批判とは<br />
別に考慮しないと、何も見えてこな いでしょうね。<br />
<br />
※JFAは、なぜこのようなことが<br />
起きたかを説明し、今後の対策を<br />
示さないといけませんね。<br />
「両国協会に申し訳ない」<br />
「積極的に審判育成に・・・」<br />
とコメントしただけでは、<br />
具体的には、動けないですよ。<br />
サッカーは、JFAや審判委員会の<br />
ものでなく、世界中の「われわれ」<br />
のものですから。
<br />
直後に気づいたとしても再試合などという大事件になるとは思わなかった、想像できなかったとは思いますが。<br />
<br />
>今回のケースで副審の責任を問うな<br />
>ら、「FKを蹴るまでの数秒間で主審<br />
>に確実にアピールを伝える手段を所<br />
>持していること」が必要条件だと思<br />
>うんですよ。旗を振るような不確実<br />
>な手段じゃなくね。<br />
<br />
無線機付きの旗、とかですか。これでも「勘違いした」審判にアピールするのは難しいな。<br />
<br />
主審の負担が重過ぎるというのは全く同感です。
どっちかというと、ウズベキスタンに対する制裁?って感じもする。「おめえ、勝ったのにごちゃごちゃうるせぇよ」みたいな。<br />
人間誰にでもあること。<br />
だから、それによって再試合云々してたら、キリがない。<br />
<br />
しかし、今回の場合は違う。<br />
誤審ではなく誤認です。<br />
あの“誤認”は、ピッチ上の選手、関係者にとって許されていいことでしょうか。<br />
<br />
誤認審判団のレフェリングにもとづく試合だったのだから、無効として再試合決定、これは当然ですよ。<br />
なんかそのへんが透けて見える感じがします。
<br />
FIFAがそう認定したのであれば、この処分は納得できるなぁ。<br />
<br />
しかし、これってものすごくきつい。当事者はもちろん、日本の審判は立ち直るのに相当時間がかかりそう。
>あってもアピールしてほしかったなという考えです。<br />
<br />
でも再開後はアピールしたところで判定を訂正できないわけですから、アピールしても意味ないでしょう。アピールという行為自体は試合の潤滑な運営の妨げになりますから、「無意味なアピールはやめて、当座の試合運営に集中する」という選択になるのではないかと。もちろん、再開前なら可能な限りアピールするべきだと思いますよ。(でも、ピッチ内に入って「ちょいとちょいと吉田さん」とやるわけにはいかないからなぁ)<br />
<br />
現実に主審と違う事実が副審に見えていることはしょっちゅうあるわけで、それらについていちいちアピールしていくわけにはいかないわけですし。<br />
<br />
とにかく、サッカーのルールは「主審は間違いを犯さないし、間違えたときでも自分で気づく」という人間工学上ありえないことを前提にしているわけで、なんとかせにゃならんと思うです。