まずトヨタカップ。これは第1回から恒例で(笑)原則得点者が表彰され、我々サッカー狂の頭痛の種となってきた。例外はジーコ、メラーと言った有名人、さらに0−0だった95年は勝ったアヤックス主将のブリント。まあ、素人による人気投票である。
一方、JリーグとFIFAだが、これは究極の玄人による投票。エメルソンにせよ、ジダンにせよ、確かに「最も質の高い選手、優秀選手」と言う観点からすれば納得できるが、「最も貢献した選手、殊勲選手」と言う観点からは疑問符。エメルソンの選考については、各方面から疑問の声が上がっているようだし、チェアマン自らが選考方法を否定するような発言をしたと言う(しかし、業界サイドのトップとして、この発言は拙いし、エメルソンに失礼だよね)。もっとも、今回よりも疑問だったのは95年、マリノス優勝の際に、誰もが認める最大の貢献者井原が選ばれずに、ストイコビッチが選ばれた時。まあ、玄人たる同業者に選ばせると、どうしてもこうなると言うものだろう(余談:「イハライハラ」の発明者(笑)の私としては、95年井原の方がストイコビッチよりも「殊勲」のみならず「優秀」だったと確信してるけれど(笑))。
そこで、第3の方法が、識者による選考。具体的には、バロンドールであり、わが愛読書サッカーマガジン選考のクリスタルアウォード。しかし、これらはこれらで中々難しい。バロンドールは、今年はマルディニが受賞するかどうかが話題になっているが、「守備者」がどうしても軽視されがちと言う指摘が、昔からある。どうやらトヨタカップよりはましだが、決して識者とは言えない人々による投票だと推測される。20数年前になるが、ソビエト代表、ディナモキエフで売り出し中のオレグ・ブロヒンがバロンドールに選考された際に、あのエリック・バッティ記者が、「私はまだベストのブロヒンを見ていない、私同様ほとんどの西欧の記者は見ていないはずだ、何故にブロヒンが選ばれるのか」と論陣を張った(そして、事実ブロヒンはソ連のスーパースターにはなったが、世界あるいは欧州を席捲する事はなかった)。まあ、昔話として。
では、サッカーマガジンはどうか。一昨シーズンに服部を選ぶなど、切れ味鋭い座談会形式の選考を見せていたが、昨シーズン限界を露呈した(笑)。ワールドカップの活躍で稲本を推す人(もっとも、ワールドカップで尻すぼみだった稲本が「最優秀」かと言うと疑問だが)と、Jリーグで点を取りまくった高原を勧める人で調整がつかず、両者受賞になってしまった。この手の選手選考は「遊び」なのだから、真剣に「遊ぶ」べきだと思うが、調整できず両者受賞にしてしまっては「遊び」の意味が半減してしまう。
「優秀」でも「殊勲」でもいいが、かくもサッカーの個人表彰は難しい。その難しさを理解した上で愉しむべきものなのだろう。
と言う事で、高松に一票を投じた、台湾代表監督のインタビューを愉しみに待つ事にしようか
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