2006年09月28日

サッカーマガジン日本歴代ベスト11

 一昨日、牛木氏の連載終了を嘆いた訳だが、愛読書サッカーマガジンは相当大掛かりに改編を検討しているらしく、その前祝い?あるいは総決算?として、歴代の日本代表ベスト11を選考するお遊びが行われていた。このようなお遊びは大好きだ。そして、遊びなのだから真剣に取り組まれると言う前提において。

 そのような意味で、せっかくの素晴らしい企画なのに、武智氏と西部氏は真剣さが不足していたのではないか(笑)。武智氏はあえて松田を選んだのだから「松田を入れたのは反省してます(笑)。小城とか、落合を入れなきゃダメだったのかなって。」と当たり前の事を言ってひよってはいけない。ひよると言う事は、真剣に考え抜いて臨んでいないと言う事になりますよ(笑)。西部氏もあえて井原を外すと言う、(私から見たら)大変な暴挙(笑)をしているのだから「順番に選んでいったら枠がいっぱいになった(笑)」と言う言い訳では許されない。最低限、中澤と森の組み合わせが、井原を上回ると言う説明をするのは、暴挙をした方の義務である(笑)。説明してくれれば、大量の反論もできようと言うものだし。

 その点、老獪な大住、後藤、国吉の各氏は、真剣に遊んでいただいていて安心感がある。大住氏の加藤久の選考、柱谷哲二を井原とのセットとして選ぶ発想。後藤氏の川本泰三と堀江先生(この方はどうしても先生と言う称号付きになってしまうな)、八重樫、MF杉山。国吉氏の名波、サイドバック奥寺(大住氏は否定的だったが、奥寺の全盛はレーハーゲル氏率いるブレーメン時代のサイドMFであり、帰国後ソウル五輪予選でもサイドハーフで実に知的なプレイを見せていた)。お三方とも、真剣に考え抜いた主張を感じた。



 不愉快だったのは進行役。自分がラモス好きなのは構わないが、見てもいない長崎での日韓戦を引っ張って多くのスペースをラモスに使った事が許し難い。最初に無理やりラモスに話題を持って行った時に、国吉氏に「ラモスは派手に守るけど、そんなにしっかり守ってないよ(笑)」と一刀両断にされたにも関わらず、しつこく「僕はラモスに一番戦っている姿勢を感じました」「こういう人がいたら代表は強くなるんじゃないかって」。

 「いい加減にしろ!」と言いたい。ラモスは確かに素晴らしい選手だった。武智氏や西部氏が歴代ベスト11に選ぶ事を否定するものではない。しかし、その魅力は、フィールド全体が見えているような視野の広さ、独特のスローテンポのゲームメーク、敵を崩すためのアイデアの豊富さなどである。一方、口は達者で立派な事を語るが、その発言やプレイ振りが刹那的言い換えれば戦術的視野に留まり、戦略性のないところもまた特色だった(その独善性が、何とも愛らしかったのだが)。以前このような事を書いた事がある。上述した91年長崎での日韓戦。韓国の強力MFに厳しいプレスをかけられたラモスは、何もできずに沈黙。ラモスの不適切なキープから、次々にボールを奪われ苦しい試合となった。ラモスが中盤でキープできなかった事が最大の敗因だった。試合後、ラモスが周囲の選手に「何で戦わないのだ」と騒いでいると言う話が聞こえてきた。その話を聞いたときは、「ラモス相変わらず可愛いじゃないか」と笑ってしまった。ところが、その試合を見てもいない(あるいは見ていても、真剣には見ていない)輩が、ラモスの言い訳を真に受けたとなっては、ほうってはおけない。

 ラモスはいい選手だった。しかし、一方で我がまま極まりない独善的な選手だった。歴代ベスト11に入るような選手の多くは、正に粉骨砕身、全知全霊を賭して、日の丸と我々のために戦ってくれた男達だ。技術面でラモスがここのランクに入ってくるのを否定するものではないが、精神面ではこのランクには全く入らない選手だ。ラモスは戦う選手ではなかったのだ。

 そのような事実を、しっかりと見る事すらできていない司会者に、この愉しい企画が託された事が残念でならない。



 ともあれ、冷静に戻ろう。自分も参加するのが、このような企画を愉しむ一番の手段だ。



     川口能活

  加藤久 井原正巳 中澤祐二

堀池巧 宮内聡 名波浩  落合弘

     木村和司

   釜本邦茂  カズ



控え 森下申一 藤島信雄 明神智和 福田正博 

   森島寛晃 中村俊輔 久保竜彦  



 もちろん、他にも入れたかった選手は多数。今井敬三、名良橋晃、前田秀樹、原博実。もう、こうなるとキリがないな。うん、愉しい企画だ。



<以下加筆、06年9月30日>

 コメント欄で話題になった都並と中田について

 都並は、色々考えたのですが、ちょっと違うかなと思って入れていません。ベガルタの監督云々は全く関係ありません(笑...笑えないか)

 中田を入れなかったのは、先日の突然の引退を、自分で飲み込めていないからです。以前も書いたとおり彼の人生ですから、我々がどうこう言う事ではないのはわかっているのですが、残念と言うか何と言うか。そのような思いがあるので、入れていないと言う事です。「それでも外すのはおかしい」と言う論理はその通りだと思います。中田の件は、このような補足を最初から書いておくべきでした。

 それから、釜本まではある程度往時を直接堪能できていますが、杉山、宮本輝、小城らよりは前は、プレイはTVなどで結構見てはいますが、何分にもまだ子どもだったもので、最初から選考の外にしています。
posted by 武藤文雄 at 23:38| Comment(23) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
サカマガは代表本になるんですか?Jリーグや海外のネタはwebの方が豊富ですからねー。<br />
ティベールだけあれば自分的には・・というか読み物として面白い雑誌になってくれればまた買うかも。<br />
<br />
武藤さんのラモスの印象は自分的にはなんかアレックスと被ります(笑<br />
あとカズは94年以降からしか見てないので<br />
ドーハの最終予選でしか良い印象しかないんで<br />
それ以降、日本代表ではそんなにインパクトが無かったんですよ。<br />
加茂さんの使い方(1TOPとか)が酷かったとはいえ<br />
イタリアへの渡欧以降はあまり輝いていませんでした。<br />
だから、ラモスはボロクソでカズを選出するのは不思議なんですが<br />
カズってそんなに貢献した選手なんですか?読売ではスペシャルでしたが。<br />
<br />
どこかの批評で「カズはアメリカワールドカップ予選が始まるまでまったく機能しなかった」<br />
という批評も読んだ事があるので、余計に。
Posted by Unknown at 2006年09月29日 02:13
と、どうしても言いたくなってしまう訳であります(笑)。
Posted by おりた at 2006年09月29日 02:51
ヒデは・・・
Posted by DrGIANNI at 2006年09月29日 07:46
>そのような事実を、しっかりと見る事すらできていない司会者<br />
 たしかに、そうですね…自分が観戦した試合でも、ラモスはハードマークに弱かった。<br />
 しかし、恐れながら同業として申し上げますと、雑誌側の視点は、あくまで「読者」。<br />
 「読者」には、ラモスは戦う男だったと思っている方の方が多いだろうからこその発言と自分は読みました。そして一刀両断されているのは、雑誌企画としてむしろ正しいあり方かもしれません。<br />
<br />
 それにしても、ヒデスルー。<br />
 まだ、彼の評価について揺れていらっしゃるのか、一刀両断されたのか笑
Posted by とんちゃん at 2006年09月29日 09:47
二度も最後の最後で代表監督に袖にされた久保を、控えとは言え選んで下さるとは!<br />
<br />
感涙です。<br />
Posted by くぼいのち at 2006年09月29日 14:38
なんで中田ヒデが入ってないのでしょうか?その理由を伺ってみたい。
Posted by beat at 2006年09月29日 18:50
ヒデはヒデならできるはずのことをやってくれなかった感がとても強い気がします。<br />
<br />
超個人的意見ついでにもうひとつ。<br />
ぜひ小野に次のW杯までにこのベスト11に入るぐらいのプレーを見せて欲しい。
Posted by B at 2006年09月29日 20:33
「自分も参加するのが、このような企画を愉しむ一番の手段だ」と言うことで、私も選んでみました。<br />
Jリーグ発足後のファンなのであえてそれ以前の選手ははずしました。<br />
それぞれ一番良かったときのイメージで選びました<br />
<br />
      川口能活<br />
鈴木秀人 秋田豊 中沢祐二 相馬直樹<br />
    今野泰幸   名波浩<br />
 中田英寿        中村俊輔<br />
    中山雅史  三浦知良<br />
<br />
控え 楢崎正剛 柱谷哲二 井原正巳 都並敏史 木村和司 藤田俊哉 高原直泰<br />
<br />
鈴木秀人?今野泰幸?と言う人が多いかと思いますが本当に良い選手です。
Posted by fukurakutei at 2006年09月29日 23:12
「自分も参加するのが、このような企画を愉しむ一番の手段だ」と言うことで、私も選んでみました。<br />
Jリーグ発足後のファンなのであえてそれ以前の選手ははずしました。<br />
それぞれ一番良かったときのイメージで選びました<br />
<br />
      川口能活<br />
鈴木秀人 秋田豊 中沢祐二 相馬直樹<br />
    今野泰幸   名波浩<br />
 中田英寿        中村俊輔<br />
    中山雅史  三浦知良<br />
<br />
控え <br />
楢崎正剛 柱谷哲二 井原正巳 都並敏史 木村和司 藤田俊哉 高原直泰<br />
<br />
鈴木秀人?今野泰幸?と言う人が多いかと思いますが本当に良い選手です。<br />
しかしこうやって考えるとFWに良い選手が少ない気がします。釜本と言いたいところです。
Posted by fukurakutei at 2006年09月29日 23:15
・・・彼だけは闘っていた式の物語が作り易いんだったな〜と思い当たった。ラモスの頃から。
Posted by 五反田西口 at 2006年09月30日 00:19
中田を外すのは、実績功績実力などの枠から外れた好悪を露にされているだけではないですかね。<br />
控えにも入れないのは尚更で。<br />
この選手は出て来て欲しくなかったと断じられているということかな。
Posted by うーん at 2006年09月30日 02:41
日本人選手という観点から見たら、よそ者感を持たれても仕方ないかな。<br />
存在を無視したくなるんでしょうな。
Posted by うーん at 2006年09月30日 02:43
彼が入るとチームが壊れる<br />
という皮肉と拝察しましたが・・・違うかな?
Posted by fs at 2006年09月30日 06:34
武藤氏は中田が引退発表した時、「やめないでほしい」と懇願してましたよね。<br />
全うせず途中で辞めてしまったことに対する批判、ってとこじゃないですかね。
Posted by R at 2006年09月30日 09:30
ヒデは???<br />
ちょつと驚きです。<br />
もっと純粋にフェアーな紳士だと思っていました。<br />
ショックです。!!!<br />
<br />
<br />
Posted by ぶどうの母 at 2006年09月30日 12:16
これが件の「これはこれで、1つのエネルギー」ってやつでしょうか。
Posted by Unknown at 2006年09月30日 12:30
さすが武藤さん。前フリはバッチリですね。<br />
西部さんと違って当然明かしてくれるであろう、中田落選理由が楽しみです。<br />
自分としては能力面はもちろん、精神面でも本文に書かれたラモスのような<br />
口だけで闘わない選手だとも思いませんので、余計に期待が膨らみます。<br />
Posted by R at 2006年09月30日 12:30
>先日の突然の引退を、自分で飲み込めていないからです。<br />
<br />
やっぱり、これでしたか。<br />
私の推測は、おおよそ当たってましたね。<br />
実は私も未だ受け入れられず、です。
Posted by R at 2006年10月01日 20:51
私はヒデファンではないのですが・・・。<br />
<br />
あのままのヒデではチームがこわれる。<br />
<br />
あのままのヒデで終わって良かったのか。<br />
(呑み込めないという方は、こちら?)<br />
<br />
このどちらにも、妙に共感してしまいます。
Posted by aynil at 2006年10月02日 23:10
↑<br />
すいません、コメント欄も含めての感想です。
Posted by aynil at 2006年10月02日 23:21
何で松田を入れたらふざけていることになるんですか?<br />
松田をはずすことが当たり前なのですか?
Posted by 名無し at 2006年10月09日 17:30
何で松田を入れたらふざけていることになるんですか?<br />
松田をはずすことが当たり前なのですか?
Posted by 名無し at 2006年10月09日 17:32
何で松田を入れたらふざけていることになるんですか?<br />
松田をはずすことが当たり前なのですか?
Posted by 名無し at 2006年10月09日 17:33
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