2006年02月02日

若者たちへの失望

 結構凹んでいる。カタールユース大会、ネット中継を愉しんでいたのだが、日本の内容の悪さにガッカリしているのだ。PK勝ちとは言え、韓国に勝ったのだから、何を文句を言っているのだ、と言われるかもしれないが、延長戦での数的優位であのグダグダはないだろうと言いたいのだ。



 序盤から韓国が押し気味に進めるが、福元、槙野のセンタバックが相変わらず安定しており、堅実に守る。後半半ばから韓国に攻め疲れが見え始め、日本のカウンタが決まり始める。この流れは、どのようなランクの日韓戦でもしばしば見られる事で、日本から見れば、順調な流れとも言えた。さらに嬉しい事にじれ始めた韓国FWが、日本GK林に対して危険なキッキングで一発退場。この退場劇で、完全に日本ペースとなる。そして巧みな逆襲速攻から裏を取った内田に、韓国の主将が完全なラフタックル。これまた、一発レッドを出すしかない反則。後半終了間際とは言え、11対9と日本は完全に優位に立った。

 この時点で残り5分、サポータとしては一気に押し込んで勝負を決めて欲しい気持ちもあったが、まあ相手は2人少ない。丹念にボールを回して疲れさせて、延長で確実に仕留める選択肢もあるかなとも思われた。



 延長に入り、9人の韓国は当然全員が後方に引きこもる。しかし、この人数差があれば、日本は圧倒的に優位なはず。丹念に、かつ素早くボールをつなぎ、敵の疲労を誘いながら、点を取ればよい。しかし、そのつなぎが雑でトロいのだ。このように敵が引きこもった時は、サイドに人数をかけてえぐるか、ミドルシュートで中央の敵を引き出すかなどが基本戦術になるはず。しかし、ボール回しが遅く活動量も少ないため、サイドでボールを受ける人数が足りず、ミドルシュートを打つスペースすら作れない。さらには、パススピードの遅さから再三インタセプトされ逆襲速攻を許す始末。

 結果的に好機をほとんど掴む事なく、延長の30分が経過した。記憶する限りでは、敵GKが伸び切りのセービングで防いだシュートは2本程度だったと思う。11対9でこれでは...



 2人少ない敵に引かれて崩し切れないなら、何かアイデアを出して欲しかった。(あまり好きな攻撃ではないが)パワープレイを狙うなり、強引なドリブル突破を狙うなり、後方の選手がドンと飛び込むなり、方法はいくらでもあるではないか。

 さらに、攻めのアイデアが出てこないのは、各自の能力の問題(もし本当にそうならば、それはそれで大変なのだが)とも考えられるし、疲労の影響もあるかもしれない。しかし、何か気迫が伝わってこなかった事が一層残念だった。あの北朝鮮戦の素晴らしかった気迫はどこへ行ってしまったのだろうか。

 それとも、吉田監督の指示の問題だったのだろうか(ベンチに「戦う」と言う事については、日本最高峰だった森保氏がいたのだけれども)。いや、あそこまで試合が煮詰まれば、最後は選手のはずだよ。



 まあ、いいでしょう。あくまでも若者に経験を積ませるユースのタイトルマッチの、それまた準備のためのローカルな大会。思うに任せぬのがサッカーの常、皆若いのだから。これもまた経験として、切磋琢磨してもらいたい。

 考えてみれば、韓国に勝って文句を言うのだから、凄い時代になったと言うべきなのかもしれないけれど。
posted by 武藤文雄 at 12:40| Comment(12) | TrackBack(0) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
近年のユースチームの出来の悪さとそれにたいする批判の少なさは、本当におかしいですよね。<br />
<br />
日本人監督の限界という面でも考えたほうがいいかもしれません。
Posted by 名足 at 2006年02月02日 15:04
韓国のようなスピードとパワーに優れ、組織だった守備を得意とするチームに、我慢するときは我慢して粘り強く戦えるようになったのは、このチームが大きく成長したところだ。一方で二人退場になり局面がガラッと変わったところでの対応能力の無さも露呈した感じですね。圧倒的数的優位に立ちながらそのチャンスを活かすより、選手達がどうしようか迷いながらプレーしていたなという感じを受けました。憶測になりますけど、コメントを見る限り監督は「こうしなさい」という指示はとくに与えず選手達がどう対応していくか見ていたんじゃないですかね。その中で率先して工夫する選手や周りをオーガナイズする選手が見たところ居なかったのがちょっとガッカリしました。こういった現象は今後もあらゆる世代で起こりうることかもしれませんね。
Posted by くまがい at 2006年02月02日 18:29
どうも下痢で体調の悪い選手が<br />
けっこういたらしく<br />
連戦に加えてそういった悪条件が<br />
加わって動けなかった部分も<br />
あったようです。<br />
ただゲームの流れを読んでのプレーや<br />
プレッシャーをかけられても<br />
自分のプレーを見失わない技術力と<br />
メンタリティという課題は<br />
日本サッカー界の構造的問題なんでしょうか?
Posted by トラマ at 2006年02月02日 22:14
>>考えてみれば、韓国に勝って文句を言うのだから、凄い時代になったと言うべきなのかもしれないけれど。<br />
<br />
<br />
途中まで読みながらコメントしようと思っていたことを最後に言われてしまいました(笑)
Posted by スレイヴ at 2006年02月02日 23:53
小野がいたナイジェリア世代も10人のポルトガル(しかもGKがフィールドプレイヤー)相手に受身になって1点リードを守りきれずにPK戦まで持ち込まれたし、ユース年代から堅実で技術のあるアルゼンチンやウルグアイなんかでもたまに大崩れしたりするし結局は経験値の少ないユース年代ではままあることなんじゃないですかね<br />
問題は武藤さんの仰るとおりこれからの切磋琢磨でいかに経験を積むかなんでしょうけど、若い時代に何年もサテライト暮らしを続けるのがその経験を積むという点で果たして良いことなのかどうなのか<br />
J2でもJFLでも若いうちからチームの中心としてバリバリ活躍するような選手がもっと居てもいいと思うんですけどね<br />
あとはアウェーのタイトルマッチに積極的に参加することでしょうか<br />
東アジア選手権のユース版があったら良い経験になるんじゃないかと思うのですが(五輪代表レベルで計画してるそうですが)
Posted by 通りすがり at 2006年02月02日 23:56
小生も試合を見ていませんけれども、とにかく勝ったことは大切ですよね。若い世代は勝つことが大いなる成長につながりますから。<br />
是非世界大会への切符をとってさらなる飛躍を目指してほしいと思います。<br />
Posted by 九州男児 at 2006年02月03日 00:08
81年生まれ以降のユース代表チームの試合内容の悪さには危機感を感じています。アジアでもほとんどボールキープが出来ず、単調な放り込みばかり。さらに世界ユースになると個の力に圧倒され、世界に追いついたと思っていたのが、もっと差をつけられているようにしか感じられません。サテライトの改革など早急に若手の試合出場というか実戦の機会を増やさないと日本に氷河期が訪れてしまうのではないかと不安になっています。
Posted by dhai at 2006年02月03日 04:19
81年生まれ以降のユース代表チームの試合内容の悪さには危機感を感じています。アジアでもほとんどボールキープが出来ず、単調な放り込みばかり。さらに世界ユースになると個の力に圧倒され、世界に追いついたと思っていたのが、もっと差をつけられているようにしか感じられません。サテライトの改革など早急に若手の試合出場というか実戦の機会を増やさないと日本に氷河期が訪れてしまうのではないかと不安になっています。
Posted by dhai at 2006年02月03日 04:20
81年生まれ以降のユース代表チームの試合内容の悪さには危機感を感じています。アジアでもほとんどボールキープが出来ず、単調な放り込みばかり。さらに世界ユースになると個の力に圧倒され、世界に追いついたと思っていたのが、もっと差をつけられているようにしか感じられません。サテライトの改革など早急に若手の試合出場というか実戦の機会を増やさないと日本に氷河期が訪れてしまうのではないかと不安になっています。
Posted by dhai at 2006年02月03日 04:20
最近あまり結果を出せていなかったハーフナーを遠征メンバーから外した途端にハーフナーが欲しい展開になったのは皮肉ですね。<br />
欠点が多い、というか殆ど一芸的な存在ですがベンチに置いておきたい選手だと思いました。
Posted by aa at 2006年02月03日 07:13
 まぁ、柏も8人の神戸を相手に30分もやって、一点も獲れなかったですし。
Posted by おお at 2006年02月03日 10:32
森島、伊藤、長沢と大型FWを育成しようという意図は感じますね。<br />
大型選手は遅咲きになりがちですが、今はがまんして使うべきでしょう。むしろ中盤にこれといった人材がいないのが気になります。清水の山本のような選手もいますが、3−6−1でパサー過剰のフル代表と対照的ですね。<br />
海外組
Posted by Unknown at 2006年02月03日 13:58
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