娘がちょっとした事情で、村主章枝選手を熱狂的に応援している。と言う事で、娘に付き合って、ちょっと早起きして、女子のフィギュアスケートを堪能させてもらった。
まず、坊主と私は、妻と娘に怒られてばかり。スルツカヤ(ロシア)とコーエン(米国)が失敗するたびに、「よっしゃ!」と叫ぶ男2人は、その度に女2人に叱られる。「お父さん、お互いベストを尽くしての勝負でしょう!」
坊主に至っては、コーエンが登場した瞬間に「ブー」と大声でやるものだから、姉に厳しく糾弾される。どう考えても、そう教育してきた父親に問題があるのだが、坊主には「世の中は理不尽なもの」と学んで欲しい。
でも娘よ。君の大好きな村主さんがメダルを取るためには、この東西の美女のいずれかが失敗してくれなければならないのだよ。君はその問題をどう消化するつもりなのか。父のようなサッカー狂(あるいは相対論的な社会観しか持たない馬鹿)からすれば、敵の力を削ぐのは重要事項なのだが。
と、フィギュアスケートとサッカーの愉しみ方はあまりに対照的な事はよくわかった。
それにしても採点競技と言うのはよくわからない。
素人の私の見るところ、少なくとも最後のフリー演技は、荒川静香と村主章枝の演技は、コーエン、スルツカヤを圧倒していたと思う。
前回の五輪で、審査員の国際談合がバレたために、今大会から大幅に採点方法が変わったらしい。解説の佐藤有香氏が新採点方法の観点から、事細かに「村主はどのジャンプが足りなかったから減点対象」と説明してくれた。確かにジャンプなどの技術で足りないものがあったのかもしれない。けれども、「演技表現実行力」や「振り付け」や「要素のつなぎ」などについては、村主は米露の美女たちより格段に優れていたと思うのだが。
素人は安心して暴言を吐ける。「審査員が村主の日本的な良さ−行間の美−を理解できなかったに違いない」と。
あれでメダルが取れないとは...
それにしても、荒川静香の輝きは一体何と表現したらよいのだろうか。
正直言って、荒川の印象は、8年前の長野の時の「我が郷土出身の若手スケータ、でも勝負弱い」と言うものだった。今回についても、「スルツカヤには歯が立たないのだろう、でも村主か荒川かどちらかは銅メダルは取ってくれるのかな」と言うイメージしかなかった。
しかし、ショートプログラムの時点で、荒川の雰囲気と言うか貫禄には、何か表現し難い凄みを感じ始めた。そして、今日のフリー演技。あのイナバウアから3連続ジャンプ、ビールマンスピンをはさんでフィニッシュに至る流れ、凄い。
そして、さらに荒川の輝きを一層認識したのは、表彰式。表彰式の最初は、「おー、そう言えば今度のオリンピックの表彰式は、このようなシステムなのか、1回も見る事ができなかったからな」とか「メダルの真ん中に穴があるのか」などと、間抜けな感想を抱いていた。
しかし、荒川が最も高い表彰台に立った時にドキリとした。後光が差している。両サイドに従えた両大国の美女と比較して、上背、スタイルと言う外観的な特長のみならず、荒川独特の直立した姿勢、落ち着いた笑顔、すっと伸びる手の振り方、そして勝利したが故のオーラ、全てに勝っているのだ。
これが世界一と言うものなのか。わかっている人はわかっていたようなのだが。
最後に少々危ない戯言を。
君が代と共に日の丸が揚がる。スルツカヤのために揚がったのはロシアの3色旗だった。どうせならば、旧ソビエト連邦の例の赤い旗だったならばよかったのに。日の丸の下に星条旗と革命旗が揚がる光景は、一層愉快だったろうに。
2006年02月24日
この記事へのトラックバック
村主さんは表現力に定評がありますが、ツボにはまらないと大外しするという印象があります。<br />
スピードに乗り切らない時は、苦しいですね。(チャカチャカして見えます。)<br />
今回はそのように審査されたのではないか、と思いますが。
公表された採点結果では村主選手は減点は無かったようですが、技の難度と完成度の高さで得点が伸びなかったようです。またスケーティングの技術という点では、上位3名が抜きん出ているのだそうです。そう言えば以前はルーティンもありましたよね。<br />
最後にこれは私の完全な私見ですが、体の柔軟性というのも問題ではないかと思います。技の「完成度」の違いは技術の確かさもさることながら、美しさが必要で違いはそこから来ているように思います。優雅さもそこから来るのではないでしょうか。エキシビションを見ていてそう感じました。
村主も3回転が2回転になったり、つなぎの部分でも細かいミスが多かったようです。荒川のパーソナル・ベストのスコアがプレッシャーになったのか。<br />
スルツカヤがあんなミスをするなんて。これも五輪の恐ろしさか。体調も万全には見えませんでした。<br />
<br />
> コーエン、スルツカヤを圧倒<br />
<br />
贔屓の引き倒しでは。<br />
アレックスの重用と同じに見えます。<br />
<br />
伊南バウアーさん<br />
<br />
米国のスポーツ記事でも、<br />
Eurosportでも、BBCでも、<br />
今回は荒川の圧倒的勝利をたたえていましたよ。たまには日本人の観賞を<br />
素直に味わいましょう。<br />
あれの重用と同じレベルにするのは<br />
ちょっと筋違いかと・・・・<br />
<br />
<br />
<br />
ロシアの妖精は素人目にもその芸術性の高さが感じられた。<br />
しかし、美に疎いからだろう。<br />
堂々とした荒川の演舞からは表現たるものを感じなかった。<br />
<br />
サッカーに関してはそういった心配は無用だ。<br />
課題はともかく、我々のチームには世界を魅了するなにかがある。<br />
強豪相手に失点を重ねても希望を失わずにいられるなにかがある。<br />
<br />
すると、もはやサッカーを見ていて、サッカーを見ていないのか。<br />
ベッカムの容姿の美しさに見とれる乙女と変わらぬ熱病か?<br />
いや、サッカーの虜になっているだけだ。<br />
<br />
それが甘いかどうかはともかく、<br />
そこに勝敗を超えた価値をみつけだす人は多い。<br />
シビアな世界に清々しい風が吹きぬける隙間があるのはうれしいことだ。<br />
隙を作らず弱みを見せずの「世界標準」に与しない狡知が期待される時代。<br />
ツッコミどころ満載であることの豊かさをしみじみと考えたりして…
ルールを変更する欧米人。<br />
ひょっとしたら、フィギアの採点方法も<br />
変更するかもね(笑)<br />
次回は浅田選手がいるからね。<br />
<br />
ところで、日本が、W杯で常勝国になったらFIFAは<br />
どんなルール改正をするのだろう(爆笑)<br />
<br />
<br />
>日本がW杯で常勝国になったらFIFAはどんなルール改正をするのだろう(爆笑)<br />
<br />
身長制限・・・・かな(笑)<br />
<br />
<br />
ではなく、「3回転ジャンプを危なっかしく決めるよりは2回転ジャンプを完璧に決めるほうが評価が高くなる」という現行ルールにおいては確実に飛べるジャンプに変更していくのは必須技術なのです。もちろん、あまりに点が下がる変更は出来ないのですが、「転んだりよろけるよりはマシ」なのですね。自分の体調と相談してその日できる限界の演技をするわけです。スルツカヤがジャンプを簡略化したのも同様の理由で、無理して当初の予定通りにしてたらコケまくって安藤みたいになってたかもしれませんよ。最後に転んだのがなければ銀メダルだったのですから、あの日の体調としては作戦は成功だったのでしょう。<br />
<br />
#スルツカヤは1月末にインフルエンザにかかっていたそうで、4分滑る体力が戻らなかったのでしょう。<br />
<br />
逆に言えば「転ぶの覚悟のうえで4回転ジャンプに挑む」というのは最初から勝負を捨てているわけですね。それにしても勝負は捨ててたんだから泣きそうな顔で演技するんじゃない!>安藤。泣きたくなる気持ちは分かるが。<br />
<br />
冒険がしにくい現行ルールは批判もあるようですが「最も点が出るように駆け引きする」という意味ではスポーツらしいのかも。「チャレンジ精神を評価する」じゃスポーツじゃなくて芸術だものな。
> 彼女が日本選手権の時に見せた滑りを今回もできたら、きっとメダルに届いたのだと思います。<br />
<br />
確かにそう。<br />
スルツカヤは間違いなく130ポイントを取って来る(と判断するのは妥当)のでメダルには122ポイントを求められたプレッシャーか、股関節の不調か、選手村の食事が合わなかったのか、オフィシャルのプレッシャーか。<br />
本来の出来ではなかったです。<br />
<br />
> 現行ルールにおいては確実に飛べるジャンプに変更していくのは必須技術なのです。<br />
<br />
技術ではなく戦術でしょう。<br />
彼女は33を飛ぶと試合前は言っていました。<br />
それもコーエンにプレッシャーをかける戦術かもしれません。食えないなぁ。彼女も足を痛めていたとか。公式練習に来なかったのも、それを悟られないようにとの配慮でしょうか。130ポイントで争う実力者2人を倒すにはモウリーニョばりの罠を仕掛ける必要があるのでしょう。<br />
<br />
スルツカヤはインフルエンザですか。<br />
流行ってたみたいですね。残念です。<br />
<br />
美しさの裏に見え隠れする駆け引きはフットボールのそれに勝るとも劣らないと思いコメントしました。<br />
<br />
せっかくの金メダルに水を差すつもりはないですよ。眠い目をこすりつつおめでとうって拍手してました。
荒川選手は妙な力がまるで入っていないのが、完璧な滑りを可能にした印象でした。<br />
スルツカヤは気の毒です。これが最後でしょうが、とうとう一番高い所に立てませんでした。本当なら、ソルトレークで達成されていたことでしょう。アメリカで行われたことが彼女の五輪挑戦のケチのつき始めでしたね。しかし、気が強いというかシッカリしてるというか、実に食えない奴といった女ですなぁ。
荒川選手がスケートを始めた勝山リンク(現在は閉鎖)八幡リンクと出かけたものです。八戸や盛岡のような400メートルリンクがないのでもっぱらフィギュアのまねごとでした。<br />
<br />
しかしその頃、すでに加藤久選手がいて、高校サッカーがそこそこ強くて、今はベガルタがあって、今野選手を輩出して・・仙台ってサッカーどころなんですね。
<br />
こんなふざけたNHKにも、ぜひそのうち講釈をお願いします。<br />
http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/nhk/1140777152/<br />