2006年03月22日

胃の痛みを喜ぶ(嘆く)

 初戦に実に景気のよい勝ち方をした時は、このまま胃の痛みを感じることなく、J1昇格を決めてしまうのでないかと心配したが、残念ながら今年も愉しいシーズンを味わえそうな事だけはわかった試合だった。



 試合そのものは、両チームのセンタバックとCFの戦いで勝負が分かれた。

 

 ベルマーレのワントップ横山の動き出しの早さ、特にベルマーレボールになった瞬間にスッと動くタイミングが素晴らしかった。ベガルタのCB白井も木谷も一歩めで置いていかれるので、横山はいつもフリーでくさびを受けて精度の高いリターンを落とす。この攻撃にベガルタは苦しんだ。ベルマーレの得点は、直接FKを加藤望が短くつないだ後に佐藤がクロスを上げた間隙に、横山が見事な動きでフリーになり決めたもの。試合終盤も押し込もうとするベガルタに対し、横山は見事な引き出しで対抗し、逃げ切りに貢献した。

 横山の好調が継続するとなると、いずれのチームのCBも相当悩む事になるだろう。



 一方のベガルタのワントップボルジェス。敵のストッパに身体を預けられても、強引な反転で前を向くのが武器。けれども、当然ベルマーレのCBもその武器は読んでいる。この日、ベルマーレのCBは田村が執拗にボルジェスにまとわりつきインタセプトを狙い、ボルジェスが振向いたら城定も絡み、挟み込む。ボルジェスもその分厚い守備を幾度か打ち破って、好機を作ったのだが得点には至らなかった。

 試合終了後、MVP(賞金10万円だそうだ)として城定が表彰されていたが、得点を決めた横山や、中盤で素晴らしいインタセプトを見せたニヴァウドでなく、城定を選考したベルマーレ関係者に感心した。試合内容よりも、この選考をしてくる今シーズンのベルマーレは要警戒だ。



 ところで、ボルジェスとベルマーレの両CBの攻防を愉しみながら、2点考えた。

 1つ目。ベガルタの単調な攻撃。確かにボルディスが振り向く事ができれば、決定機になるが、敵だってそれは読んでいる。ボルジェスに当てる振りをして外を使うとか、ミドルシュートを狙ってボルジェスのマークを外すとか、工夫が全く見られなかったのが残念だった。特に菅井と梁がそのような判断ができないようでは、J1昇格はおぼつかない。2人は猛省すべし。

 2つ目。ボルジェスの突破は、今後審判を相当悩ます事になりそう。ボルジェスは反転しつつ強引に身体をこじ入れて突破を狙う。マーカも負けじと身体を当てる。それでもボルジェスは前進できる時もあるし、逆にボルジェスがマーカごとバランスを崩し他のDFがボールを奪う場面もあった。そのまま、プレイが流れると言う判断も成立するし、さらには以下2種類の反則があったとの解釈が成立する。

(1)マーカはボルジェスとぶつかり合った時に、ボールはDFのプレイングディスタンスを離れ、かつDFはボルジェスの前進を妨害している場合が多いから、オブストラクションあるいはチャージング。

(2)ボルジェスが身体をこじ入れた時に、結果的に手をつかってマーカを妨害するから、あるいは進路を妨害するDFを押し倒すから、ボルジェスのファウル。

 これらは、まさににケースバイケース。都度のタイミングで判断が分かれようが、非常に審判を悩ませる突破方法である事は間違いない。



 ベルマーレは強いチームだし、敵地で負けたのは仕方がない。開幕4節で、星勘定を嘆く意味もないし、内容を反省し改善していくのが重要だろう。

 とは言え、残念だった事。1つは上記の菅井と梁の単調な選択。

 そしてもう1つ。後半25分あたりに、ベガルタが猛攻を仕掛けた場面。村松を投入し両翼に2枚の選手を並べ、梁の配給を軸に押し込む。よい揺さぶりから幾度となく好機をつかんだ。一方ベルマーレ守備陣は我慢を重ねる。このような場面はいわゆる我慢比べ。たとえ遅攻になっても攻撃側は丹念に攻勢をとり続け、丹念に守り続ける守備を崩さねばならない、一種の我慢比べである。しかし、この場面で我慢し切れなかったのはベガルタのベテランCB白井だった。苦しい状況でベルマーレが横山?にくさびを入れて、何とか凌ごうとしたところで、白井が不用意極まりないファウル。白井は警告を食らったが、それ以上にそこでベガルタの猛攻が途切れたのが痛かった。ベテランがこのようなプレイをしてはいけない。

 今ベガルタが目指しているのは、単純なカウンタサッカーでは無く、敵が守備を固めても崩しきるだけのサッカーを作り上げる事のはず。あの場面の白井のプレイは、その自覚が欠けていたと、厳しい指摘を言わざるを得ない。



 長いシーズンは始まったばかり。昨シーズン、一昨シーズンに比べれば、格段によい立ち上がりなのだから、淡々と早い改善を望むばかり。
posted by 武藤文雄 at 23:52| Comment(3) | TrackBack(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
仕事のため平塚に行けなかったので、生でくやしがる武藤さんが見れずにとっても残念です(笑)
Posted by おぢさん。 at 2006年03月23日 02:18
私は応援の声が少々気になって、スカパーを何度か聞きなおしor見直したり、静止画で確認したりしてました。
Posted by まるこう at 2006年03月23日 17:20
ボルジェスやロペス、それと中島とその下の菅井と梁、この辺の連携面も足らないと感じる訳ですが、菅井と梁の攻撃の構築に不満を感じる辺りがさすがです〜<br />
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中盤が落ち着かない分、サイドを使った攻撃もイマイチ不十分であったようにも見えますし、磯崎も多少無理して上がってもよかったかもしれないなーと個人的には見てました。<br />
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愛媛戦は、中盤のメンバーを多少いじるそうです。菅井の変わりに熊林が入りそうです。<br />
<br />
今まではシルビーニョが中盤で攻撃を構築してきましたからねー菅井と梁も、もっとイマジネーション豊かになっていただきたいもんです。
Posted by ゴールド・フラッグ at 2006年03月24日 13:10
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