2006年06月05日

忘れられない試合

 80年代半ばだったろうか、友人達と議論した事がある。

「一体日本代表が欧州で戦ったらどのくらいのランクになるのだろうか」

色々議論は出るのだが

「いつもワールドカップや欧州選手権の各グループで最下位の、マルタとかキプロスとかルクセンブルクには勝てるのではないだろうか」

と言うあたりに落ち着いた。

 もっとも、こう言った国でもホームでは結構粘り強い試合をするのが常。ちょっと古い資料で調べてみたら、80年の欧州選手権の予選でマルタはホームのバレッタに当時の西ドイツを迎え、0−0の引き分けに持ち込む事に成功している。当時の西ドイツは、今日と異なり欧州屈指の強豪、結局80年にイタリアで行われた本大会ではルムメンニゲとシュスタを中心に優勝しているほどのレベルだった。その西ドイツと引き分けたのだから、半端ではない。大体、当時の日本代表が国立に西ドイツを迎えて引き分けられるとはとてもではないが思えないな。

 今回の予選でもクロアチアがマルタに引き分けているが、小国とは言え欧州で揉まれている経験に加え、肉体的には頑健な選手が多い事もあり、そう簡単に大量点を取る事ができる相手とは考えない方がよいようだ。



 そう考えると、この日の苦戦は残念だったが、そう悲観的に考えるものではないと思う。

 マルタは相当モチベーションをもって試合に臨んでくれた事もあり、タックルもいささかラフ。先日の加地の負傷の影響もあったかもしれないが、選手達だってこの時点での負傷を恐れ、あまり無理なプレイは選択していなかった。

 また2トップは代えてきたものの、後の選手はドイツ戦からあまり日が経っていないための疲労もあったろう。ピークを8日後にもっていかなければならない事情もあるし。

 豪州戦には、ドイツ戦以上に引き締まった素晴らしい試合を見せてくれる事を確信している。



 ただし後半の攻めあぐみは少々複雑な気分になった。

 中田、小野、中村、小笠原の4人が同時にピッチに立った時は少なからず興奮した。この4人が揃ってプレイした事はかつてなかったはず。我らが世界に誇り得る、中盤の創造的名手が勢ぞろいしたのだから。個人的には、この4人が技巧を凝らしたプレイで遅攻で敵陣を次々と崩す場面(たとえば、プラティニとジレスとティガナとジャンジニのように)を期待したのだが、現実はそう甘くはなかったと言う事だろう。

 少なくともこの試合に限っては、両翼、最前線との約束事が曖昧だったのみならず、4人の作業分担も不明確。何か、4人がお互いに遠慮しあってプレイしたかのようにも見えた。

 もっと早くこの組合せを試して欲しかったのだが(もっとも、小野と中田が交互に負傷して離脱していた事と、インタナショナルマッチデー以外は欧州でプレイする選手の召集が難しかった事などから、やむを得ない事も確かだったのだが)、もう時間はない。

 僅かながらの期待ではあるが、願わくば、大会までの短い期間で相互の連携が深まる事を。そして、短い時間帯でもよいから、どうしても点が取りたい苦しい場面だけでも、彼らが同時にプレイし、世界中を驚かすような技巧の冴えを見せてくれないだろうか。

 

 と、夢を追っている時間は過ぎたのだろう。

 今大会は、ドイツ戦のスタメンを中軸に戦い抜くことになるのは間違いない。それはそれでよい。残り僅かな準備期間を有効に活かし、丹念に勝ち点を積上げ、まずは2次トーナメントを目指そう。そして、さらに上位を。

 ただ、このマルタ戦は、この4人が同時にプレイした試合として、大事に記憶していきたい。
posted by 武藤文雄 at 02:21| Comment(12) | TrackBack(3) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小野がここまで劣化していたとは思わなかった。<br />
天才と称された頃の面影はなかった。<br />
この出来なら長谷部か松井を連れてくるべきだった。<br />
<br />
このマルタ戦でわかったこと。<br />
@1トップは機能しない。<br />
Aこの4人を同時に使用してはいけない。<br />
B玉田はそれなりに使える。<br />
C4バックならやっぱし坪井と中澤だろう。
Posted by 有頂天 at 2006年06月05日 21:44
あの状況と相手なああいった試合は十分ありうる。<br />
マルタは守備もそこそこで、日本が前ががりなうえに力関係から割り切った対応をとってきた。<br />
中村は点滴をうってのぞむ様なコンディションだったらしい。<br />
小野ら後半投入のメンバーや大黒、玉田に関していえば、アピールしたいという欲が悪い方にでてしまったのではないか。
Posted by ま at 2006年06月06日 01:15
前を向いた瞬間にいかにしてボールをゴールに結びつけるかという事。これをさかんに練習していたか。ヒデのイメージはそんな中からの得点シーンがもっとも効率的でありまた逆に相手に対してもそのようなイメージを持たせることによる相乗効果を生み出すことが様々な攻撃につながると考えていると思います。ここでカウンターがくる!とか考えたら相手も少しは考えるし。そんな緩急をつけることが相手に対しての無言のプレッシャーにもなります。ヒデはボルトンではロングボールでの戦術で強い相手に対しての対処法に味方の選手の使い方に疑問を持っていたと思う。ボルヘッティなんかにしても。我々はあのメキシコのボルヘッティのヘディングで見事にコンフェデでやられている様に味方を活かす動きをすることが今の日本代表に求められること、そしてその味方のパスの意図をいかにくむこと。ヒデはさぼっていたか?手を抜いていたのだろか!?浩二へのパスがいらだちに見えたのは自分だけではない。前を向いた時こそ日本代表のゴールへの可能性と勝利という歓喜にたどり着く一番の近道であるとヒデが一番理解している証だと!
Posted by だんでる at 2006年06月06日 02:55
中盤からガンガン飛び出して来る選手が2人ぐらいほしいよ。<br />
長谷部か佐藤ツインズがいればなぁ〜
Posted by ムー at 2006年06月06日 08:36
中盤からガンガン飛び出して来る選手が2人ぐらいほしいよ。<br />
長谷部か佐藤ツインズがいればなぁ〜
Posted by ムー at 2006年06月06日 08:36
中盤からガンガン飛び出して来る選手が2人ぐらいほしいよ。<br />
長谷部か佐藤ツインズがいればなぁ〜
Posted by ムー at 2006年06月06日 08:36
豪州戦の試合結果は既に決められていますよ。日本にとっては辛い結果が待っている。この試合結果は、韓国のFIFA副会長のチョンモンジュ氏が決めている。今回は、前回のことがあって、韓国の躍進は無理だ。だから、彼らの矛先は、日本の足を引っ張ることにある。
Posted by Unknown at 2006年06月06日 16:58
今回の日本のサッカーの最大の敵は <br />
韓国人のFIFA副会長のチョンモンジュ。 <br />
グランドの外に敵が居る。 <br />
トヨタも、トヨタカップのトヨタの名称を <br />
チョンモンジュによって外されて、かんかんに怒っている。 <br />
<br />
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/eleven/1149259530/578580
Posted by Unknown at 2006年06月06日 17:05
モンジュじゃなくてモンジュンね。
Posted by Unknown at 2006年06月06日 17:40
モンジュンは日本が最終予選で北と戦うという時、韓国にカイザーを招待していましたからねぇ。何を話していたかは不明ですが、あの時の北に対する処分に異を唱える発言をカイザーから引き出すのに成功していました。<br />
裏での活躍は凄いですね。逆に日本は会長らがアマ出身選手ですから、まぁ無さすぎなのは仕方ないですかね。
Posted by OPM at 2006年06月07日 01:09
武藤さんは「中田、小野、中村、小笠原の4人が同時にピッチに立ったことに興奮した」とおっしゃいますが、おまけに福西を下げて稲本まで入れたんですよね。以前、黄金のカルテットと言えば、中田、中村、小野、稲本でした。<br />
<br />
私はこの時点で、これはジーコはお遊びモードに入ったなと思いました。4バックでしたが、もう守備には二人(宮本と中澤)しかいらないということですから。<br />
<br />
で、機能したかというと、案の定でしたね。
Posted by 神社米価 at 2006年06月10日 23:33
気にいってる選手はどんだけ酷い出来でも叩かないんだなwさすがゴミクズ武藤クオリティーwww
Posted by Unknown at 2006年07月08日 16:55
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Tracked: 2005-01-01 00:00

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Tracked: 2005-01-01 00:00

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