2006年08月10日

頼むよ坪井

 「時間がない」

と、オシム氏は語り続けていたが、次に控える重要な公式戦のための仕掛けはしっかりとなされていた。

 闘莉王、坪井、鈴木啓太のレッズの3人による中央の守備、隼磨の前進に合わせて3人が右にずれて駒野が中央に絞る事(この駒野の使い方は、ジェフにおける坂本の使い方を思い起こす...余談ながら、国内屈指の知性的職人坂本は恩師オシム氏の下、A代表に選考されるのだろうか)、川口と闘莉王の守備範囲の調整。こう言った守備面での整備を、僅かの期間で行い、翌週のイエメン戦に備えようと言う意図だったのだろう。啓太の1つ前にいる長谷部も前に行き過ぎず、この後方7人の守備はなかなか厚かった。

 イエメンがどのようなチームかはよく知らないが、西アジアの2、3番手国である。この厚い守備を基礎に試合をすれば、よほどの事が無い限りには点を取られないだろう。1週間後の公式戦に向けて、よい準備ができたものだ。

 と思っていたのだが...

 豪州戦にせよ、トリニダードトバコ戦にせよ、「坪井の足攣り」は何なのだ。2回見せられると、もう偶然では片付けられない。それなりの経験を積んだトッププレイヤとは思えない失態だ。これで週末Jリーグを戦った後の水曜日の試合、坪井をスタメンに使うのは、相当勇気が必要になってしまった。オシム氏にとってはあまりに大きな誤算。頼むよ、坪井

 交代で起用した栗原の出来は「若手の有力選手だが...」としか言いようのないものだった、捲土重来を期待したい。むしろ、Jでも相当な実績を挙げていて、先日中国のフィジカルだけの選手を完封した青山を試しておくべきだとも思ったのだが。

 イエメン戦の闘莉王の相方は誰になるのだろうか。坪井で行くのか。アテネ五輪チームで闘莉王、啓太と合わせた事のある茂庭を召集するのか。オシム氏の教え子の水本か。はたまた潜在力の青山か。阿部や坂本がCBで起用されたりして...



 攻撃については、まああんなものだろう。アレックスが2点目を決めるまでの内容は実に見事だったが、以降は運動量が落ちてしまった。

 中でも、アレックスの使い方が面白かった。若い頃の高速ドリブルの印象が強いせいか、どうしてもサイドの選手と言う思い込みがあったが、この日は左足の精度を活かした攻撃的MFでの起用だった。このポジションならば、悪癖の持ち過ぎも是正されやすいのではないか。敵にセンタリングに尻を向けるのは相変わらずで笑えたが。オシム氏は、この日のアレックスのようなラストパサーのポジションを常時準備するのかどうか。もしそうならば、このポジションを、中村、小笠原、アレックスらが争う事になるのだろうか。ここの争いに、五輪チームの本田や梶山が割って入れば、一層面白くなるのだが。

 ともあれ、A代表試合であり、もう少し切れ味と言うか、攻撃力を見せて欲しかったのもの確か。チーム全体のコンディションがよくないのみならず、監督の方針の徹底なり仕掛けなりもまだまだこれからの段階。だからこそ、選手たちには互いの「個」を活かす工夫を期待したい。我那覇なり寿人なり(召集が確実視される)巻なりに得意のシュートを打たせるためには、あるいは達也によい体勢よい場所でドリブルを開始させるためには、どのようボールを提供すればよいのか、小林大悟や長谷部や隼磨には、そこをよく考えて欲しいのだ。逆も当然真、自分の得意なプレイをするために、何を要求するのか。そのような最低限の準備をした上で、各自のセンスを活かした即興的な美しい攻撃を期待しても、バチは当たらないと思うのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:44| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中盤に周りを生かす技術力の高いベテランが必要だと思いました。核にはやはり、一枚上の存在が必要だと感じます。オシムのパスサッカーでは、それは小野伸二の存在ではないか。彼が吹っ切れたなら、オシムも使って欲しい。昨夜のスポーツ番組で、小倉氏、清水秀彦氏、武田氏などもオシム代表での伸二を見たいと話していました。同じ思いです。
Posted by Unknown at 2006年08月13日 19:17
テレビやニュースでしか見ていないので間違っているかもしれませんが、どうも通訳とオシム監督がギクシャクしているように見えます。通訳と監督は一心同体ですから、通訳の方にはオシム監督の心まで選手に伝えて欲しい。オシム監督→通訳→大熊コーチの伝言ゲームでは気持ちは伝わらない気がします。選手が練習内容を把握しきれないのもそこにも問題があるのではないでしょうか? ジェフで一緒にやっていた通訳の方がそのまま日本代表でもと思っていたのですが……。
Posted by Unknown at 2006年08月14日 05:17
W杯で見たトリニダード・トバゴはとにかく失点しないことが第一で、失点されてからは人が変わったように追い上げる姿が印象的だったのに、9日のトリニダード・トバゴはそんな迫力の片鱗もなかった。イエメンも中東らしい堅守速攻チームと聞くが、モチベーションは9日のトリニダード・トバゴの比ではないだろう。三都主の確変がなかったら、あの試合本当に勝てていたのか? 前半の内容はオシムらしかったとか言ってる場合じゃないだろう。<br />
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Posted by Unknown at 2006年08月14日 06:58
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