平山について書くつもりだったが、あの若者達のPK合戦とそれに至る死闘を見てしまったら、もうこちらを語るしかない。
ネット中継を後半半ばから見始めた。1−0で日本がリードしている。日本の先制点は後からVTRで見たのだが、柿谷が後方からの浮いたスルーパスを受けて抜け出しての得点。トップスピードで抜け出しながら、腹や腿でボールを押し出しながら、GKの手前で低く強いシュートを打つのはお見事。アルゼンチンのトップクラスの選手ばりの技術だった。
私が見始めた時間帯は、もう日本は守備を固めているかの試合振り。イランは技巧的な選手を揃えているが、日本の素早いカバーリングに苦しみ、長いボールと強引な競りかけで崩しを狙う。対して日本の若者達も決然とひるまずに身体を張る。
守り切るかなと思われた後半38分ごろ、イランが日本の右サイドにロングボールにイランのFWが飛び込む(以降の左右は全て日本から見て)。日本の右DFがややボール処理を誤りFWに抜け出されるも、カバーに入ったCBが適切にカバーし身体をしっかりと入れる。と思ったら、イランFWが見事な粘り腰を見せ、強引に左足を前に出し浮いたボールを中に折り返す。そのボールが偶然にも日本DFの間隙を突き、飛び込んできたイラン選手にピタリと合い、強烈に決められてしまった。DFの数も十分足りていたのだが、これはあの折り返しをした選手を誉めるしかないな。一方、身体を巧く入れた日本のCBには、最高の失敗経験となった。カバーリングに入ったところまでは完璧だったが、国際試合の難しさを体験できたと言う事だ。
同点にされて日本が攻め始める。面白いのは、このチームの若者達は勝負ところで、ドリブルで仕掛ける事。山田、斎藤、比嘉と言った若者が長い距離のドリブルで攻め込む(比嘉って、あのセイハン比嘉とは血縁関係は無いのだろうか)。対してイランはファウルを交えて必死に守る。延長戦でイランの2番は警告2発で退場になるが、いずれも日本の長いドリブルに対応できず見え見えのファウルで止めたもの。2回退場になってもおかしくないプレイだった。ただし、イランの最後の粘りは実に見事で、幾度かの好機を日本のシュートギリギリでブロックする。
一方で前掛りの日本に対して、イランの逆襲は鋭い。再三日本CBの裏を狙った攻撃をGK広長が再三の飛び出しで防ぐ。また、イランの早めのシュートは、各DFがしっかりとブロックしよく防ぐ。
日本がドリブルを狙い、イランがスルーパスを狙うのは、何か大人の代表チームと逆にも思えるが、少なくとも日本サイドに立てば、若者が個人能力を大一番で発揮しようとするのだから、文句を言う筋合いではないな。贅沢を言えば、いつも無理に狙わずに、たまにはゆっくり回せばよいと思うが、それはもっと年長になってからトライしてもいいのだろうから、これでいいのだと思う。気持のよいチームだ。
延長終盤には、イランGKが負傷で長々と寝込むなど、あの9年前のアベドザデを思い出すべきなのか、本当に怪我だったのか(その割にはPK戦でのセービングは凄かったが)と言う場面もあり、PK戦へ。
もうあのPK戦(12人が蹴った、あれ13人だったっけ?)はどう表現したらよいのか。これを決められたらオシマイと言う場面を3回(たぶん3回だけど4回あったかな)止めた広長。童顔ながらも、実に精悍な表情の若者だ。120分間の試合中も見事なプレイを見せてくれたが、あれだけ苦しい場面を耐え切った精神力、将来が実に愉しみだ。一方のイランGK(ナウシと言う選手なのかな)、上記の負傷?にも関わらず、キック前に一歩前に飛び出し抜群の読みと反応を見せて日本を苦しめた。これはよいキーパだ、今後も我々の前に立ち塞がる事を期待したい。日本の2本目と5本目を止めたにも関わらずやり直しとなったのは気の毒だったが、明らかにキック前にゴールラインを飛び出していたので仕方が無いか(PK戦前に主審は両GKにゴールライン上に立つように注意していただけに、この判定はやむを得ないだろう、むしろ2回のやり直しの後もこのGKはゴールラインから飛び出してセービングしていた。さすがに、主審もこれ以上のやり直しはさせられなかった、自分のスタイルで戦い切ったと言う事か)。
そして水沼。主将を務めているのね。2世選手にプレッシャをかけるのは本意ではないが、このレベルまで来たのだから、少しは言及させてくれ。この日も、父と同じ右サイド引き気味のポジションから、組立、シュートに奮戦。延長前半の惜しいシュートのトラップからの動きなど、非常に実戦的な選手。やさ男の風貌だった親父殿に比べ、精悍な顔つきだが、心臓の強さは引き継いでいるようだ。PK戦では、1人目に登場し、陽動動作をする敵GKに対し落ち着き払って鋭い一撃を決め、逆にGKを威嚇した。さらに11人目に再登場(敵に退場者がいたので、日本も1人キッカーを外したもの、このルールは知っていたが運用されたのは初めて見た)し、今度は動くGKをバカにするように真ん中に決めた。
若年層の国際大会の目的は、前途有為な若者に適切な経験を積ませる事にある。
これだけの試合を120分間(と言っても最初の60分間は見ていないのだが)してくれると、もうそれだけでその目的が達せられた事になる。ところが、その後のPK戦で彼らは一層の経験を積めた。さらに日本の若者たちは世界大会の経験も積めるが、この試合を見させていただくと「もう世界大会なんてどうでもよい」と言う気持になってくる(いや、そんな事はないのだけれど、彼らは「世界」に行くために頑張ったのだから)。
とにかく、理屈ではなく、これだけの試合を見せてくれた両国の若者達を称えたい。ありがとう。
2006年09月11日
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Excerpt: AFC U-17選手権シンガポール2006:準々決勝日本 1−1(PK:8−7) イラン日本出場やっとこさキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!しかし、12人...
Weblog: ミューズとソフィア
Tracked: 2005-01-01 00:00
若代表の試合では韓国と中国、カタールにお世話になってます。どうして日本ではできないのでしょう。<br />
これからも協会にはこの年代の強化に全力を傾けてほしいですね。
も褒めてあげてください。<br />
彼らがいたからこそ日本は優勢に<br />
戦えたのだから
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/eleven/1157976609/<br />
<br />
今回は韓国のここでした。<br />
http://sportslive.media.daum.net/live/soccer/s_live/<br />
<br />
P2P(peer to peer)ソフトで中国系中継(上海体育、彩富体育など)を見る方法があります。(リスクは自己責任で。)<br />
http://www.geocities.jp/zeroreppuu/freesoft_sitelink.html<br />
ネットでサッカー観戦【Part7】W杯直前<br />
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/football/1149014747/
http://sportslive.media.daum.net/live/soccer/ac_live/asian_vod_live.jsp?url=mms://vsearch.daumcast.net/mdsportsvod/md/u_17/20060911/20060911JPNIRN.wmv&type=NM430 <br />
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Windows Media Playerで、ファイル→URLを開く→上のURLぶちこむ→3時間見る <br />
途中からでも見れる
ネット中継先を教えて頂き有り難うございました。お陰様で、日本とシリアの準決勝の生中継を見ることが出来ました。どうして、日本ではネット中継が出来ないだろうか、不思議でなりません。