明日の中国戦のチケット販売が不振らしい。報道によると、前売り券が6000枚程度しか、売れていないらしい。シドニー、アテネの準備試合は常に万単位の観客を集めていた事を考えると、これは深刻な事だ。酒精メーカと連携して国内で仰々しい国際試合を行う事に対する批判は大きいが、一方でそれによる入場料収入さらにはスポンサの協力活動は、ここ15年来右肩上がりの日本サッカー界を経済的に支えてきた。それが思うに任せなくなるとすれば、少なくとも経済的側面(言い換えると身も蓋もないが、金儲けの見地)から考えると、これは大変な事態である。一体何が起こったのだろうか。
明日の相手は中国で、国内で行われる国際試合の最大のリスクである「相手が全く本気でない」と言う事はない。ライバルと言うには中国が弱すぎるが、それでも、それなりに面白い試合は期待できるだろう。さらに、東京には在住の中国人も多数いるので、そちらの観客動員が期待できるはず。
また今回の五輪代表チームは、2年後に向けた立上期にも関わらず、既にJリーグで活躍している選手がズラリと並び、相当強力になる事が期待されている。しかも、各ポジションに満遍なくタレントが揃っているのも今回のチームの特色。さらにそのチームを率いるのは、アルビレックスで中々の実績を上げた若き理論派反町氏。しかも、反町氏はA代表のコーチも務め、オシム氏との連携も十分に取られている。間違いなく愉しみなチームだ。
少なくとも、過去のシドニー、アテネの準備試合に比べて、見世物的な期待感が劣るとは思えない。
ワールドカップ直後の年の五輪代表と言う事を考えると、類似的な試合としては8年前、98年11月のアルゼンチン戦が思い出される。この試合は、トルシェ氏の来日2試合目(初戦はA代表のエジプト戦)だったが、ごく短時間の準備にも関わらず、宮本、戸田、古賀のフラット3が機能し、石井、稲本のドイスボランチ、そして何より攻撃的MFで小野と中村が初競演した試合だった。稲本のクサビを福田が落とし、中村の芸術的なループがネットを揺らした場面は、今も目に浮かぶ。しかし、この美しい思い出はあくまでも結果系の話。この試合は4万人くらい入った記憶があるが、トルシェ氏がどのような監督かどうかは、当時とはしては白紙段階。当時の若き五輪代表への「漠然とした期待」により、大観衆が集まった訳だ。一方で、今回の五輪代表チームは、多くの人に当時のような「漠然とした期待」が集められていないと言う事になる。
その後、トルシェ氏時代も山本氏時代も、上記のように五輪代表の準備試合は常に万単位の観衆を集めていた。さらに言えば、この2人の監督はいずれも、有料国際試合として万単位の観衆を集めながら、「ラボ」とか「競争」と称して、肝心要の試合終盤に「勝つ」よりも「試す」事を優先していた。そのため、数千円の入場料を払ったにも関わらず、「見世物」としてはあまり面白い試合にはならない事が非常に多かった(これは非常に難しい問題で、準備試合の第一の目的は「試す」事にあるのは間違いないので、全否定はできないのだが)。もっとも、この2人の監督の手腕の差は、本大会で「ちゃんとチームをまとめて勝った」のと「全くチームをまとめられず無様に負けた」と言う大きな差がある事は、明記しておかなければフェアではないな。何が言いたいかと言うと、「試す」を重視したあまり面白いとは言えない試合でも、継続して万単位の観衆が常時入っていた事だ。
このように整理してみると「アテネ五輪以降のあるタイミングで、五輪代表に対する『漠然とした期待』が全く小さくなってしまった」と考えざるを得ないではないか。
元々、各方面で「ドイツワールドカップに向けて、広告代理店は完全に浮動層のファンをメインターゲットにマーケティングを実施、それに日本協会(と言うか川淵会長)も乗ってしまい、結果として適切な強化ができずドイツでは完敗、さらにドイツでの日本の不甲斐なさに浮動層もサッカーからサヨナラ」と言う懸念が語られていたが、それが現実化してしまったのだろうか。もし、そうだとしたら危機的状況である。
「代表人気にあぐらをかいて適切な営業活動をしなかったから」と言う批判も多く見受けられるが、上記のトルシェ氏時代や山本氏時代だって、適切な営業活動が行われていたとは思えない。とすれば「10年以上継続していた代表バブルがはじけた」と言う事なのか。これまた、そうだとしたら危機的状況である。
一方で、「欧州や南米では、U23代表への注目度は低いからこんなもの」と言う意見もあろうが、そうだとすればアテネ前の大観衆はどこに行ってしまったのか。彼らが皆Jリーグサポータに転身してくれたのならば結構なのだが。そして、もし日本も欧州南米同様、若年層代表チームの一般人気がなくなりつつあるのだろしたら、単純な金儲けの面からやはり大事件。ビジネスと言うものは、1度失ったセグメントを再び活性化させるのは非常に難しい。そうだとしたら正に危機的状況である。
今から、明日の中国戦が大観衆になる事は不可能だろう。しかし、純粋にビジネスの見地から言えば、日本協会は「今回の失敗」を真摯に反省し、この観客激減の原因を突き止め、11月に予定されている韓国戦までに具体的な対策を打たなければならない。
ともあれ、現場をあずかる反町氏はアルビレックス監督時代は、「選手は足りないが、サポータは十分」と言う、ある意味で幸せな環境で成果を上げてきた。しかし、今度の五輪代表は全く逆になるのだろうか。
明日の試合に関して。先日のアウェイゲームを見てもわかるが、中国は相変わらず強くて巧い選手を幾人か抱えているようだったが、相変わらずいずれの選手も頭は悪そうだった。あの青山敏弘が壊された場面などは、悪しき中国代表の伝統そのもの。たぶん、今回のチームもダメだろう。
さらに日本は、前回のアウェイゲームではベストとは言えない布陣だったが、今回は現状のベストに近いメンバを使える(もっとも、水本は離脱したし、ユース勢が使えないと言う事情はあるのだが)。とすれば、「2年後に北京で金色のメダルを獲得するためのスタート」と明確な目標を持って、完璧な大差の勝利を期待したい。
2006年10月24日
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U−21中国戦の観客動員は問題なのか?
Excerpt: SoccerCastの第3回放送がアップされました。今回は試験的試みとして、選手
Weblog: KET SEE BLOG
Tracked: 2005-01-01 00:00
特亜コンプレックス
Excerpt: マスゴミは一人の若者を持ち上げたり、貶したり、相変わらず忙しい様ですな。 オシム語録を良く読んでから、記事にして貰いたいモノだ。 ホームシックで帰ってきてしまう ナイーブな若者にとって、些か辛辣すぎる..
Weblog: あるぱか、ネタの種
Tracked: 2005-01-01 00:00
売れていないらしい。<br />
<br />
Jの対戦カードでいったら<br />
どこらあたりレベルなの?
カテ1が5000円。<br />
オレなら真ん中なら良いけどゴールポストのあたりで5000円は払えない。<br />
カテ2で見させていただきます。
前節の結果からいうと、J1では最低の動員数だった<br />
C大阪 4?2 広 島 長居2 7,897人<br />
が一番近く、J2でいうと、<br />
湘 南 0?1 横 浜 平 塚 7,392人<br />
が一番近い数字。<br />
ちなみに、J2の今年度平均は6,148人です。<br />
<br />
それが、見てのとおり試合ごとに下降気味で、A代表なのに五輪代表みたいだと揶揄されるレベルだ。実際、A代表に初召集された選手から「みんな巧くてすごいレベルで…」と、あのコメントが、今は聞かれない。<br />
<br />
したがって今の五輪代表がU−19くらいにしか見えない。そう考えると、集客6000人には納得できる。
値段はどう?<br />
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全く同感です。高すぎる。第一に姿勢の問題があると思う。<br />
<br />
アトランタ壮行試合のころなんか全席自由とかあったような??ゾノ城ヒデヨシカツと当時の人気選手が揃っていたにもかかわらず。<br />
自由だって1,500円でいいですよ。<br />
若き駿馬を安く見られる、これが五輪代表の価値じゃないの。<br />
そもそも論ですが客がいるからスポンサーがつくわけで、向いてる方向がおかしい。<br />
<br />
ギリギリになって地元協会にチケットが回ってますが、笑止。もう買っちゃったも〜ん。<br />
こんなギリギリでばら撒くなんてふざけた態度じゃなく、プレイヤー(小中高大、クラブ)を観客として呼び込むことにももっと真剣になるべき。<br />
<br />
<br />
浮動層と想定される客は、まず選手を中心に見ると思いますが、ここ10年常に古い世代を上回る才能が五輪やユースでは堪能できたところ、平山>高原とはいえないし、枝村、梶山らは伸二や俊輔を凌ぐインパクトを与えるにはいたってません。ここが大きいのでは。
ワールドユースで優勝してもらわないとね。<br />
<br />
まあ、その連中にしてもただの親善試合では大して人は入ってませんでしたよ。<br />
アルゼンチン戦を例にしているけど、半数はアルゼンチン代表を見にいっただろうし。<br />
<br />
チェニジア戦なんかは1万人台だったはず、天気も不順で雷が鳴っていたし。<br />
前座でU19の試合をやったり、牧歌的でしたよ。<br />
U21はオリンピック最終予選からっすよ、盛り上がるのは。<br />
<br />
前園の時も最終予選前はA代表と違って、ろくに取材もされなくて<br />
悔しくて「絶対見返してやる」と言ったと昔のナンバーで読んだっす。
初めて投稿させて頂きます。<br />
<br />
<br />
中国戦のチケット販売の不振理由に、<br />
<br />
>ドイツでの日本の不甲斐なさ<br />
<br />
というのもかなりあると私は思います。<br />
<br />
さんざんマスコミに煽られて、<br />
「目標はベスト4とか優勝もありうる」とも言われ、<br />
期待した結果、1勝もできなかった訳ですから、<br />
「なんだ、全然たいしたことないな」、と思われても仕方ない結果だと思います。<br />
<br />
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しかし、適切に強化し、日本代表やオリンピック代表が強くなれば観客は自然と帰ってくるのではないでしょうか?<br />
<br />
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例えば、フランスが98年の自国ワールドカップ初優勝後、練習試合でもスダッド・ド・フランスがいつも満員だったような気がします。<br />
そりゃ、自分の国の代表が世界一になって、ブラジルやアルゼンチンなどの強豪チーム相手にも一目置かれて、挑戦されたら私だって嬉しいですもの。<br />
<br />
その点においては、我が日本代表も2000年のレバノンのアジアカップの時は、試合を見るのが本当に楽しみでした。<br />
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とにかく、強い日本代表を望みます。<br />
このチームが何の大会に出るのか、<br />
あんまりみんながわかってない気がする。<br />
北京五輪が未だ遠い未来な感覚なのもあって。<br />
個人的感覚としてだけど。
<br />
なるへそ。<br />
<br />
>>ちなみに、J2の今年度平均は6,148人です。<br />
<br />
お教えくださり有難うございます。
<br />
武藤さんは心配されてるようですが、心配する必要は無いでしょう。起きて当然の淘汰が起きただけの事ですよ。<br />
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これは代表そのものが飽きられたのではなく、<br />
ファンが経験を積んで自分の見たい試合は何か理解し、選別し、そうして厳選した試合しか見なくなりつつあるという兆しとして捉えるべきでしょう。<br />
そう考えれば、たかが(とあえて言わせていただきます)U21のたかが特定アジアとのたかがノンタイトル戦にお客さんが入らない理由も納得できるのではと。<br />
まあ、現U−21には目立つスターが平山以外いない、という面も大きいのでしょうが。<br />
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むしろ、代表ユニを来たチームがピッチに出ていればなんでもかんでもお客さんが入った今までが異常だったんでしょう。<br />
これから協会はビッグマッチ以外の集客に苦労するんでしょうが、させたらいいんじゃないですか?今まで恵まれた状況の上に胡坐をかいてきた分、血と汗と涙を流させておけばいいでしょう。
韓国戦も同様の葉書が届いています。
韓国戦も同様の葉書が届いています。