2006年10月25日

冴え渡る本田圭佑 五輪代表中国戦(上)

 結果的に2万人を越えた観衆が入ったのだから、「昨日の講釈は何だったのか」と言う気にもなるが、(まあ相当量のタダ券が出回ったとの噂もあるが)文句を言う筋合いではあるまい。まあ、あのくらいの入りの国立だと、殺伐とした野次も結構通り、なかなかよい雰囲気での試合となった。



 それにしても中国は弱い。

 とにかくあのラフプレイを何とかしなければ。日本が速攻を仕掛けてタッチライン沿いに展開して、受け手が抜け出そうとすると、何も考えずに後ろから足をなぎ払う。日本が遅攻から精緻なパスで抜け出そうとするとラフタックルで止めてくる。複数の選手が退場になってもおかしくない酷いタックルだった。また今の日本は、連携もこれからだし、セットプレイの仕掛けもないから、被害が広がらないが、この段階の日本に対してあのような守備しかできないようではお先真っ暗ではないか。大体、後半平山がシミュレーションを取られた場面にせよ、青山敏が倒された場面にせよ、PKを取られてもおかしくなかった。とにかく我慢して守ると言う当たり前の習慣をつけなければ。

 攻撃にしても、課題は山積。変化をつけるパスワークができる選手もいないのは仕方がないが、速攻時に後方から追い越してくる選手もいないので、攻めに変化をつける事ができない。結果的に速攻は、トップにぶつけてくる戦法しかなくなるが、青山直晃が待ち構えている状況では、突破できる可能性はほとんどなかった。遅攻の時は、技巧を発揮できる選手もいるし、追い越しを仕掛ける事ができるのだから、素早い判断が利かないと言う問題だろう。速攻が決まらないならセットプレイと言う事になるのだが、ほとんどのCK、FKが、二アサイドに引いてきた平山にカットされていた。このような工夫の不足が痛い。

 すぐにラフプレイに頼る事、とっさの判断が利かない事、工夫した攻撃ができない事、いずれにしても、サッカーにおける最も重要な要素である知性に欠けるとしか言いようがない。不思議なのは、毎回毎回日本に完敗し続けているにもかかわらず、次回も同じように、でかくてアタマの悪い選手を並べてきて完敗し続ける事。少しは悔しいと思わないのだろうか。中国サッカー界全体がそうなのか、代表選考方法が悪いのかは定かではないが。このままでは永久に日韓の壁は破れないだろう



 さて日本。

 まずは本田につきるであろう。フリーでボールを受けたときの、射程の広さと長いボールの精度。敵のプレッシャ下でも、距離が近い味方に強いパスを出す事を起点にした軽妙な崩し。オープンスペースに出た時に悠然と繰り出されるカーブのかかったクロス。ループありヘッドあり強いのありのシュート力。ルーズボールの競り合いもほとんど勝つ身体の利きのよさ。労をいとわない上下動。

 この日のベストプレイヤである事はもちろん、事実上A代表入り、札幌サウジ戦の左サイドはもう決定と言ってよいのではないかと思える出来だった。

 ただ、それはそれとして、あれだけ攻撃力のある選手だ。もう少し前とか真ん中で使ってみたい気もする。また、五輪代表と言う見地では、近いポジションに家長がいる(シーズン後半に入り序盤の勢いがなくなってきた感があり、ガンバでも出場時間が減ってきており、この日もベンチから外れていたのだが)。どのように使い分けるかは、反町氏の手腕だな。



 昨日、この五輪代表チームのはじめての国内有料試合と言う観点で、8年前のアルゼンチン戦を回顧した。8年前は中村のループが長く記憶に残る試合となったが、昨日は本田の圧倒的な存在感が長く記憶に残る試合となる事だろう。
posted by 武藤文雄 at 23:52| Comment(6) | TrackBack(0) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やっぱり本田ですか。<br />
スポーツ新聞みても、いまいち彼の話題に触れてなかったのでおかしいなぁ、と思ってたら、やっぱり武藤さんは本田でしたね。<br />
ぜひともA代表で見たいです。<br />
<br />
っていうかメディアは平山ばっかり。<br />
試合中も、右上には『平山ゴールなるか?!』<br />
後付けでしょうけど。<br />
Posted by hiro at 2006年10月26日 22:10
中国は8月の日本戦以来、合宿もせずにいきなり来日&試合だったようですよ。主力の選手も天候不良で足止めくって前日に来日したらしいし、最悪の状態だったらしいので、本来の質は切って捨てるほどのこともないのでは。この敗戦や新監督の指揮で、今後急成長しそうな予感もありますしね。<br />
<br />
中国のラフプレーに怒っている勢いと信じたいですけど、なんか今回のエントリーは武藤さんらしくなく、狭量な気がします。<br />
<br />
審判のことですが、本番の五輪ではもっと何が起こるかわからない気がしています。改善は期待できません、というか、期待してません。
Posted by ポット at 2006年10月26日 23:04
>>っていうかメディアは平山ばっかり。<br />
<br />
そうだね。<br />
<br />
3DFを褒めるにしても、<br />
「オシム絶賛!A代表以上かも」<br />
なんて、他人の評価使ってさ。<br />
<br />
各メディアは間違ってもいいから、<br />
いろんな人を褒めたりけなしたり<br />
してほしい。<br />
<br />
多様な評価の総体が、チームの<br />
スタイルとイメージを僕らに<br />
伝え、教えてくれるのだから。
Posted by g at 2006年10月27日 07:17
>中国は8月の日本戦以来、合宿もせずにいきなり来日&試合だったようですよ。<br />
<br />
中国はA代表が11人もいたからそっちで一緒にやってたようですね。連携云々にかけた時間は日本とあまり変わりませんよ。
Posted by Unknown at 2006年10月28日 11:30
試合翌日の中国ヤフーのトップに中国U−21の記事が写真入りでありましたよ。中国ではだいぶ注目されてるようですね。
Posted by Unknown at 2006年10月28日 11:32
日テレのアナウンサーも「U21中国はA代表経験者が多数いる」ということを、やたらに強調していましたなぁ。<br />
そりゃぁ、'06ワールドカップ・アジア予選を、1次ラウンドで早々と敗退しちまってるのだから、世代交代を意識して[若手にチャンスを与える]ことは当然の流れなのですよねぇ。<br />
それに、北京五輪は開催国としての出場権を持っているために、「アジア予選で鍛える」わけにもいかないのだから、「その分、A代表に引き上げて、経験を積ませる」ということもあるのでしょう。<br />
A代表チームの継続性が、実質的に「2年も違う」イランや韓国、そして日本とは事情が異なるということを、「全くわかっていない」というか「わかろうともしない」でいるのでしょうね。<br />
実況冒頭で、監督の反町康治を「そりまちこうじ」と詠んだくらいだから、仕方がないか・・・・・。<br />
Posted by 19番ゲート at 2006年10月28日 23:56
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