現状の両国のアジアでの圧倒的な地位の高さを考えてみると、ワールドカップ予選で両国が同グループで覇を競う可能性は極めて低いと思う。とすらば、この忌々しくも尊敬すべき隣国との「食うか食われるか」と言う死闘を愉しむ機会は、アジアカップ、(昨晩の若者同士が見せてくれたような)ワールドカップの2次トーナメント、そして今回のようなローカルトーナメントしか、あり得ない訳だ。中田も小野も中村も宋鐘国も朴智星も李天秀もいないが、何とも愉しみな決戦ではないか。
個別の興味としても、小笠原の負傷回復具合と彼のプライド、遠路帰国してくれた藤田の起用法、久保の日韓戦初登場、坪井、中澤の2ストッパ対崔龍洙、安貞桓(金度勲)の激闘、遠藤がいかほど韓国相手に通用するか、未だ機能しない両翼の工夫、大久保の爆発待ちなど実に多くの愉しみがある戦いとなる。
中でも、私が期待したいのは、ジーコ氏お気に入りの2人、大久保とアレックスである。
大久保がキリンカップで五輪代表から抜擢された時の期待感はなかなかのものだった。そしてあのボコボコに粉砕されたアルゼンチン戦で、堂々のデビュー、その後コンフェデでレギュラを獲得。しかし、未だ代表試合で得点は無く、中国戦でも香港戦でも、不運の連続の逸機。確かにあそこまで不運を誘発すれば、「あの不運が本来の実力」と揶揄されるのもやむ無しと言う状況にある。
しかし、この選手はJリーグでそれなりに点を取っているのだ(最近の悪評の一因に、そのJリーグでの軽率な警告受領の連発があるのだが)。Jリーグであれだけ得点を奪っているストライカが、国際試合でのその実力を発揮してくれなければ困るのだ(笑)。
もちろん、大久保のライバルは数知れず。久保、高原、柳沢に加え、ベンチには黒部、本山が、そしてさらに今回は選考外だが、田中達也もいる。おお、坂田もいるぞ。そう、いくらジーコ氏の評価が高くても、明日の日韓戦は大久保にとって、本当のラストチャンスかもしれないではないか。
中国戦にせよ、香港戦にせよ、シュートまでのアプローチ、シュートそのものの意図、それぞれは悪くない。また香港戦の終盤は少し下がり過ぎたが、それ以外は活動量も質も優れている。頼むから、明日は結果を出してくれ。
一方、アレックス。ここまで機能せず、試合によっては決定的な敗因となり、しかも本来のポジションでなく、それでも必ず起用されてきた。ジーコ氏の彼に何を期待してここまで拘泥しているのかは、よくわからない。今大会は3DFを採用した事で、従来よりも前、いわゆるサイドMFと言う本来のポジション、で起用されたが、うまく機能していないのは変わりない。
香港戦は唯一の得点となるPKを奪取し、自ら決め形骸的なヒーローとはなったが、本質的なヒーローになっていない事は、本人が一番よく知っているだろう。とにかく残念なのは、ボールを持ち敵DFと正対すると全く突破ができなくなってしまっている事。ほんの2年前(例えば、01−02年天皇杯決勝)には、独特の間合いからの単独ドリブルで、Jリーグに君臨していたのだが。どうやら、自らの間合いを完全に失ってしまっているようだ。
それはそれで仕方が無いが、少なくとも香港戦を見る限り、敵陣に向けて高速で走りこんでいる状態で、高精度のフィードを受けられれば、相応に機能する事がわかっている。ここは過去の栄光は1度忘れて、無理に自らボールを持ち出す事をやめ、「パスの受け手としての能力向上」に専念すべきではないか。そして、アレックスが代表に生き残るためにも、この考え方はとても重要だと思う。
2003年12月09日
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