2007年02月22日

何故問題を難しくするのか

 日本のフォーメーション。水本、青山の超大駒に、腕章を巻く伊野波がスイーパとなる3DF。本田拓也と梶山が中盤の底、サイドMFが本田と水野、3トップに平山、カレン、忠成の3トップ。皆よい選手だ。しかし...Jリーグ屈指のウィンガである水野の前に3トップを並べ蓋をする意味があるのだろうか。Jリーグ屈指のゲーム創造者である本田によい体勢でボールを持たせるために周囲に何を期待するのだろうか。試合は、全く危惧どおりの内容となる。

 伊野波が最後尾でフリーになってロングボールの起点となり、大きく左右に散らすのはこのチームの基本。(と言うよりは「伊野波をこのポジションに起用した時のやり方」と言うのが正しい日本語かもしれない、この組み合わせが、「ベスト」なのか判明していないから」)そして、期待通り水野なり本田がボールを受ける。ところが、ここで詰まってしまう。カレンと忠成が敵DFを引き連れて前に走りこんでしまい、2人に蓋をしてしまう(ここでカレンや忠成を責めるのは酷と言うものだろう、彼らは豊富な運動量と「顔出し」を期待されての起用なのだから)。結果的に、本田と水野はアーリークロスを入れるか、中に切れ込むしかなくなる。それでも、水野、本田、梶山の技巧は抜群で、強引に中央を切り崩す攻撃ながら何度か好機を掴む事はできた。中央突破と言う最も難しく窮屈な攻撃方法を成功させるのだから、彼らの技巧は素晴らしい。素晴らしいのだが。

 水野や本田は、前を向いた時に縦に突破すると言う脅しを敵DFにかけるのが仕掛けの基本となる。敵はサイドをえぐられるのが怖いのだから。ところが前に蓋をしてしまうと、その脅しができなくなる。この2人へのサポートは、内側に入り込んでパスコースを増やしたり、外側から追い越す事で縦を押える守備網をぐらつかせる事が必要なはずなのだが。後半カレンに代わり増田が入り、増田が「前ではなく横から」サポートする事で、日本の攻撃がスムーズになったのは偶然ではない。

 さらにこの日は青山が高熱で離脱したのが不運と言えば不運だった。青山の代わりに中盤の底に本田拓が起用された。しかし、本田拓はよく動く選手だが、最初のトラップが少々雑なので、展開は速くない。結果的にボールが巧く回らない。さらに悪い事に本田拓は守備の粘り強さに欠ける部分がある。結果的に梶山の負担を増やす、あるいは梶山、本田拓そろって中盤の守備網を破られる。そして、これは青山が不在あるいは不振の時に、今までの準備試合で過去も繰り返された事である。ベンチに谷口がいるのだが。

 展開が窮屈だから、チーム全体が前掛りになった時にボールを奪われ速攻を許す。合衆国の戦闘能力は高いから、こちらが巧くボールを回せないと中盤でしっかりとビルドアップされてしまう。結果的に幾度となく危ない場面を作られかかる。ところが、3DFの対応能力が見事なためにほとんど崩されない。かくして、中盤の問題点が顕在化しない。

 さらに家長起用の際に本田との交代にはビックリ。反町氏は、本田をチームの大黒柱と考えていないのだろうか。ついでに、終了間際若森島を平山に代えたのは、もう意味不明。「ああそう、無理に勝つ気持はないのね。」

 

 合衆国と言うレベルの高い相手に対して、これだけ窮屈な試合をして、幾度となく好機を掴み、ほとんど危機なく試合を終える。これは、選手達の能力が格段に高いからだ。

 言い換えれば、窮屈な試合をしなければよいのだ。そうすれば、もっと楽に勝てる。

 どうして、中盤のタレントが前後豊富なのにわざわざ3人のFWを並べて、起用できる中盤選手の数を減らすのだ。どうして、水野と本田の前を塞いで窮屈な環境に置くのか。どうして、梶山の負担を減らす選手を起用しないのか。もっと下世話でヤバイ言い方をしようか、Jリーグベスト11の谷口よりも、大学生の本田拓の方が機能すると考えているのか。



 反町氏が今抱えている課題は、「明日ブラジルやアルゼンチンに勝て」と言うものではないのだ。「来年の夏に北京でブラジルやアルゼンチンに勝て」と言うものなのだ。どうして、この時点で問題を難しくするのだろうか。詭計や策略はその時で十分、今は「よい選手を当たり前に並べればよい」のだ。極端な事を言えば、(あくまでも例えばだが)水本、青山、本田、水野、平山の5人が気持よくプレイできるように他の選手を並べればよい。中盤の守備の拙さから幾度となく速攻でピンチを迎えても、水本と青山はハンマーのようにつぶしてくれた。あの水野のポストを叩く一撃までの巧妙な技巧。平山のヘッドがバーを叩いた時の高さ、そしてそこに合わせる本田の妙技。その頻度をどう増やすか。



 さらに毒を吐こう。(アルビレックス関係者には大変失礼だが)アルビレックスでは常に戦闘能力の低い選手達をいかに戦わせるか、その創意工夫が反町氏の仕事だった。だから、敵の良さを小さくする事が反町氏の仕事だった。そして、その結果は実に見事なものだった。

 今の反町氏の仕事は違う。己の良さを最大限に発揮する事なのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:41| Comment(22) | TrackBack(1) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もっと言ってやってください。<br />
駒は余るほど揃ってるのに・・・<br />
<br />
前五輪代表監督といい、なぜ難しいことばかり考えるのか。<br />
まずは素直にやってみればいいのに。<br />
無理やりでも自分色を出さないと気が済まないのか。
Posted by Unknown at 2007年02月23日 05:41
だれもが同じこと感じましたよね。<br />
もしかして、来週のためにわざとこんな戦いかたした・・?
Posted by Unknown at 2007年02月23日 08:55
本田拓也はかわいそうですね、政治の道具にさせられて。<br />
スペックはともかく、Jのスピードに慣れてないので<br />
周りの選手とまったく合いません。<br />
兵藤なんかも高校生の時点で国士舘大のDFをもてあそんでいたので<br />
大学に入ってから楽をしたらしく、思考が遅くなっていました。<br />
<br />
谷口は得点がクローズアップされていますが<br />
基本的にはヘッドで点を取っているので攻撃的MFじゃなのに<br />
反町さんは明らかにそういう扱いをしていますね。<br />
おかげで梶山が守備に奔走させられて、走る選手になりました。<br />
スピードは無いので走り回る選手になれば梶山は稲本みたいになれる。<br />
湯浅さんもチームで誉める所が無いので、全力で梶山を誉めてました。
Posted by Unknown at 2007年02月23日 12:11
前回に引き続き今回も監督が弱点ですか。<br />
<br />
いかにもヤバそうだった山本さんと比べ<br />
ると反町さんは実績もあって大丈夫だと<br />
思っていたのですが。いや、あの山本さ<br />
んだってこの時期まではボロを出してな<br />
かったような気が....。<br />
<br />
反町さんは一度頭を冷して欲しいですね。<br />
辞任する前にそれが出来るといいのです<br />
が、アメリカ戦の前に「この試合でクビ<br />
になるかもしれないし」なんて言って<br />
相当ナーバスになっていたようで、難し<br />
いかもしれないですね。<br />
Posted by Unknown at 2007年02月23日 13:48
マスコミはともかくブロガーでも昨日の試合を意外と高評価している人が多く戸惑いました。<br />
ふだんJで自分のチームがサイドから攻められなくて悲しい思いをしているので、これだけサイドに人材がいるチームがその強みを生かせないのが信じられない。<br />
もったいなさすぎです。
Posted by Unknown at 2007年02月23日 23:21
確かに、これがベストの並べ方とは思いませんが、じゃあ、どうすれば良いかと言うのが、いまいち分からんです。<br />
<br />
個人的にこのチームは水野だと思っているので、それを軸に考えますw<br />
水野を高い位置に置きたい<br />
なら、3トップの一角にする。それなら、あいた中盤の右には誰を?内田?<br />
そうすると、組み立てはもっと厳しくなる?じゃあ増田?可能性あるけど、未知数すぎるか?<br />
じゃあ、2トップにして、後方をカバーするボランチを増やすか?<br />
ん?だれだ?谷口と本田?<br />
ビルドアップが不安だ・・・<br />
じゃあ、谷口と梶山か?<br />
このコンビで両サイドの裏をカバーできるのか?どっちもタイプじゃないような・・・<br />
じゃあ、4バックにしよう<br />
ん?左サイドバック誰にしよう?<br />
<br />
まあ、そんな感じで、今回の布陣は、個人の持ち味を生かしきってるとは言いがたいですが、無難な配置だとも思います。
Posted by Unknown at 2007年02月24日 01:15
腐った刺身はまずすぎ
Posted by Unknown at 2007年02月24日 13:44
完全に迷走状態に入ってますね。<br />
末期症状が出始めてるというべきか。<br />
名前が挙がってる5人が順調に伸びれば、海外組を呼ばなくてもイケると思えるから、実に勿体無い。<br />
(シュンスケ・松井は良いけど、本田・水野というのも魅力あるなぁ。若さに賭けたくなる)
Posted by Unknown at 2007年02月24日 23:09
やはり、この世代の問題は平山だと思う。<br />
米国戦は以前のキレが戻って、いい出来だったと思う。<br />
しかし、大熊にせよ、反町にせよこの怪物がいるために<br />
単なる縦ポンサッカーを嗜好してしまう。<br />
このチームは平山を使用し続ける限り<br />
ポゼッションサッカーなんて出来るわけがない。<br />
普通に、平山を外して、家長・本田・水野・梶山・カレンを攻撃軸に使用したほうが勝てると思う。<br />
平山には気の毒だが、このチームには電柱は不要だと思う。<br />
(負けている時の後半15分のパワープレイ限定での使用可)
Posted by 天邪鬼 at 2007年02月25日 10:32
こうゆう風に何でも平山のせいにするのは腹立たしい
平山に相手DFが2人ぐらいは常時付いてくるのは分かってる事なんだから
その時にほかのFWやMFなどが押し上げてゴールに向かえばいいのではないか
この前のアメリカ戦でも相手チームのフル代表も兼任している監督が
「平山は強くて、高くて手こずったと それは彼がうまいからだ」と言ってたぐらい相手には脅威を与える貴重な存在
なかなか外国人相手に脅威な存在になる選手などいないと思う
ようは、選手がもっと話し合い攻撃のバリエーションを増やす事が大事だと思う
平山に当てるだけが戦術じゃないし、幅広いプレーをするのは勝つためには当然の事
そこを改善しないと平山外しても同じたと思う
平山がいなかった試合で勝ててたか?
ボールが前線で収まらず攻撃出来なかったのでは?
一応結果も残しているんだから外せと言うのはおかしいし、平山は電柱ではない かれは生粋のストライカーだ
平山を電柱扱いする時点で見る目が無いと思う
Posted by hirosi at 2007年02月25日 18:04
>平山は電柱ではない 彼は生粋のストライカーだ

ストライカーは3度チャンスかせあれば2点はとります。
最初のキーパーとの1対1を決めれない選手はストライカーではない。と思います。
本田圭からのサービスクロスの打点は素晴らしかったが、
ストライカーなら、ヘッドを叩きつけると思いますが・・・。
結果的に、彼がストライカーだったのは「国見時代」まで・・・・。
残念ながら、U-23ではまだ結果を出していませんがね(笑)




Posted by 天邪鬼 at 2007年02月25日 21:51
本田圭を大黒柱にするのは難しいでしょうね。
確かに素晴らしい能力は持っていますが、試合でどういう役割をさせるかということを考えた時に、とても使い方の難しい選手だと思います。
ボランチで使うとなると、DFラインの前で、あるいはDFラインに入っての守備はちょっと期待できないので、今の梶山がやっているコンダクターの仕事をすることになります。
でも梶山ほどの攻撃的センスはないですよね。
そしてたとえばランパードのような、万能CMFタイプでもありません。
かといって縦に強い選手ではないので、サイドで使うことも大いに疑問。
スピードやドリブル突破力がないため、アーリークロスが多くなり攻撃が単調になります。
そもそも家長というJ屈指のサイドアッタカーがいるのですから、彼を使わないことも、彼の前に人を置くことも愚かなこと。

こういう選手っていますよね。
スケールが大きく何でもやれそうなんですが、じゃあどこのポジションが最適か?と考えると難しい選手。
これでスピードがあると、ちがう形で大成もできるんですが・・・。
Posted by 過大評価とは違うけれど at 2007年02月26日 01:49
菊地直哉なんかもそういうタイプですかね。
Posted by at 2007年02月26日 03:02
A代表でSBが攻撃参加するチームには3TOPだったから北京組も踏襲。
A代表で違和感なく溶け込める選手を育てるのが目的だから、無理にU-23で最高の布陣を敷く必要はない。

水野WGはA代表で採用することはないから、北京組でもやらない。
水野にはスペースあるところを一人でドリブルせず、加地みたいに中入ったり、人数かけた連携でサイド破ることを求めている。

こういう考えだったら理解しないでもない(賛成は出来ない)けど、両WGがサイドの守備を水野、本田に投げっぱなしにしたことと、
谷口でなく本田拓を起用したあたりはさっぱり分からん。
Posted by at 2007年02月26日 07:35
>そもそも家長というJ屈指のサイドアッタカー
そうか?アメリカ戦では最初の数分以外見せ場
らしい見せ場も無かったし結局押し込まれて
大きな仕事は出来なかったよね。
J屈指なサイドアタッカーいうなら勝負を
決める結果も出して欲しいもんだと思う。
まぁ確かに見ててコネるのは得意そうだと
思ったけど(笑)彼を置いても守備が不得手
な選手なんで大きく変わらないと思うね。

Posted by @P@ at 2007年02月26日 15:04
J屈指って言ってるんだから、
アメリカ戦一試合の十数分だけではなくJリーグの試合をたくさん観て
それから判断してやってくださいな(´・ω・`)
Posted by at 2007年02月26日 15:10
本拓はなんなんだろう
このレベルでは絶望的に攻守の技術が足りていないように以前から思ってるんですけど やたら監督に買われてるようで(青山の欠場とは関係なく)
谷口は当然ながら他にも上田や枝村等もいるのに
どうにもエリート若手監督?にありがちな‘自分だけの選手’を作ろうとしているような気がします

あと、この監督は翁を真似て?やたらと選手に「ポリバレント」を求めてますね
この世代の一番の売り(と思ってる)
水野家長本田圭の三人や増田梶山等所属クラブで複数のポジションをこなしてる選手は多いのに

ただ使う人間の頭が柔軟性多様性を欠いていては何の意味もない、とおもいます
Posted by touri at 2007年02月26日 18:50
敵の長所を消すのが上手い監督・自分らの長所を引き出すのに長けた監督
反町監督は前者のタイプ?
アジアでなら圧倒的に後者が良いと思うけど
世界上位の国と対戦する場なら、後者の方がいいのかも
あと約2年でどう変わるのか
このままじゃさすがにいけないけど、良質な変化を期待してます
Posted by 352 at 2007年02月26日 21:07
今の五輪代表のスリートップって水野や家長といった個の力で局面を打開できるサイドアタッカーを活かすことが出来ないだけでなく、中盤にスペースが出来やすくなって時間が経つにつれてラインが間延びし、中盤の主導権を明け渡してしまうリスクもあるんですよね。全員の戦術眼がかなり高くないと機能しないシステムだなと個人的に感じました。そして、個を活かすことを放棄し、中盤守備のリスクを犯すだけのメリットをこのシステムから見出すことができません。どうなんですか反町監督って感じです。
Posted by くまがい at 2007年02月26日 23:57
>>なんでも平山のせいにするのは腹立たしい

本当にそうです。
チームでの役割、ゲームを作ってるのも平山です。
危機感をもって、今シーズンここまで来てると思います。初めて、ちゃんと準備できたんではないでしょうか・・。

反町監督の評価は、香港戦後。
Posted by at 2007年02月27日 09:31
皆ほんとうに、五輪代表のことが好きなんですね。愛情と言う点ではフル代表以上のものを感じる。
Posted by j at 2007年02月27日 14:38
まあ素材的には小野や中村らの頃と比べても
遜色ない人材が揃ってますので
監督の調理次第でいいチームになるか
ヘナチョコに終わるか、で分かれますからねぇ
Posted by トラマ at 2007年02月27日 17:42
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武藤文雄さん同意です。
Excerpt: 武藤文雄さんのサイトの方に、五輪代表の話が書かれていた。 注目すべきはここである。 どうして、中盤のタレントが前後豊富なのにわざわざ3人のFWを並べて、起用できる中盤選手の数を減らすのだ。どうして..
Weblog: ☆雪の国から〜オレンジ観察〜☆
Tracked: 2007-02-26 13:34