2007年04月18日

体調が悪いのか、頭が悪いのか、采配が悪いのか、それとも

 昨日イヤミを語ったが、多くのJクラブに多大な迷惑をかけた五輪代表。せめても鮮やかな勝ちっぷりを期待したのだが、非常に微妙な試合内容。ともあれ、無事2次予選進出を決めた。
 前半はよかった。すっかり引きこもったシリアに対し、青山敏を中心に丹念にボールを回す。早々に水野の一撃で先制した後も、カレンの活動量と水野、本田圭、家長の個人技、時にミスがはさまるが梶山の起点となる動きから落ち着いてボールをキープ。本田圭がインタセプトを許し逆襲速攻を許した場面を含んで、シリアの思い切りのよりミドルシュートはドキっとしたが、西川がゴールにいると交通事故のリスクも非常に少ない。敵GKが再三負傷で寝転がると言う集中が切れやすい難しい状況だったが、チーム全体の集中が継続、なかなか追加点が入らない難しい状況の中、終了間際に水野のCKから敵のミスを突き、本田圭が豪快な一撃を決め2−0。前半で事実上、2次予選進出を決めた。
 敵が引きこもってしまったため、平山にスペースがなくなりほとんどボールを触れなかったのは残念だったが、前半から無理に平山を使う必要もないので、「まあ仕方がないかな」と言う印象だった。

 ところが後半。出足が改善されたシリアに押し込まれる。右サイドで巧くボールを奪ったにもかかわらず水野がミスパスをして、崩されたかけた場面以降、シリアの出足のよさに再三攻め込まれる。
 テレビ解説をしていた中西永輔が嘆いていたが、とにかく出足が悪い。ルーズボールのほとんどを奪取されてしまったのではないか。おそらくシリアとしては、戦闘能力差を考えて前半は守って後半勝負を考えていたのだろう。それにしてもあの出足の悪さは、体調管理が巧くいかなかったと言う事だろうか。そうなると、何のために先週末のJリーグから選手を強制収用し早めに現地入りしたのかと言う事になるのだが。

 しかし、選手達の状況判断の悪さが自体を悪化させたのも確か。特に本田圭と水野には苦言を呈したい。押し込まれて、ようやくボールを奪取した時は、まずチーム全体が落ち着く事が必要になる。ところが、この2人はそのような状況でも、得点機になるようなラストパスを狙っていた。そのようなパスは、当然ギリギリのところを狙う事になり、押し込まれていたが故に押し上げが遅れている事もあいまって、敵にせっかくのボールを奪われる事になる。かくして、再度攻め込まれると言う悪循環となる。この2人への期待値は格段に大きいものがあるだけに、失望も大きい。
 悪さは伝染する。さすがにこの日の梶山の「軽さ」には反町氏の堪忍袋の緒が切れたのだろう。氏には珍しく、早々に上田と交代させてしまった。次回の選考に梶山は残れるのだろうか。課題は余りに多い選手で、この日のシリア戦のプレイはその課題を全く自覚していないのかと言う風情だったが、一方で何とも言えない魅力もあるのだが。ただし、本田圭、水野、家長と芸術家が揃ったチーム、このままでは相当苦しいだろう。柏木も控えているし。
 さらに困った事に、前半よいリズムでつないでいた青山敏も軽率なパスで事態を悪化させてしまう。
 結果的に家長と平山は完全に孤立。カレンの引き出しへの努力が空回りする展開が継続した。

 素朴な疑問として、反町氏はこの試合をどう考えて臨んだのだろうか。1次リーグ最大の難敵とのアウェイゲーム。ともあれ、前半でほぼ勝負を決める事ができた。万が一、この後こけても残り2試合ある。とすれば、より厳しい2次予選への仕掛けを行なう格好の機会だった。
 ところが、反町氏はそのまま漫然と後半に入る。上記のように押される。どうしようもない梶山を上田に代えたのは、仕方がないところ。その後はパスが回ってこないので機能しない家長に代えて増田。終盤、レイソルで好調の初召集菅沼をカレンに代えて投入。最後の菅沼起用の意図は別かもしれないが、その前の交代2本は明らかに停滞したチームの状態をただ改善する事が目的に過ぎない交代だった。
 残念ながら、反町氏はこの日の後半に「トライしてみる」つもりはなかったようだ。冴えない後半だったのも残念だが、それ以上に貴重な45分間を無駄にしてしまったように思う。

 ただ、この日一番イヤな感じを持ったのは、後半も30分くらいだったろうか。本田圭のパスから上田が巧く左をえぐった場面。素直にセンタリングを上げればよいのに、妙な切り返しなどを交えて時間をかけた後、結局敵DFに止められゴールキックになってしまった。
 この場面が典型的なのだが、このチームはシュートなりクロスを上げればよい場面で、やたら細かいプレイを行う事態が多過ぎる。何かチーム全体に「遠慮」を感じてしまうのだ。
 杞憂であればよいのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:59| Comment(13) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
武藤さんお久し振り。
後半は酷かったねえ。いろいろあるが、梶山君だ。彼を初めて生で観たのは、最悪の出来だったU―18仙台カップ。
このときのコーチ研修会で、かの鈴木淳氏がインストラクターだったが、厳しい評価だったのを思い出してしまった。
個人的にも「うまいけど使いにくい選手」というイメージから成長してないように思う。

中継で、集音マイクが「なんでここでよけいなことするかなあ」と反町氏の声を拾ってしまった(!)あと交代なので、納得か(笑)。
チームでは今野のカバーあっての存在なのかねえ。歯痒い。
Posted by yoshida at 2007年04月19日 09:49
このチームにはいわゆる労働者タイプの
とにかく走り回る選手が欠けているような。
青山敏が担わなければいけない役割なんだろうが
まだコンディションが回復しきっていないのか
どうもお上品なプレーに終始(しかもミス多いし)
柏木待望論がぶちあがってきそうな予感がします。
それにしても反町氏はなにゆえ平山を使い続けるのか?
彼を外して李とカレンの2トップのほうが
大オシムのチームとの連動性を考えると
いいと思うんですが・・・
Posted by トラマ at 2007年04月19日 11:58
上田の左サイドを本田とえぐったあとの切り返し。試合中何度も反町さんから『シンプルに』という声が飛んでいたにも関わらず、無駄な切り返し、そして奪われる…。文中の『本田と水野の決定期を狙うパス』も同様にもっとシンプルに行けばよいのにと…。
あと、反町さんに『トライしてみる』気持ちがあったなら菅沼をもっと早い時間から使っていたのでは??
Posted by No19 at 2007年04月19日 12:42
 このチーム今回のゲームだけでなく、うまく表現できませんが、すごく子供っぽい印象が残ります。 
 一人一人の技術は高いし、うまくいってるときは良いけど、困難に直面した時に対処できない、状況考えず指導時の教えをひたすら遂行、いわゆるいい子ちゃんな子供達の集合体・・・。
 おのずとベンチからの声も、少年サッカー風になると・・・
 経験の中、しんどい思いをする中で、成長していくのを見守るしかないのではと思います。
 
Posted by 仙台ヒグチ at 2007年04月19日 19:57
このチームに本田拓が必要なことが良くわかった試合だった。
平山を使い続ける必要性がまったく理解できない。
中央で身体の張れないポストプレーヤーはいらない。
あれ、平山ってストライカーだったかな(爆笑)
しかし、このチームがオリンピックに出場できる
可能性がどんどん減っていく気がする。
選手の連携のなさも情けないが、反町の対処能力の低さには・・(以下自粛)
Posted by 天邪鬼 at 2007年04月19日 22:39
梶山悪いかなあ。
代わった選手だって大した事はしてないんだけど。
よく動いているし守備もかなりこなしているし
サイドの守備が弱いんだから梶山が守備的になるのは
バランス上しょうがない事だと思うけれど。

普通に反町さんのやり方がまずいだけじゃないですかね。
走る選手が欲しいなら谷口を使うのが嫌な意味がわからないし
パスサッカーをやりたいなら、後ろをもっと押し上げて
コンパクトにしないと中盤の厚味なんて、できるわけもない。
「リスクを負わないのにリスクマネージメントとか言ってる」って
面白い事を誰かが言っていたけれども、反町さんのは正にそれなんじゃないかと。
Posted by at 2007年04月20日 10:20
ダブルボランチ…まぁ、Jにも出ていますし悪い選手ではないことは確か
ただこの時期から固定されるほどのパフォーマンスを見せているとは到底思えないなー
FWやリベロもそうだが、このポジションは人材が豊富なのにもかかわらず…
それとも絡みますけど、一体何時になったらサイドの守備に手ぇつけるんですかね、毎試合同じ課題を見せられてる気がしますが

それから彼は去年開催された親善試合全てを無為に過ごしてきましたから、今更45分そう過ごしたところでもはや溜息しか出ませんね(苦笑)
Posted by touri at 2007年04月20日 15:06
梶山の問題はやはり深刻かと。

問題は守備的にすぎる事とかそういうのではなくてあまりにミス製造機ぶりが過ぎることと、普段から闘う姿勢に欠ける様に見られるそのプレースタイルにある。
だからこそ見ている人には他の選手よりもさらに印象が悪く見える。こうなったもの反町氏以上にFC東京(元・現監督)の原氏が過剰に彼を甘やかしたからに他ならない。

谷口を外したのはおおかた関塚氏に「使わないなら呼ぶな」とか言われて意固地になったのではないかと。あの「外人3トップ」しか戦術的蓄積のない前新潟監督は。
Posted by 通りがかり at 2007年04月21日 13:47
谷口の件が不思議なのは、五輪代表監督就任前に反町氏が見込んでいる選手として褒めあげてる記事があったのに、実際は冷遇→結局外すということになったから。余計周囲に「何が起こってるんだ?」と思わせる。

梶山を甘やかしたのはヒロミだけではない。大熊だってオランダユースの突破口に長期怪我明けの梶山を使うという賭けにでたではないか。才能という面でへんに期待しちゃうんだろうな、皆。

このチームが不安になるのは、合宿明けの試合内容がいつにも増して悪いこと。選手に問題があるのか、周囲に問題があるのかは知らないが。
Posted by 通り雨 at 2007年04月21日 15:08
>ミス製造機

梶山は一番キープ力があるのに、そんなわけあるかいと思って
見直してみたら他より多くミスしてるわけじゃない。
チャレンジしてのミスなら他の攻撃陣の方が多いし
積極性が欠しいから仕掛けたとき以外はボールロストをしていない。
積極性があれば、この年代では一番破壊力があるはずなのに(泣

見直してみて思ったのが、思ったより悪いサッカーをしていなかった事。
カレンと平山の動きがメチャクチャなのが一番悪い。
青山敏と梶山のドイスボランチはやっぱり良いと思う。
問題はシュートが少ない事で、あれだけ攻めててシュート13本は少ない。
ゴール前で簡単にキープできるからってロングシュートを打たなすぎる。
特に家長と梶山が酷い。
Posted by at 2007年04月21日 19:19
さっきリーグ戦のレッズ体フロンターレを見たが、やはりどうしても谷口が惜しく思えてならない。。

最終予選では体力・精神力ともにぎりぎりまで出し切った勝負になるだろう。
そのとき、失礼かもしれないが、大学生の本田拓也が通用してくれるのかどうか、どうにも気がかりだ。プロリーグと大学リーグの経験による差が予選でのプレーに出ちゃいそうで怖い。取り越し苦労ですめばいいのだが、、
うーん、谷口をボランチの位置でしっかり試した上での反町氏の判断ならば仕方ないと諦めもつくが、ちゃんと試してみたんだろうか、、
Posted by 目黒通り at 2007年04月21日 19:31
>ゴール前で簡単にキープできるからってロングシュートを打たなすぎる。
>特に家長と梶山が酷い。

もう一回見直してみ
Posted by at 2007年04月23日 20:29
シュート数

本田 6 家長 3 梶山 1
水野 0 平山 0 カレン 0

宇宙開発は入れてないみたい。

家長や梶山はもっと打てたはず。
PA内でも後ろを見たり周りを見たり。
増田もやってたけどシュートを打たなすぎ。
何がもう一回見ろだよ、あれで満足してるのか?
Posted by at 2007年04月24日 01:05
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