2014年09月19日

焦ってはいけないが噛み合わない

 実は先週のベネズエラ戦当日は本業都合で異国に滞在していた。帰国は13日土曜日。つごう4日間、手練手管、創意工夫を駆使して、情報遮断に成功。100時間ほどの遅延映像を堪能した。その後、ベガルタの3連敗やら、見慣れた監督による若手代表チームの快勝と完敗やら、隣国の天才少年の鮮やかな舞いやら、女子代表の隔靴掻痒やらを満喫。それに我が少年団の子供達の奮闘がはさまり、肉体的には疲労困憊なものの、精神的にはバッチリの状態で、本業にいそしんでいる次第。見慣れた監督の1試合目を除くと、ロクな結果ではなかったが、我ながら幸せな人生である。

 と言う事で、今日はベネズエラ戦を軸に、新日本代表の雑感を。

 批判するのは簡単だ。
 少なくともこの2試合に関しては、伝統的な日本のストロングポイントを活かそうとはしてなかった。さらに、強力な前線のタレントを多数並べる工夫はなく、選手層の薄い後方の選手を多用とするやり方。正直、「いかがなものか」とは思う。しかし、新しい武器を作り上げようと言うアギーレ氏に、じっくり期待するのが適切と言うものだろう。と、言いつつ、幾つかイヤミを。

 それにしても前線は豪華だ。
 岡崎のここまでの成長をどう表現したらよいのだろうか。代表での約2試合あたり1得点の高効率は既に語り尽くされていようが、コロンビア戦の芸術的ダイビングヘッドのような得意技に加え、この日の2点目の力強い突破とラストパスの精度。1点目も、岡崎が敵DFにまともにヘディングさせなかった所が起点となった。釜本とも原ともカズとも久保とも異なるストライカとしての輝き。ブンデスリーガの得点王を狙ってほしいのだが。
 大迫の受けの見事さはわかっていた事だが、ベネズエラ戦ではターンも鋭かった。コートジボワール戦にしてもギリシャ戦にしても、大迫は粘り強く丁寧にボールを受け、(おそらくザッケローニ氏の指示通り)本田や香川に的確につないだ。それにも関わらず酷評された大迫はわかっているのだろう。いや、岡崎とブンデスリーガの得点王を争ってくださ...
 柿谷も守備のタスクを丹念にこなしていた。その上で、前線に飛び出して、しっかりと決定機を決めるのがこの男の持ち味なのだが、この日の前半は決め切れず。何かこの男については、つかんだ決定機は全部落ち着いて決めてくれるような錯覚があるから、シュートを決められないと、他の選手以上に悪印象が残るのは、誠に気の毒な事だ。
 ウルグアイ戦抜擢起用された皆川も悪くなかった。先日も講釈を垂れたが、「サンフレッチェの体格も技巧も優れたストライカ」と言うだけで、ワクワクしてきますよね。もちろん、「サンフレッチェの小柄ながら抜群に頭がよく瞬間加速が格段のストライカ」は最高ですけれども。
 もちろん、あのような得点を決めて、さらに柴崎の得点の起点となった武藤がすばらしかったのは言うまでもない。それにしても、同姓の選手を代表で応援できるなんて、これまた幸せ極まりない。もっとも、このように役に立つ武藤選手が登場すると、もう1人いつもいつも私を悩ましてくれる別な武藤選手が、格段に愛おしくなるのですが。2人の武藤を堪能できる我が身の幸せを感じつつ。
 
 ここに香川が加わる。原口も宇佐美も、そして大前もいる。
 それなのに、本田圭祐に腕章を託し、前線に起用するのが適切なのだろうか。本田は素晴らしい選手だが、色々な使い方が可能なはず。元々、身体の向きに課題があり、さらに突破のスピードも格段ではない。上記の通り、ミランと異なり(笑)、前線に幾多の魅力的タレントがいる以上、本田には後方からの展開をお願いする手段もあるやに思うのですが。

 最終ラインはもっと難しい。
 4人のDFを並べ、森重をアンカーに起用し、さらにMFの前目に細貝まで固定する。守備の安定を狙った布陣なのだろう。けれども、残念ながらチーム全体として、堅実な守備とは言えるような組織守備の妙は、ほとんど見受けられなかった。前線から各選手がよくボールを追い、その分で最終ラインの人数優位で相応に守ったのは確かだ。けれども、失点場面以外も結構崩されていた。選手の献身振りが、効率よく組織守備につながらなかったと言う事だな。まあ、たった2試合でどうこう言うのは適切でなかろうが。

 そして、いずれも明確な個人のミスから、2試合で4失点。自チームで定位置確保していない坂井のミスはご愛嬌。選考する方の問題である。しかし、その後の酒井宏樹、水本、川島、それぞれ経験が相応に豊富な選手たちが、有料国際Aマッチであそこまで無様で明確なミスをするのは、何なのだろうか。
 酒井。右サイドバックが左からのクロスを、あそこまで軽率に中にヘッドで返してはいけないのは、基本中の基本。ブンデスリーガで定位置をつかんでいる選手の所業とは思えない。
 水本。先制し、非常によいリズムでボールが回り攻勢を強めていた時間帯。そのような時間帯に、CBがボール回しに絡む際に、無理をする必要は一切なく、丁寧に単純にさばけばよいはず。さらに、ミスを犯した後、長駆した敵FWに必ずしも余裕がないにもかかわらず、強引なスライディングで、みすみすPKを提供してしまう。Jのチャンピオンクラブの大黒柱とは思えない。
 川島。GKを3人選考しながらも、2試合続けて定位置を提供された期待に対して、無自覚としか言いようのない凡庸なミス。
 経験豊富なタレントがあり得ないミスをしてしまったのは、(少なくともこの2試合に関しては)監督が選手達に的確なモチベーションを持たせ損ねたと言う事だろう。もちろん、準備期間がほとんどない状態で、新たな国に突然降り立っての2試合だったのだから、仕方がない。「イヤミは言うけれど、責める気はない」と言うところだな。また、ここ数年わかっていた事ではあるが、今の日本はCBにタレントを欠くと言う現実も、忘れてはいけないのだし。
 監督が変われば、突然守備が改善されるような、錯覚を持ってはいけないのだ。

 ともあれ、ベルマーレサポータの友人は、アギーレ氏を極めて高く評価していた。曰く、「あれは、森重をCBに下げ、アンカーに遠藤航が入るためのやり方だ!」
 だ、そうです。とにかく、決勝でイラクと再戦し、次こそは打ち破るのじゃ。
posted by 武藤文雄 at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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