2014年10月05日

ベガルタ復活の狼煙

 ベガルタはFC東京をホームに迎え、難しい試合を勝ち切って久々の勝ち点3を獲得。考えてみれば、己が生参戦した8月16日のエスパルス戦以来、50日振りの勝利。自宅のテレビ桟敷で久々の歓喜を堪能できた。乾杯。

 前節ベガルタは終了間際に追いつかれ悔しい引き分け。久々の勝ち点獲得と言う結果もやれやれだったが、試合内容も上々だった。ハイプレスが奏功、再三右サイドから好機を作り、前半終盤に先制に成功。後半は後方に引き、憲剛と大久保を軸にした猛攻を丁寧に抑えた。この5連敗は相応に内容のよい試合をしながら、攻め手に欠け、肝心の所で守り切れない試合を続けてしまっていた。しかし、この日は攻守それぞれに渡り、大きな改善がなされ、しかも勝ち点を獲得できた。最後に勝ち点2をこぼしたのは悔しかったが、憲剛にあの精度のクロスを入れられてしまってはしかたがない(この失点については守り方に課題はあったのだが、それは後述する)。
 フロンターレ戦の攻撃。序盤からラインを浅く保ち、高い位置からのプレスをかけ、再三右サイドの太田を走らせ好機を作り続ける事に成功した。そして前半終盤に、太田を追い越した菅井が速く低いクロスを赤嶺に合わす。赤嶺は巧みなスクリーンから、後方でフリーになったウィルソンに落とす。ウィルソンは、詰めてくるジェシをよく見て、ジェシを外すべくカーブをかけたシュートでGKを破った。ここまでの時間帯、太田も菅井も高いクロスを狙っていたが、この場面の菅井は低く強いボールを入れ変化を加えたのがよかった。執拗に類似した攻撃を継続し、ちょっと変化を加えるのは得点パタン確立の王道だ。ウィルソンが久々にシュート能力の高さを見せてくれたのも大きかった。ウィルソンは、2試合前のサガン戦でPKを外すなど「ドン底」状態の感も呈していた。しかし、それ以降も健全な姿勢で戦い続けたこのストライカが、ようやく結果を出してくれた。そして、ウィルソンは今日の東京戦でも素晴らしいプレイを見せてくれた。
 一方、フロンターレ戦の守備。前節のアントラーズ戦を典型に連敗中に幾度か散見されたCB2人のラインコントロールがずれる場面がほとんどなかったのがよかった。前線からのプレスはよくかかっていたので、ラインコントロールがしっかりすれば滅多に裏を突かれない。ただ、アーリークロスへの対処に甘い場面が多かった。先制直前にレナトのシュートがポストを叩いた場面はその典型(あれが決まっていれば全く異なる展開になっていた)。若森島に決められた同点弾も、クロスを上げた憲剛への詰めの甘さ(これは致し方ない所もある、鋭く動く憲剛を止めるためには、それ以上の守備者の判断の冴えが必要なのだし)と、若森島に競りかけたのが小柄な村上だった事(終盤、ベガルタは鎌田を起用し、上本、角田、鎌田の3人がフィールドにいたのだから、適切な受け渡しができたはず)は残念だった。

 かくして迎えた今日の東京戦。前節までの課題がさらに改善されていた。
 守備については、菅井と石川の両サイドバックが常に押上げを意識する事で、東京のトレスボランチから両翼に押し上げる羽生、米本を押し下げたのが大きかった。特にベガルタから見た右サイド、Jを代表する飛び道具サイドバックの菅井対太田の戦いで、菅井が優位に立つ事ができた。これで前節課題となったアーリークロス対策が奏功した。もちろん、伸び盛りの武藤嘉紀は常に脅威。前半太田の強引なクロスを上本が処理を誤った場面(関が見事なブロック)、後半富田のミスを奪われ強引に持ち出され強烈な一撃を食らった場面は怖かったのだけれども。それでも、武藤とエドゥーを粘り強く見張り続ける事に成功、70分過ぎに米本のパスからエドゥーが抜け出しかけたのを石川が粘り強く押さえたのは、その典型だった。
 攻撃面の改善も大きかった。太田と菅井の直線攻撃を軸にする右サイドに加え、左サイドの攻撃も活性化した。老獪な野澤と梁の技巧に石川が絡み人数をかける攻撃が機能したのだ。74分の決勝点は実に美しい得点だった。ベガルタゴールキックからもつれた流れから、赤嶺が巧みなポストプレイでボールを保持、梁と野澤の技巧で確保したボールを石川が冷静にターンで保持し、中央にフリーランした梁へ。梁は慌てて寄せてきた米本を鮮やかにかわし、後方から進出した菅井に。菅井はダイレクトでウィルソンにラストパス。ウィルソンの強シュートを権田がはじいた所を、赤嶺が鋭く詰めた。6人が絡む美しい攻撃だった。このような攻撃を、狙い澄ましてできるようになったのは、とてもとても大きい。

 この2試合、幸運も多かった。
 フロンターレは、大島がアジア大会で不在。大島が敵を引き付ける事で、憲剛が自在にスペースを獲得するフロンターレの中盤の強みが発揮されなかった。さらにレナトが前半で負傷交代し、裏に抜け出される脅威が少なかったのも幸いした。
 この東京戦は、先制直後に2本警告を食らったエドゥーが退場を食らう幸運があった。ベガルタペナルティエリア内で倒れたのをシミュレーションと判定され1枚目。さらにヘディングの競り合いで、後方から悪質な当たりで2枚目。いずれもイエローを食らっても仕方がないプレイではあったが、ベガルタサポータから見ても(不満を述べる立場ではないが)2枚出るのは何とも気の毒な判定。確かに、両軍DFが相当激しく厳しい守備を見せたこの試合はFWが倒されながらファウルを取られない場面が多かった。その度にエドゥーのみが主審にあからさまに不満を述べていたのが悪印象につながったのかもしれないけれどもねえ。
 余談ながら、(個人的に代表に定着して欲しいと期待している)米本のプレイには不満(いや、今日に限っては文句を言ってはいけないのですが)を感じた。若い頃から得意の厳しいチェックでボールを刈り取るまではよいが、持ち出した後で、サイドに開いて単身突破を狙ったり、妙に凝ったプレイをするのは何故なのか。上記したエドゥーへのパスなり、前半見せた強烈なミドルシュートなり、もっとシンプルなプレイを狙った方がよほど恐怖感があるのだが。ちなみにベガルタの決勝点場面、梁に敢え無くかわされたのも...イタリア人監督の下、タルデリとか、ディ・リービオとか、ガットゥーゾとか、目指して欲しいなと。

 ともあれ。上位を争うこの2チームと、完全に互角に戦う事ができ、ホームで勝利、アウェイで引き分ける事に成功した。決して楽観するつもりはない。しかし、どのようなチームとも対等に戦う事ができる事ができるところまで、チーム状態が向上したのは大きい。粘り強くブレずに積み上げてきた渡邉監督を高く評価するものである。残念ながら、今期の目標は残留に置かなければならないのは確かだ。そうは言っても、残り7試合をこの調子で戦えば、間違いなく結果はついてくる。苦しい戦いを、信頼できる選手達と共に演じる事ができる事を素直に喜びたい。
posted by 武藤文雄 at 23:21| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ベガルタのせいでJ1の優勝争いがつまらなくなりつつあるので、
次のホームでレッズにも勝って下さい。
Posted by at 2014年10月06日 14:16
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