2014年11月16日

香川と本田の役割分担

 この0対6と言うスコアは大事件なはずだ。
 想像してみてください。日本代表が中南米でも欧州でもアフリカでもよいけれど、やや若手主体で遠征。欧州の2番手国あるいは中南米やアフリカのトップ国に、0対6で敗れたとしたら。どんな思いをするでしょうか。そして、どんな騒ぎになると思いますか。昨年、セルビアやベラルーシに敗れただけでも「この世の終わり」と唱えた方もいたが、それどころではないでしょうな(その割に本大会でコロンビアに1対4で完敗すると、「日本は元々弱かった」、「負けて当然」と、同じ人が唱えているように聞こえるのは、気のせいでしょうかね)。
 まあ、さておき。この試合は、ホンジュラスにとっては悲惨な試合となってしまった。日本国内の国際試合ではたまにこのような試合がある。2008年のエジプト戦とか、2009年のチリ戦とか、同じくベルギー戦とか。こういう試合は、敵方の悲嘆度合を想像すると愉しいのだな。ただ、6点差となると珍しい。と、言うより、日本代表が6点差以上つけるような試合は、アジアの公式戦で所謂弱小国と戦うケースくらいかもしれない。そうこう考えると、伝説のメキシコ五輪予選のフィリピン戦の映像が残っていない事を残念に思ったりして(そうは言っても、あの予選の日韓戦の映像も残っていないのですけれどもね)。
 6点差と言いうのは、それほどの大事件だと言う事です。

 で、日本代表について。 
 たとえホンジュラスが若手切替中だとか時差ボケだとか遠征疲労がたまっていたとか多数問題を抱えていたにしても、このクラスの相手に6対0で快勝した事そのものは素晴らしい。凄い大事件だと思う。いや、めでたい。つまらんと言えばつまらなかったけれど。
 と素晴らしかった訳だが、試合の評価そのものは、アジアカップへの準備の有効性から検討すべきだろう。もちろん、その視点からも結構な試合だった。

 この快勝で最も重要なのは、香川を中盤の組立に、本田を前線で突破と得点に、それぞれ役割を明確化しようとするアギーレ氏の構想が奏功した事にある。香川と本田をどのように並立させるべきかと言う問題は結構悩ましい問題だ。さらに、岡崎と言う、動く事で妙味を発揮する決定的ストライカがいるから、話が一層ややこしくなる。
 ザッケローニ氏は、前田をワントップに配し、その後方に右から岡崎、本田、香川と並べる事で見事な攻撃ラインを構成するのに成功した。前田が後方に下がる事で、岡崎の進出スペースを作り、そこに本田のキープ力と、香川の細工がはまり、遠藤の自在な展開を加え変化豊かな攻撃を作る事ができたのだ。ところが、後から登場した柿谷、大迫、そして大久保をどのように組み合わせるかで破綻。ブラジルでは、本田も香川も組立を忘れ、必死に得点を狙ってしまい、攻撃陣がバラバラになってしまった。
 このホンジュラス戦でアギーレ氏は、ジャマイカ戦同様、香川左サイド攻撃MF、本田右ウィング、岡崎CFと言う配置を行った。遠藤や内田の強力な右サイドと合わせ、このやり方が相当機能した。香川の格段の技巧による組立と、本田の強さによる突破がバランスよく機能したのだ。岡崎は得点こそなかったが、先制点は岡崎の鮮やかなニアへの飛び込みからだったし、乾の4点目は敵DFすべてが岡崎に引きつけられたが故のものだった。私は、ベネズエラ戦後に、岡崎を筆頭に多数の好ストライカがいるにもかかわらず、本田を前線に起用しようとするアギーレ氏に疑問を呈した訳だが、また私の先見性のなさが示されたと言う事か。
 内田、岡崎、本田、香川の4人は「欧州チャンピオンズリーグ上位進出は少々厳しいが」と言うクラブの中心選手、と言うよりは大黒柱。日本代表も、当然彼らを軸に戦う事となる。彼ら4人の適正配置を見出した事で、アジアカップの基本準備は整ったと言えるだろう。余談ながら、「大迫と柿谷に対して、ケルンとバーゼルで地位を完全に確立し本当の意味でのストライカに成長する時間を稼ぐ事ができた」とも言えるかもしれない。

 ただ、ブラジル大会出場選手のみの構成で、アジアカップを連覇できるかとなると、常識的には相当難しいはず。この手のタイトルマッチの勝利のためには「新しい戦力」が不可欠なのだ。これは4年後のロシア大会への準備とは別に、アジア大会制覇のためにも、チームの多様性なり、戦闘能力の積み上げなり、と言う視点から非常に重要な事となる。
 ところが、前半で3対0と大差がついてしまい、後半から登場した控え選手には少々気の毒な展開となってしまった。ホンジュラスは劣勢を挽回しようと無理攻めを狙い、一層守備網が混乱してしまっていた。そのため、攻撃陣は歯ごたえのない守備陣と対する事になってしまったからだ。とは言え、試合前に述べたように、アギーレ氏のチームにおける「新しい戦力」に、塩谷、太田、田口、柴崎、武藤の5人に加え、(決して若手ではないが)新たに豊田と乾が加わったのは結構な事だ。
 交代出場選手の中で、田口は敵が混乱している状況を冷静に判断し、よくボールを散らしよいプレイを見せてくれた。田口の台頭は、アジアカップに向けて非常に重要だ。おそらく中盤のスタメンは、細貝(長谷部)、遠藤(柴崎)、香川の組み合わせとなると思う。田口が使えれば、試合終盤リードしてクローズする際に、これを細貝、長谷部、田口と言う編成にするなどのオプションが飛躍的に広がるはずだ。
 さらにロシアに向けても、香川や柴崎を(知的で献身的でそれぞれタイプが異なる)細貝、田口、そして山口蛍が支える中盤は、相変わらず日本のストロングポイントとして機能して行きそうな目途が立ちつつあるのも嬉しい。もちろん、ここに大島や遠藤航や南野が絡んでくるのは当然の期待として。

 最終ラインについて。
 左バックは、アジアカップに関しては、長友の体調がどうなるかで対応が変わる。酒井高徳は相変わらず守備は微妙だが、よく押上げて、遠藤のあの美しい3点目の起点にもなっていた。豪州戦では太田が起用されるのではないかと思われるが、どちらをアギーレ氏が評価するか。もっとも、長友の体調が戻りスタメンを奪回した場合も、サイドバックの控えとして太田と(左右できる)高徳と2枚左をこなせる選手を置いておければ、長友を中盤に押し出すと言うオプションを作れるメリットもある。酒井宏樹はウルグアイ戦の大ミス以降呼ばれなくなってしまったが、元々内田と言う圧倒的存在とポジションがかぶるだけに、少々厳しくなってきたか。
 センタバックについては、元々タレントが不足している事もあり、森重、麻也が中心になるのだろうか。アジアにはドロクバはいないし(あ、ケーヒルはまだいるか)。塩谷はここまでの起用でよくやっているし、昌子はJでかなりのレベルのプレイを見せているだけに、豪州戦で試してほしいところだ。ここのポジションは、20代半ばから格段に向上する中澤のような事例もあり、よい選手に淡々と実力を上げて行ってもらうしかない。ロシアに向けては、五輪代表には好素材が多いようでもあるし、アジアカップ後も愉しみなポジションだ。
 ゴールキーパはよくわからない。先ほど述べたように、アギーレ氏はウルグアイ戦で大ミスをした酒井宏樹があれ以降呼んでいない。一方で、ベネズエラ戦で信じ難いミスをした川島には、今なお定位置を継続して提供している。川島は、自チームでも控えに回る事が多いと聞くが、ここは足技もよく安定感のある西川だと思うのだが(まあ、西川も信じがたい粗相を、先日のベガルタ戦で演じてくれた。しかし一方であれは、「あの西川が!」との表現で語られる事件だった。それに対して、川島のミスの頻度は相当多いように感じているのは私だけだろうか)。
 

 まあ、などと楽観論を語るのは愉しい。アジアカップも決勝だけ予約すれば十分な気がしてきたので、友人達とシドニー旅行を検討し始めたところだ。
 と、ここまで書いてきて、ふと気が付いた。アギーレさんは、今野をどこに使うのだろうか。まさか豪州戦でセンタバックに...?!
posted by 武藤文雄 at 17:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2000年のアジアカップ本戦1次リーグでウズベキスタンに8−1で勝ったことがありますよ。この時の代表は史上に残る強チームだと思います。
Posted by ラスタマン at 2014年11月17日 22:51
2000年のアジアカップ本戦1次リーグでウズベキスタンに8−1で勝ったことがありますよ。この時の代表は史上に残る強チームだと思います。
Posted by at 2014年11月17日 22:52
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