2014年11月20日

遠藤爺不在でも

 正直言って、スタメンを知った時に「今野はどうなるのだ!」と憤りを感じました。今野は宮城県出身力士。残念ながら現時点ではベガルタとは縁がないが、宮城県のサッカー界で青春を送った身としては、やはり今野は特別な存在。「広義には俺の後輩」なのです。あくまでも「広義」にはですが(笑)。
 その今野が、後半から登場し、試合の流れを完全に変えて圧倒的攻勢の要因となったのみならず、得点を決めたのですから痛快な試合となりました。あのコロンビア戦の痛恨のPKの記憶を交えながら。

 日本は豪州に2対02対1で快勝。アジアカップに向けて、上々の試合となった。

 試合展開そのものは各方面で語られている通り。前半、ワンボランチの長谷部の左右を狙われ攻勢を許す。その左右のスペースは、本田と武藤が埋めなければならないが、完全に後手を踏んでしまった。武藤は若さを露呈し絞り過ぎる。本田はさすがに丹念に守るが、ボールを奪ってから無理につなごうとするので、再三ミスパスで豪州の好機を演出してしまった(後半の本田はすばらしかったが、前半の再三のミスパスに触れた報道がないのはどうした事か)。
 もう1つ、豪州のFWが引いて長谷部の左右を使っているのだから、CBが勇気を持って前に出てつぶせばちゃんと守れたはずだ。森重はさすがに対応していたが、麻也はこう言う前に出る守備は本当に苦手。いつもの事だが、腰が引けてしまっていた。麻也とこうやって悩みを共有し戦い続けるのは、それはそれで快感なのですがね。
 それでも決定機をほとんどつかませなかったのは上々だった。長谷部と4人のDFが粘り強く修正を繰り返した賜物だった。ただ、唯一許した決定機場面の酒井高徳の修正遅れはいただけなかったが。終盤、ケーヒルにやられた場面を含め、格守備選手に修正事項は多い。アジアカップ制覇のために、これらの修正はしっかりと行っていきたいものだ。

 アギーレ氏が遠藤を引かせて2ボランチに修正した以降は完全な日本ペース。
 そして、後半遠藤に代えて今野を起用したところで、豪州は抵抗の手段を失ってしまった。ここまでアギーレ氏は、1人ボランチの4-3-3(全くの余談:私の世代には4-1-4-1の方がなじむ、私の若い頃の4-3-3の両ウィングの守備責務は極めて小さいものだったから)を原則とし、中盤の「3」の登場人物を変える事で変化をつけようとしていた。しかし、この試合では戦っている11人は変えずに配置を変えて改善を実施、成果を出した。アギーレ氏が柔軟な間口を持っている人である事が確認された。
 さらに、後半の立ち上がりに、遠藤に代えて今野を起用し、そのまま2ボランチ。まあ4-1-4-1だろうが、4-2-3-1だろうが、試合中の流れで選手達がベンチで絶叫する監督と連携して自在に修正してくれれば問題はない。この日は、悪いなりに帳尻を何とか合わせ、配置修正で立て直し、とどめに選手交代で圧倒したのだから、満足すべきなのろう。

 そして、この日最も重要だったのは、上記した段取りの中で、遠藤爺不在の環境において、岡崎と本田と香川が、それぞれの職務を全うした事にある。
 遠藤爺に代えて今野を入れれば、中盤のプレスがより厳しくなるが、後方から出るパスの精度とタイミングの質が落ちるのは当然の事。その状況で、香川は中盤の将軍として前後左右自由に展開を重ねた。そして、香川の演出の下、岡崎は得点を、本田は突破とラストパスを、それぞれ狙い続けた。ホンジュラス戦での彼らの連係がより磨かれた訳だ。繰り返すが、遠藤爺抜きで。うん、すばらしい。

 岡崎、本田、香川。本来であれば5か月前のブラジルで燦然と輝くべきであったこの3人が、豪州で格段に光り輝く。それを、じっくりと堪能できるアジアカップ。うん、よい感じだ。そして、期待が高まれば高まるほど、ブラジルでの記憶が悔しくなる。それがまた愉しい。

(追記)
すみませんでした。終了間際の間抜けな失点について、凡人の私は「見たくないものは見えない」状態になってしまったようです。と言う事で、反省を含め、字消し線処理とさせていただきます。
posted by 武藤文雄 at 01:35| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
結果は2-1(今野・岡崎ーケーヒル)ですよ旦那
Posted by う at 2014年11月20日 08:16
"格"守備選手→"各"守備選手
でしょうか。
修正後、このコメントは削除ください。
いつもご講釈楽しみにしております。
Posted by 修正後、このコメントは削除してください。 at 2014年11月20日 10:02
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