2015年04月03日

選手の個人能力で勝ち切った2連戦

 テレビ桟敷で堪能したチュニジア戦は素晴らしかった。ほとんど初顔合わせの意表を突いたスタメンながら、チュニジアにほとんど好機を作らせなかったからだ。前線からの精力的な守備は実に見事。冴え渡る長谷部と蛍には素直に感心しました。一方の攻撃、チュニジアのCBアブデヌールが素晴らしく、中々崩し切れなかったが、これは相手が凄過ぎたと考えるべきだろう。もっとも、後半になれば相手が消耗してくるのは、国内の親善試合の常、そこの時間帯に本田、香川、岡崎、宇佐美を投入する、非常に理に叶った采配で、キッチリと勝利した試合となった。もっとも、公式戦ではこのような采配は不可能なのだが。

 さて久々の代表生観戦となったウズベク戦。初戦のビックリスタメン、スタア交代劇を思い起こせば、初戦起用されなかった大迫、柴崎、太田らが起用されると思っていた。ところが、内田、本田、香川、岡崎の揃い踏み。こうなると「単に意表を突きたいだけなのではないか」とも思えてくるが。そして開始早々に、青山の超弩級弾で先制。5万大観衆の盛り上がりは最高潮に達する(余談、FC東京サポータと一緒に参戦していたのだが、「こんな満員になるなんて、同じ競技場とは思えない」と感動していた、もっとも私にとっては普段と異なる飛田給駅からの大混雑で中々競技場にたどり着けず「キックオフに間に合わないのでは」とオロオロ慌てた悪い記憶が残ったのだが)。
 ところが、その後がいけない。とにかく守備が緩いのだ。本田も香川もサボっている訳ではないが、切れがない。内田もとにかく重い(内田について、起用する意味があったのかが、そもそも疑問だが)。そして、今野が明らかに体調不十分。寄せが甘く中盤で敵を止められない。結果最終ラインでの戦いとなり、森重の奮戦でかろうじて凌ぐ展開となった。まあ、仕方がないよな。チュニジア戦で相応に仕事して安心した本田と香川に、この環境でタフファイトは望めない。終盤腕章を巻いた森重にも、とにかく敵をはね返す能力を見せた昌子にも、よい経験となったのだから、それはそれで結構な事だ。
 試合そのものは、岡崎が仕事して2点差としたところで実質的には勝負あり。国内親善試合の常で、ウズベクの動きが止まってしまった。その後のフエスタは愉しゅうございました。素直に喜ぼう。

 以下雑感を少し。

 ハリルホジッチ氏。実績面を考慮すれば、とてもよい人と契約できたものだと思う。ただ、この2試合については手腕云々を語るのは失礼と言うものだろう。ともあれ、おぼろげながら、幾つか。
 チュニジア戦、中盤に長谷部、蛍、永井、清武、武藤と、真面目な選手を並べて、相応の組織守備を見せてくれたのは間違いない。が、本田と香川が、敵が疲労したチュニジア戦終盤に機能し、敵が元気なウズベク戦序盤では機能しなかった。わかりやすいと言っていまえばそれまでだが、最初の2試合で非常に難しい問題が健在化したと言う事だ。もっとも、早々に問題を健在化する手腕が素晴らしいと言う見方もあろうが。
 水本アンカーが機能した。森重、昌子が後方から、水本が前方から、それぞれ敵2トップを挟み込んで止めて、それが速攻の起点となった。おそらく起用された水本自身が驚いた事だろう。とりあえずは「恐るべき眼力」と感心しておこうか、「相手をワナにはめた」ほど、うまく行ったとはとても言えないが、少なくとも守備は前半よりは安定した。もっとも、「体調が不十分な今野に無理をさせずに、前半からそうしろよ」との思いもあるが。いや、成功させたのですから、文句を言ってはいけませんね。
 このような知的遊戯が愉しめる監督は大好き。うん、期待したい。

 大迫と川又。大迫がピッチ沿いでスタンバイした時、誰もが「岡崎に代わってトップに入る」と思ったに違いない。ところが、交代は本田、そして大迫は不慣れな右サイドMFに、低調な出来だった。そして、その後岡崎に代わってトップに入った川又は得点も奪った。得意のポジションへの起用すらなく、川又や宇佐美に丁寧にパスをする大迫。2試合目にもチャンスをもらい、ものにした川又。うん、仕方がないな。いや、それだけ。うんや、頼むよ、大迫。

 柴崎。確かに3点目は鮮やかだった。でも、それだけ。もっとも、本来の中盤後方ではなく、トップ下に起用され、いかにも窮屈そうだった。今はとにかく、中盤の展開、タイミングと精度両面で格段のラストパス、そしてシュート精度、それぞれを淡々と磨いてほしい。とは言え、あの超ロングシュートを決めるよりも、UAE戦のフリーキックを決める事の方が、ずっと重要だったことを、改めて強調しておきたい。

 宇佐美。ウズベク戦の一撃は、この選手の潜在能力を示すものだった。あれだけ高速ドリブルで前進しながら、ファーサイドにあの速い球足の正確で低いシュートが打てるとは。あんなシュートを打てた日本人は、過去釜本と久保くらいだった。しかし、それだけの能力の持ち主である事は、わかっていた事。問題は、これをいかに継続できるのか。期待は大きいのだ。

 長谷部。素晴らしかった。そして、長谷部不在のウズベク戦の中盤守備の酷い事。改めて、この日本代表史屈指の主将が、負傷で、ブラジル大会にベストに持ってこれなかった不運を呪おうか。遠藤航にとって、極めてレベルの高いライバルがいる事が、これまためでたい。

 そして岡崎。恐れいりました。この2試合、いずれも「消えるプレイ」で隙を見つけ、しっかりと得点できる位置に進出できる能力に感嘆。このスタアを欠いて、アジアカップファイナルで敗退した要因がはっきりわかった。当面、岡崎が充実している間は、日本代表の攻撃の課題は「いかに、岡崎に点をとれせるか?」と言う事になる。その事実を、ハリフホジッチ氏が明確に理解できたのが、この2試合の最大の成果のようにも思える。

 組織云々以前に、個人能力の高さで完勝した訳だ。我々の素材は最高なのだ。だからこそ、新料理人ハリフホジッチ氏の今後の手腕に期待したい。
posted by 武藤文雄 at 02:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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