2015年06月16日

女子代表、結果は100点満点のスタート

 女子代表はスイス、カメルーンそれぞれに似た試合で2連勝。グループリーグ1位抜けをほぼ確定した。見事だ。極めて難しいワールドカップ連覇と言うミッションをめざし、ほぼ100点満点のスタートと言えるだろう。
 誰が見てもわかる通り、内容はよくない。早々にリードを奪い、しっかり守る作戦を採ったのは明らかだが、内容的にはうまく機能していない。守りを固めると言っても、体格的劣勢から最後方を固める策をとれない以上は、ラインを上げて厳しいプレスをかけて敵の自由を奪い続けるのが基本的なやり方。もちろん、それでは体力がもたないのでボールを丹念に回し、敵にペースを与えない事が肝要。ところが、これまでの2試合は、いずれもプレスが利かず、ラインを上げきれない時簡帯がしばしば見られ、結果的に敵に決定機を許す時間帯が増えてしまった。
 その要因は明らかで、各選手の体調が今一歩なためだ。たとえば、大儀見がその典型。終盤になると、明らかに切れがなくなり、前線でのボールキープできなくなってしまう。終盤の内容が悪いのは、ここに最大要因がある。しっかり守ろうとしている時間帯、いつもいつもうまくボールを回すのは難しい以上、トップに入ったボールを持ちこたえて時間を稼ぎたいところ。これが有効に機能しなくなるのだから。しかし、これだけ実績のある大儀見である。あれだけ、ボールキープができないと言うのは、体調を大会後半に合わせていると理解するのが妥当だろう。
 他の選手も同様だ。終盤苦しい時間帯、結構ミスが出る。澤が肝心の時にミスパスするのは全盛期からだが(笑、たとえばこれこれね)、大野や宮間のような知性と経験あふれるタレントが、無理をすべきでない時に無理をして状況を悪くしている。しかし、これも彼女達が大会後半、いや終盤に合わせているが故と見る。
 そうこう考えれば、体調が悪いなりに内容は褒められたものではなかったが、最初の2試合にベストの結果を残せたのだから、100点満点と言う評価ではないか。

 説明は不要と思うが、日本は比較的対戦相手に恵まれたグループに入れた。さらに1位抜けをすると、ドイツ、USAと決勝まで当たらない可能性が高まる。さらに、試合会場も、エクアドル戦のウィニペグを除くと、バンクーバーとエドモントンに限られる。この両都市の移動は飛行機で僅かに1時間半程度、広大なカナダを考えると、とても楽な移動だ(全くの余談:私がカナダで訪ねた事がある都市がこの2都市なのですよ、いずれも美しい都市で、人々も親切、とても印象のよい都市でした)。したがい、1位抜けをする事が、1次ラウンドのミッションだった。
 もちろん、準々決勝ではブラジルが来る。1/16ファイナルで、いきなりフランスやイングランドが来る可能性もある(必ずしも確率は高くないがね)。けれども、「優勝」を目指す上では、ドイツとUSAに決勝まで会わないに越した事はない。4年前の「どうせ当たるならば準々決勝も悪くない」とはちょっと違っているのだ。なぜか。

 そもそも。
 前回、我々は世界一となった。素晴らしかった。しかし、日本代表の戦闘能力は、USA、ドイツと比較して、優れているとは言えなかった。それでも、彼女達は、この両国に対し、堂々と戦い、知性の限りを尽くし、ほんの僅かな幸運にも手伝ってもらい、世界一を獲得した。本当に、本当に、素晴らしい戦いだった。今、彼女達の胸に光る星の美しい事と言ったらない。
 間にはさんだ五輪でも彼女達は見事な戦いを見せてくれた。したたかに、フランスとブラジルを破り、堂々の決勝進出。しかし、決勝ではUSAとの戦闘能力差を埋め切れず苦杯した。
 その後、佐々木氏は退任するとの噂がもっぱらだったが留任。連覇を目指す事となった。けれども、4年前の中心選手を凌駕する選手は、開拓できなかった。ほぼ4年前と同じメンバでの連覇への挑戦。これはある意味仕方がない事だ。「世界一」と言う成功経験を積んだタレントは、最高レベルの経験を得る事で、他の選手よりも格段の能力を身につけてしまったのだから。新進気鋭のどんな優れたタレントが登場しても、最高級の成功体験を抜き去るのは容易ではないのだ。
 かくして、連覇を目指すために、佐々木氏は4年前とほぼ同じメンバを連れてきた。元々、戦闘能力で圧倒した訳ではない「世界一」。連覇は容易なミッションではない。それでも、佐々木氏と宮間の仲間たちは連覇を目指す。その道は非常に細い道だ。しかし、その細い道筋は見えている。
 大会終盤に体調を合わせる事、抽選で得た優位を活かすべく最小限のエネルギーでグループラウンドを1位突破する事、2次ラウンドは対戦相手ごとに淡々と策を立て粘り強く勝ち抜く事、そして決勝に残れれば戦闘能力で上回るUSAなりドイツ(他の国かもしれないが、たぶんこのいずれかが来るだろう)に奇策を含めて立ち向かう事。つまり、4年前と異なり、ドイツとUSAと手合せするのは、できれば最後にしたい。
 細い道筋通りに大会序盤を抜けかけているのだ。素晴らしい。この後、どこまで行かれるかはわからない。しかし、真のプロフェッショナルである彼女達が、その総力を賭けて「世界一」を目指す。素晴らしい娯楽を愉しませていただけるのだから、ありがたい事だ。
posted by 武藤文雄 at 00:15| Comment(1) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見させていただいております。なでしこの終了間際のバタバタのは今回のピッチ状態も影響しているのではないでしょうか。
Posted by ペンギンパパ at 2015年06月16日 19:07
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