2015年07月19日

3大会連続世界大会決勝進出を称えて

 早いもので、女子ワールドカップ終了から、2週間が経過した。決勝戦およびその後について雑感を。

 まずは偉業を称える。
 五輪を含め、3大会連続での世界大会決勝進出である。言葉にするのも難しい偉業だ。
 男のサッカーに比較すればマイナー競技かもしれないが、女子サッカーを本格強化している国は少なくない。西欧、北欧、北米、大洋州、東アジア、少なくとも10国を超える。その中での快挙だ。
 重要な指摘。北京五倫では、日本はかろうじて2次ラウンドに進出、何とかベスト4に滑り込んだ印象だった。あの大会を観た限りでは、選手達には失礼だが、このメンバで世界のトップに到達するのは容易ないと思ったものだった。けれども、私は間違っていた。ほぼ同じメンバ(戦力的には、熊谷と川澄が加わったくらい)で、3大会連続の決勝進出。これは、各選手達の努力が生半可なものでなかった事を示している。
 実際、この3大会を振り返ってみると、1つ1つの試合の勝ち抜きぶりの鮮やかさには恐れ入る。大会終盤を目指して的確に体調を整え、大会が進むに連れ連係の精度が増していく。正に本当のプロフェッショナルだけが演じられる戦い振りを見せてくれた。 
 もちろん、宮間と仲間たちは優勝しか考えていなかっただろうから、今大会の最終結果は大いに不満だった事だろう。けれども、サポータの我々からすれば、ここまで鮮やか結果を残してくれた彼女たちに、感謝の言葉しかない。
 本当にありがとうございました。

 ともあれ、何とも重苦しい決勝戦だった。
 サッカーの神は(女神かもしれないが)、時にこのような気まぐれを起こす。昨年のドイツ対ブラジルのように。しかし、この日の女子代表にとっては、この苦闘は昨年のブラジル以上に厳しいものだった。それは、その失点劇の直接要因が、選手の個人的ミスによるものだったからだ。最初の3点の岩清水、残り2点の海堀のプレイは、かばいようのない個人的ミス。もちろん、合衆国の攻撃は見事だったし、3、4点目はボールの奪われ方が、あり得ない軽率なものだった等、2人以外にも失点要因はあったのも確かだ。けれども、5失点とも2人が判断を過たなければ防げたものだった。それをあいまいに記述するのは、かえって2人に失礼と言うものだろう。、
 けれども、この2人がいなければ、決勝まで来る事ができなかったのは言うまでもない。いや、ここ数年間の女子代表の好成績はなかった。何とも残酷な現実ではあったが、胸を張って欲しい。
 それでも、宮間達は崩壊せずに堂々と90分間を戦い抜いた。崩壊し切ったまま、3位決定戦を終えた昨年のセレソンとは異なり。見事なものだ。

 決勝で合衆国にしてやられたのは確かだ。しかし、大会終了後の「合衆国が強かった。恐れ入りました」報道には違和感を感じる。
 開始早々のトリックプレイ以降、序盤に失点を重ねてしまったが故の完敗だった。この試合に関しては、相手が強いとか、こちらが弱いとかを感じる前にやられてしまったのだ。。
 4年前のドイツ、3年前のロンドン、正直言っていずれも戦闘能力は合衆国が上回っていた。今回もそうだった、と思う。「思う」と書いたのは、それを確認する前に勝負がついてしまったからだ。4対2に追い上げた以降を含め、好機の数は合衆国の方が格段に多かったのだし。けれども、今回に関しては、敵に感心する事なく敗れてしまったのも確か。戦闘能力差を云々する前に失点を重ね、勝負をつけられてしまったのだ。
 だから、「合衆国にひれ伏す」的な報道に違和感を感じるののだは、私だけだろうか。

 大会終了後、宮間が「女子サッカーをブームではなく文化にする」と見事な発言をした。それを面白おかしく採り上げるマスコミは論外としても、実に重い問題提起なのは間違いない。
 宮間が潤沢なキャッシュを望んでの発言なのはよく理解している。けれども、身も蓋もない言い方になるが、「文化」にすると言う事は、彼女たちに潤沢なキャッシュを提供できる環境を作る事と等価と言わざるを得ない。そして、過去も女子代表が鮮やかな戦いを見せてくれる度に語ってきたが、どうやったら彼女達に豊かなキャッシュを提供できる環境を作れるのだろうか。
 いつもいつも語っているが、なでしこリーグの最大競合は、Jリーグなのだ。冷めた目で語れば、なでしこリーグが定期的に万単位の観客を集める事は不可能に近い。Jリーグでさえ、スポンサを集めるのに四苦八苦している中で、どうやって、彼女たちにキャッシュを落とせるか。
 日本協会が、女子のトッププレイヤを積極的に欧州に送り出す対応を行ったのは、今大会の成功につながったのは間違いない。また、各Jクラブに女子チームを持つように行政指導?をしているのも悪くない。我がベガルタも、レディーズを持たせていただいたし。このような1つ1つを丁寧に実施し、女子サッカーに落ちるキャッシュを増やしていくしかないのだろう。
 このような努力は、この10年来丹念に続けられてきた。それにもかかわらず、女子の好成績と比較して、男の代表チームを揶揄し、偉そうに「カネを女子に回せ」と言う輩が後から後から出てくるは悲しい事だ。それも、通常サッカーの仕事をしていない人ならさておき、日々サッカーで食っている人間にもそう言うのがいるから残念なのだが。

 それはそれとして。「わたしもボールを蹴りたい」と言う、小学生の女の子が増える事が「文化」には重要な事も間違いない。しかしながら、我が少年団には、宮間達の颯爽といた戦いに感銘し「私も蹴りたい」と言う女の子は、今のところ登場していない。
 もし、そのような女の子を増やすノウハウがあるのならば、どなたか教えてください。

 ともあれ。宮間とその仲間たちの颯爽としたプレイ振りに乾杯。
posted by 武藤文雄 at 00:11| Comment(4) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
全くの素人ですが、普段「女子と比べて男子は・・」と揶揄する報道を見るたびに違和感を覚えたものですが、今回の女子は何というか、男子そう言われても仕方ないかなあ、というぐらい彼女らの凄みを感じさせてくれました。
どんな条件コンディションだろうが、とにかく強かに勝ち抜いていく。
これぐらいの強かさ(賢さ??なのかも知れませんが)がもし男子にあれば、02年も10年ももっともっと先まで行けたのでは?なんて思ってしまいます。
通常サッカーの仕事をしていないど素人の意見です。すみません。
Posted by とお at 2015年07月19日 01:12
後援会からFに1000万、なでしこサッカーに500万との配分になっています。カミさんも会員ですのですごく非難されてます。
Posted by Yan at 2015年07月20日 22:15
いつも拝見させて頂いております。
女子小学生達の文化の一歩目となり得るきっかけは、やはりアニメ化ではないでしょうか。
かつてのキャプテン翼しかり、
最近ではイナズマイレブンという(内容はサッカーと呼べるのかわかりませんが)アニメに影響を受けていた子供達が見受けられました。

それがスポンサーを呼び、なでしこリーグとのコラボレーション商品が生まれ、キャッシュに繋がっていくと、、
しかしこれはこれで非常に一過性のものになりやすく、ブームが去りし後は焼け野原、、という面もありますが、、
Posted by イチ読者 at 2015年07月26日 09:48
女子小学生の選手登録に関しては、もっと柔軟な対応をしてほしいと思う。本気で女子サッカーを根付かせたいのであれば。
男子と一緒にプレイする経験も良いと思うけど、女な子だけのチームでの真剣勝負も必要だと思う。
Posted by naname at 2015年08月05日 02:19
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