2015年08月05日

ハリルホジッチさん、わかっているよね

 ハリルホジッチ氏はアジアを舐めている。
 シンガポール戦にせよ、この北朝鮮戦にせよ、相手の能力を軽視し、自分の都合だけで試合に臨んでいる。さらに、状況の悪さの修正を怠っている。
 誤解しないで欲しいが、私はアジアサッカーの特殊性を指摘しているのではない。むしろ、正反対だ。日本の戦闘能力はアジア屈指だから、シンガポールが守備を固めてくるのも、北朝鮮がシンプルだが高さを前面に押し立ててくるのも当然の話。これはレベルこそ違え、ドイツやアルゼンチンが各大陸の大会で苦労するのとまったく同じだ。それに対して、的確な準備をせずに試合に臨み、しかも試合中に修正ができていない。これだけ実績のある監督だけに、この2試合の失態は、氏が「アジアを舐めている」が故としか思えないのだ。

 開始早々、右サイドバックに起用された遠藤航の好クロスを、敵DFを振り切った武藤雄樹が押し込んだ。五輪代表の主将と、今シーズン「化けた」攻撃タレントが、それぞれ初代表で得点に絡んだのだから、誠にめでたい展開となった。もちろん、私の歓喜はそれに止まるものではないが。立ち上がりに失点した北朝鮮守備陣がやや腰が引けた事もあり、日本はその後もリズムよく攻める。しかし、2点目が決まらない。それにしても、川又の謎の反転、永井の逸機、いずれも柳沢クラスの味わい深さだったな。
 そうこうしているうちに、北朝鮮も攻め返してくる。単調ではあるが、ハイクロースをドガーンと上げ、複数の選手が飛び込んでくる、いかにも北朝鮮らしい攻撃だ。しかし、日本も森重が安定しており、落ち着いて北朝鮮の攻勢をはね返し好機を作らせない。ただ、問題は1度奪ったボールをキープできない事。せっかく森重や遠藤が敵のクロスをはね返しても、どの選手も前に前に急ぎ過ぎる。それでも、トップの川又がボールを収めてくれれば、早く前にボールを出した意味が出てくるが、川又はそのような選手ではない。そのため、簡単に北朝鮮にボールを奪われ、再度クロスが上がってくる。いかにも暑そうな天候なのだから、少しは楽をするためにゆっくりプレイをすべきだと思ったのだが。
 それにしても、(アルビレックス時代からわかっていたが)川又は、ボールを収めるのが不得手な選手だ。前半、中途半端にハーフウェイライン近傍に戻ってきて後方からのフィードを収めようとして、ダイレクトパスで北朝鮮MFに落とし、北朝鮮の逆襲の起点となった場面には笑った。毎週少年団で、CBをやっている子供達に、「フリーの味方を探しておいて、出足よく飛び出し、その味方にパスが出せれば最高」と指示しているのを思い出したりして。
 さらに永井の不振も残念だった。守備のために後方に下がった所で、味方からパスを受けても、どうしたらよいかわからないのだ。やはり、この選手はトップにおいて、元気にDFラインの裏を狙ってもらうのが適切に思えてくる。もっとも、この混乱はこの選手がグランパスと言うクラブ(潤沢な予算で常に強力なFWを多数所有している、だから永井を最前線ではなく、サイドで機能させようとする)を選択した事から始まっているのだが。

 後半序盤に、明らかに温存していた柴崎を起用。しかし、交替するのは機能せずもがいている永井や川又ではなく、宇佐美。まあ、確かに宇佐美の温存も必要ですがね。これによって急ぎ過ぎは改善されて試合は小康状態に。さらに、川又に代えて興梠が起用された頃には、後方の選手は皆相当疲弊してしまっていた。そうなると、もうラインを上げられなくなっており、北朝鮮としては後方からドガーンが増々やりやすくなっていた。だからと言って、あの2失点の無様さが割り引かれるものではないが。それにしても、あの時間帯までドガーンをちゃんとはね返していた森重は悔しかろうな。でも、これはCBと言うポジションの宿命なのだ。

 FIFAランクのような形骸的なランクに捉われなければ、北朝鮮と中立地で戦えば難しい試合になる事は自明の事だ。しかも、選手達は皆、先週土曜にJリーグで死闘を演じている。さらに、報道によると、現地の暑さは相当との事だ。とすれば、常識的に考えれば、できるだけスローテンポの展開にして、疲労を最小にする事が肝要。加えて、北朝鮮がドガーンしてくるのは予想できるので、ラインを上げられる戦いにする、などの策が適切なのは言うまでもない。
 しかし、スタメンそのものがおかしい。前の4人は、永井、川又、武藤雄樹、宇佐美。何と言うか、50年以上前に世界の主流だった4-2-4を思い起こすよね。前線の4枚に、持ちこたえたり、時間を稼いだりする選手が、誰もいない。私はどうしても武藤雄樹を中心に語るから、川又や永井でなく、丁寧に持ちこたえる興梠のようなタレントと併用して欲しかったと書く。一方で、川又や永井からすれば、「武藤雄樹ではなく興梠なり倉田と併用してもらえれば」との思いもある事だろう。要は各選手の特長を活かす起用となっていないのだ。この軽率なスタメン選択は、シンガポール戦直前のイラク戦で、攻撃ラインで最も立場を確保できていない香川の交代選手を試さず、総とっかえをした事で準備の好機を逸したのと同じだ。
 そして、上記の通り、試合展開が思わしくないのに修正を怠る。これも、シンガポール戦で、香川がフラフラと前線に位置取り岡崎の妨害をするのを放置したのと同じだ。
 ハリルホジッチ氏の実績を考慮すれば、的確なスタメン選考や交代選手準備、試合の流れからの修正が、しっかり行える監督なのは間違いないだろう(ね、そうですよね、大丈夫ですよね)。それを、公式戦で2度も無様にやり損ねるのだから、アジアを舐めているとしか思えないのだ。
 何となくだが、FIFAランキング、あのいいかげん極まりないFIFAランキングだけを見て、「この相手には楽に勝てる」と考え、試合に臨んでいるのではないかと思えてくる。10年ちょっと前に、大変愉しい思いをさせてくれたフランス人がいたけれど、この教条主義のところ、そっくりに思えて、何か嬉しい。いや、腹が立つ。うん、「だからサポータはやめらなれない」と言えば、それまでだけれどね。

 もちろん、氏が就任直後と言う事もあり、各選手が「この監督に対し、どこまで指示を忠実に守らなければならないのか」を計りかねている事もあるだろう。試合を観た限りでは、シンガポール戦では太田と酒井の両サイドバックは攻撃参加の自重を求められていたのだろうし、北朝鮮戦では「皆早く攻めろ」と指示をされていたのだろう。監督の指示に対して、いかに柔軟に対応するかは、選手の判断力の見せどころ。けれども、マスコミ報道を読む限り、「俺の言う事を聞かない奴はクビだ」的な発言もあるようだから(あれは対マスコミ、いや対スポーツ新聞へのリップサービスで、実際には違っていたら、ごめんなさい)、選手も判断に苦しんでいるのだろう。しかも、今回のチームは代表での実質的な実績、経験がある選手は、森重と蛍、それにまあ柴崎くらいしかいない。この3人が立場をよく理解し、ピッチ上でのリーダシップをとってくれれば嬉しいのだが。

 前期終了後、謎の1週休みの日程を組み、水曜の試合を2週入れたJリーグ首脳が愚かなの言うまでもない。日本代表の強化のみならず、各クラブの観客動員収入をも妨害する、歴史的愚策である。けれども、そう言う事は、大会前に大騒ぎする必要があるのだ。上記したフランス人のように。そのあたりも、ハリルホジッチ氏がアジアを舐めていると言う事なのかもしれない。

 まあ、いくら何でも韓国相手に、舐めた態度はとれないだろうから。うん、とにかく韓国に勝ってくれればいいよ。
 わかっているだろうな。おい。
posted by 武藤文雄 at 00:41| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近の日本は放り込まれるのが苦手、みたいな空気になってますが、井原さんが代表だった頃、「相手は放り込んでくるのでやりやすかった」的な発言を何度かされていたのが子供心に非常に印象に残ったのを覚えています。
何が変わったのでしょうね。放り込み方が変わったのでしょうか。
Posted by at 2015年08月05日 01:24
遠藤選手の面影を感じながら思うことは、中盤に戦況を俯瞰出来る選手の必要性でしょうか。監督の戦術もありますが、プレーするのは選手、状況に合わせて緩急を付けられる選手がいなかった、ということなんですかね。その意味では山口選手、森重選手ともに代表から外れてた時期があり、なかなかイニシアティブを取るという勇気が足りなかったかもしれません。初戦の反省が活かさせるのか、韓国戦が楽しみです。
Posted by at 2015年08月05日 13:20
直近のJリーグの試合は土曜じゃなくて水曜日でしたよ。中3日で迎えた北朝鮮戦でした。
Posted by Neko Cat at 2015年08月05日 22:57
フジTVの酷いカメラワーク(スイッチング?)についてぶっ叩いてください。
Posted by at 2015年08月06日 00:40
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