2007年05月24日

「オシムに問う」てはいない雑誌

 移動の最中、駅の売店でNUMBERが目に付いた。今号は679号。メインタイトル曰く「オシムに問う」。ページの半分を、爺さんが何がしかを訴えるような写真。
 副題がいい。「オシムは日本サッカーを再生できるか」、「巻誠一郎はなぜ必要とされるか」、「小野伸二はこのまま招集されないのか」、「松井大輔は試練を生かせるか」、「日本はアジアカップで勝てるのか」。

 思わず手に取り、530円の投資の是非を検討する。疑り深い性格なもので、念のため目次を開く。すると、特集として様々な記事があるが、トップにはあの木村元彦氏が「特別取材」した「オシム −日本サッカーを再生できるか−」と言うのが掲載されている。「これは買いだ!」と判断、新幹線の時間まであまりなかったので、さっさと530円の投資を行った。

 完全にだまされたよ。

 新幹線に乗り、パソコンを立上げメールを処理した後、おもむろにNUMBERを開いた。上記冒頭の木村氏のページを開くのももどかしい。読み始める。「あれ?!」全然オシム氏の「語り」は始まらない。始まったのは、グルノーブルのGMの祖母井氏のインタビュー。上記した木村氏の「オシム −日本サッカーを再生できるか−」と言う記事は、実は祖母井氏のインタビュー記事だったのだ。
 その他の記事は、巻、小野、松井へのインタビュー、その他オシム氏がらみの様々な記事、もちろんいずれもNUMBERらしいヒネリの利いたものものあるのだが。
 つまり、この雑誌は誰も「オシムに問う」ていないのだ。期待していた「オシム氏の小野へ論評」どころか、「オシム氏へのインタビュー」もかけらもない。確かに、「オシムに問う」ている記事はないが、それぞれの論評の主題は「オシムに問う」だけれどもね。
 しかも、疑り深い私のような人間が目次を確認する事まで、完全に読まれていた訳だ。目次には祖母井氏の「祖」の字も出てこない。

「文藝春秋よ、ここまでやるか?!」

 まあ、多くの場合、詐欺と言うものは「騙された方が悪い」と言うものなのだが。それにしても悔しい。

 しかも、この号は結構いい記事が多かったりして。猪狩真一氏がまとめたレイソル監督石崎氏の「オシム氏から学びたい」と言う思いを引き出した見事なインタビューは絶品(これは僅か1ページですが素晴らしい。皆さん是非呼んで下さいね)。また、「オシムに問う」特集に関係あるのかないのかはわからないが(もちろん私は関係あると思いたいが)佐藤岳氏の「久保竜彦インタビュー」も興味深いものだった。どこまで真実かどうかはさておき、現状で久保が悩んでいる負傷の詳細を掴む事ができる。
 上記の2つの記事が載っている雑誌を、530円で買う事に不満があるものではない。けれども、「完全に文藝春秋に騙された」と言う悔しさは消えないな。

 NUBMERと私の付き合いは古い。大学時代、「NUMBER1」と言う雑誌が発刊され、次号が「NUMBER2」だった時の「そうか雑誌名は『NUMBER1』ではなくて『NUMBER』だったのだ」と「やられた!」と言う思いは忘れ難い。当時はサッカーの記事は僅少だったが、野球やラグビーの記事は面白かったし勉強になった。
 初めてサッカーの特集が組まれたのが、84年の釜本引退時。「蹴る巨人」と言うタイトルだった。後日、その号がNUMBER始って以来の最小の売れ行きだったと聞いてショックを受けた。
 しかし、90年代に入り状況は変わった。NUMBERはサッカーが人気を得ると共に再三「サッカー特集」が組まれるようになった。最初は喜んでいたが、97年のフランス予選あたりから、あまりに「自虐的日本代表論」ばかりが目立つようになり、距離を置くようになった。その後は、たまに面白そうな企画を発見すると買うくらい。
 それでもオシム氏就任以降、幾度か興味深いインタビューが掲載されたこともあり、最近は購入機会が増えていた。で、今回騙されたわけ。騙されての530円への悔しさよりも、文藝春秋の低い志が悔しい。

 でも、悔しいけれど、54ページの石崎監督のインタビューは必見ですけれどもね。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(9) | TrackBack(0) | マスコミ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私はずいぶんとナンバーを買って読んでいません。昔は毎号買うぐらいのファンでしたが。
最近の売らんがな記事多いし、内容も薄っぺらいので、お金を出す価値がないと思っています。図書館でぱらぱらすればすむ本です。
Posted by ゲルトが好き at 2007年05月25日 06:47
ナンバーは基本的に美麗な写真を楽しむもので、内容には期待していないですね。特に日本人ライターの記事のクオリティーは低すぎます。98年頃の金○や杉○、馳○周の自らの功名心によるカズバッシングは醜いものでした。
Posted by ryangiggs1123 at 2007年05月25日 09:58
オシムの独占インタビューの記事より、オシムの語ったセリフやオシムの采配をあーだこーだといろんな人が語るほうが面白い。
雑誌のインタビューなどでオシムにはそんな簡単にベールを脱いで貰いたくないという思いもあります。
武藤さんの意見に反するようで悪いんですが(武藤さんの文章好きなんですが)、逆に今回ナンバーを買ったみたくなりました。こんなサッカーファンもいたりして、サッカーはいろいろなのが楽しい。
Posted by chacky at 2007年05月25日 11:27
「Number」という雑誌には良くも悪くも、「Jリーグ以前」が存在しない。当時の編集部にサッカーに思い入れのある人が皆無だったから。

釜本引退特集も、単なるメキシコ五輪銅メダルの思い出話に終始して(後藤氏が「朝日ジャーナル」に次いでマスコミで執筆したのもこの号だが)、あの厳しい時代の日本サッカーの諸問題(プロ化問題ほか)への鋭い斬り込みがなかったとの由。
それでサッカーは人気がないと決めつけられた挙句が、2年後の「文藝春秋よ、ここまでやるか?!」と言わんばかりのメキシコW杯への酷い仕打ち。

その後、風向きが変わったわけだが、どことなく内容が薄いのも、金子達仁とか馳星周を大々的に起用したのも、「Jリーグ以前」が存在しないから。金子達や馳みたいな人たちは「日本サッカーの体質そのもの」なのだが(だからジーコが4年間も日本代表監督ができた)、あそこまであからさまにやられると、かえってファンは嫌悪感を抱く。


そうそう、メキシコ五輪といえば6月6日のNHK「その時 歴史は動いた」は「メキシコ五輪 サッカー銅メダル」だそうですよ!
もっとも、解説が「ベルリンの奇跡」と同人物で、またもや場違いな人選。

東京五輪の日本vsアルゼンチン戦を、収録の場で始めて見た(えっー! 今まで何度となくテレビで流れているのに)んだそうで、また妙な発言せぇへんやろな(爆)
Posted by 五反田西口 at 2007年05月25日 22:42
Number買ってきてPC開いたらこのコラムが・・・(笑)
 
たしか「Number 1」の表紙は王さんでしたよね。
2が出たときの「やられた!」感は、いまでも覚えています。
Posted by 若頭。 at 2007年05月27日 00:09
Number買ってきてPC開いたらこのコラムが・・・(笑)
 
たしか「Number 1」の表紙は王さんでしたよね。
2が出たときの「やられた!」感は、いまでも覚えています。
Posted by 若頭。 at 2007年05月27日 00:09
NUMBERは創刊前に誌名を公募して「スポーツグラフィックNo.1」という名前に決まったんだけど、『No.1』という商標が登録済みで、苦肉の策で「NUMBER」になったと記憶してます。
「入選作を発表する前に商標チェックしとけよ」って感じは無きにしもあらずですが、武藤さんを騙す意図でつけられたタイトルではないと思います。
Posted by そくら at 2007年05月27日 10:38
Number 1の表紙は、当時世界一の力持ちと言われたソ連の重量挙げ選手、ワシリー・アレクセーエフだったはずです。
Posted by at 2007年05月29日 18:08
問題の「Number 1」の表紙は、空山基というイラストレーターのロボット美女だったはずですが。

ググればわかるし、おととし25周年写真集もでているから確認しやすいはずなのです。
Posted by エンドーチェーン at 2007年05月31日 08:52
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