副題がいい。「オシムは日本サッカーを再生できるか」、「巻誠一郎はなぜ必要とされるか」、「小野伸二はこのまま招集されないのか」、「松井大輔は試練を生かせるか」、「日本はアジアカップで勝てるのか」。
思わず手に取り、530円の投資の是非を検討する。疑り深い性格なもので、念のため目次を開く。すると、特集として様々な記事があるが、トップにはあの木村元彦氏が「特別取材」した「オシム −日本サッカーを再生できるか−」と言うのが掲載されている。「これは買いだ!」と判断、新幹線の時間まであまりなかったので、さっさと530円の投資を行った。
完全にだまされたよ。
新幹線に乗り、パソコンを立上げメールを処理した後、おもむろにNUMBERを開いた。上記冒頭の木村氏のページを開くのももどかしい。読み始める。「あれ?!」全然オシム氏の「語り」は始まらない。始まったのは、グルノーブルのGMの祖母井氏のインタビュー。上記した木村氏の「オシム −日本サッカーを再生できるか−」と言う記事は、実は祖母井氏のインタビュー記事だったのだ。
その他の記事は、巻、小野、松井へのインタビュー、その他オシム氏がらみの様々な記事、もちろんいずれもNUMBERらしいヒネリの利いたものものあるのだが。
つまり、この雑誌は誰も「オシムに問う」ていないのだ。期待していた「オシム氏の小野へ論評」どころか、「オシム氏へのインタビュー」もかけらもない。確かに、「オシムに問う」ている記事はないが、それぞれの論評の主題は「オシムに問う」だけれどもね。
しかも、疑り深い私のような人間が目次を確認する事まで、完全に読まれていた訳だ。目次には祖母井氏の「祖」の字も出てこない。
「文藝春秋よ、ここまでやるか?!」
まあ、多くの場合、詐欺と言うものは「騙された方が悪い」と言うものなのだが。それにしても悔しい。
しかも、この号は結構いい記事が多かったりして。猪狩真一氏がまとめたレイソル監督石崎氏の「オシム氏から学びたい」と言う思いを引き出した見事なインタビューは絶品(これは僅か1ページですが素晴らしい。皆さん是非呼んで下さいね)。また、「オシムに問う」特集に関係あるのかないのかはわからないが(もちろん私は関係あると思いたいが)佐藤岳氏の「久保竜彦インタビュー」も興味深いものだった。どこまで真実かどうかはさておき、現状で久保が悩んでいる負傷の詳細を掴む事ができる。
上記の2つの記事が載っている雑誌を、530円で買う事に不満があるものではない。けれども、「完全に文藝春秋に騙された」と言う悔しさは消えないな。
NUBMERと私の付き合いは古い。大学時代、「NUMBER1」と言う雑誌が発刊され、次号が「NUMBER2」だった時の「そうか雑誌名は『NUMBER1』ではなくて『NUMBER』だったのだ」と「やられた!」と言う思いは忘れ難い。当時はサッカーの記事は僅少だったが、野球やラグビーの記事は面白かったし勉強になった。
初めてサッカーの特集が組まれたのが、84年の釜本引退時。「蹴る巨人」と言うタイトルだった。後日、その号がNUMBER始って以来の最小の売れ行きだったと聞いてショックを受けた。
しかし、90年代に入り状況は変わった。NUMBERはサッカーが人気を得ると共に再三「サッカー特集」が組まれるようになった。最初は喜んでいたが、97年のフランス予選あたりから、あまりに「自虐的日本代表論」ばかりが目立つようになり、距離を置くようになった。その後は、たまに面白そうな企画を発見すると買うくらい。
それでもオシム氏就任以降、幾度か興味深いインタビューが掲載されたこともあり、最近は購入機会が増えていた。で、今回騙されたわけ。騙されての530円への悔しさよりも、文藝春秋の低い志が悔しい。
でも、悔しいけれど、54ページの石崎監督のインタビューは必見ですけれどもね。
最近の売らんがな記事多いし、内容も薄っぺらいので、お金を出す価値がないと思っています。図書館でぱらぱらすればすむ本です。
雑誌のインタビューなどでオシムにはそんな簡単にベールを脱いで貰いたくないという思いもあります。
武藤さんの意見に反するようで悪いんですが(武藤さんの文章好きなんですが)、逆に今回ナンバーを買ったみたくなりました。こんなサッカーファンもいたりして、サッカーはいろいろなのが楽しい。
釜本引退特集も、単なるメキシコ五輪銅メダルの思い出話に終始して(後藤氏が「朝日ジャーナル」に次いでマスコミで執筆したのもこの号だが)、あの厳しい時代の日本サッカーの諸問題(プロ化問題ほか)への鋭い斬り込みがなかったとの由。
それでサッカーは人気がないと決めつけられた挙句が、2年後の「文藝春秋よ、ここまでやるか?!」と言わんばかりのメキシコW杯への酷い仕打ち。
その後、風向きが変わったわけだが、どことなく内容が薄いのも、金子達仁とか馳星周を大々的に起用したのも、「Jリーグ以前」が存在しないから。金子達や馳みたいな人たちは「日本サッカーの体質そのもの」なのだが(だからジーコが4年間も日本代表監督ができた)、あそこまであからさまにやられると、かえってファンは嫌悪感を抱く。
そうそう、メキシコ五輪といえば6月6日のNHK「その時 歴史は動いた」は「メキシコ五輪 サッカー銅メダル」だそうですよ!
もっとも、解説が「ベルリンの奇跡」と同人物で、またもや場違いな人選。
東京五輪の日本vsアルゼンチン戦を、収録の場で始めて見た(えっー! 今まで何度となくテレビで流れているのに)んだそうで、また妙な発言せぇへんやろな(爆)
たしか「Number 1」の表紙は王さんでしたよね。
2が出たときの「やられた!」感は、いまでも覚えています。
たしか「Number 1」の表紙は王さんでしたよね。
2が出たときの「やられた!」感は、いまでも覚えています。
「入選作を発表する前に商標チェックしとけよ」って感じは無きにしもあらずですが、武藤さんを騙す意図でつけられたタイトルではないと思います。
ググればわかるし、おととし25周年写真集もでているから確認しやすいはずなのです。