五輪1次予選の最終戦マレーシア戦に向けた候補選手が発表になった。
1次予選開始後、頑なに固定メンバに拘泥していた反町氏。3連勝の後の敵地シリア戦では早々に選手を拘束し、中心選手を供出した各クラブがJリーグで勝ち点を失うと言う事態を巻き起こした(だから「反町ケシカラン」とは言わないけれど事実は事実として)。しかも、早期召集してしっかり調整したはずなのに、後半は多くの選手の動きが止まってしまったのは大変残念だった。さらに出場権を確保した後も「1位になるために」と称してベストメンバを召集し、香港まで連れて行った(もっとも、水本の負傷離脱があった事もあり、4DFを試すなどオプションを増やす事はできたのだが)。
ところが、1位を確定して安心したのか、ホームマレーシア戦に向けてはこれまでのサブ組と新しい選手を24人も招集し選考合宿を行なうと言う。増嶋も河本も小椋も豊田も岡崎も、もちろん萬代も、当然ながら枝村も試すのは意味がある事だと思う。しかし、新しい選手だけを組み合わせても何も生み出さないと思うのだが。例えば、増嶋を伊野波に代えて起用し、水本や青山と連携させるのは非常に重要だろう。枝村を本田圭祐や水野や家長や梶山と共存させられるのか、それとも誰かを外すべきなのか検討するのも大切なテストだ。豊田と萬代に必要なのは、本田や水野にいかほど合わせられるか、梶山の縦パスをどのくらい納められるかの確認のはず、そうでなければ平山との比較のしようもないではないか。
いずれにしても、そのようなオプションの増加には、中心選手の存在が不可欠なはずだ。だから、敵地シリア戦から少しずつメンバを代えておき、少しずつ色々な選手を試すべきだったのだ。
さらに言えば、マレーシア戦前はJ1はA代表の強化期間に入るため、敵地シリア戦や香港戦の時ほどには中心選手を提供する痛みは少ない。一方、J2クラブは試合が継続するから、結構つらいものがある。したがって、J2の選手を呼ぶならば中心選手と一緒に呼んだ方が効率がよかっただろうし、J1クラブに気を使うならば前の2試合の時こそ気を使うべきだったのではないか。
加えて、ユース代表の内田や柏木など、ワールドユース終了後は選考が確実ではないかと思わせる程のJ1での実績ある選手もいる現状で、わざわざ大量の選手に間口を広げる必要があるのか(もっとも反町氏はJ1での実績はあまり気にしないで選手選考しているが)。誤解されては困るが「選手招集の窓口を閉めろ」と言っているのではない。今回召集された選手、あるいはそれ以外の選手でも、明確な実績を揚げて来た時点で、少しずつトライしてみればよいと言っているのだ。
もう1つ。谷口不在に関しては、ある意味反町氏に感心した。「自分の構想に合わない選手をを選ばない権利」を監督は持っているのだ。もっとも、氏は一時谷口を「控え選手」として再三召集しており、かつ試合ではほとんど試していない(さらに言えば、谷口は起用された試合でいずれも悪くない出来だったように思う)。反町氏は、「僅かな時間の試合」と「練習」で谷口を観察し、よほど拙い何かを発見したのだろう。そしてそれは、今回の24人に谷口が入らないほどの決定的なものなのだろう。ただし、そのあたりは、「説明責任」を果たした方が、反町氏にとってはプラスになると思うが。
ちなみに、過去の五輪代表を思い起こすと、バルセロナ予選で横山総監督が「プレイが小さい」と断じて藤田俊哉を外したのは当時大変な驚きだった。また、アトランタ予選で西野監督が(明確な説明はなかったが)J1のトップクラブの中心選手である平野孝と三浦淳宏を全く選考しなかった。五輪代表で、Jのトップクラブの中心選手が選考されないのは、谷口が初めてではない。
以上述べてきたように、反町氏の選考にはどうにも理解できない事が多い。これまでの勝ち点勘定を考えれば立派な成績だし、チームも次第に機能し始めているし、選手層も厚くなっているのだけれども。
ところで、先日私の事を「反町氏が嫌いな武藤さん」とおっしゃった方がいる。それは誤解です。選手としても大好きだったし、監督として物凄く期待しているのだ。五輪代表監督としても、ほんの少しのボタンの掛け違いさえ直せばと心底思っているのだ。ただ、最近掛け違ったボタンが随分と増えてきたようにも思うのだが。
2007年05月25日
この記事へのトラックバック
http://www.frontale.co.jp/info/2007/070525_2.html
中西永輔も、ほとんど機会を与えられていなかったように記憶しているのですが。
その後の加茂ジャパンでの貢献度が大きかったですし、Jでも目立っていただけに、不可解な思いをしていました。