2016年03月05日

ここまでの歓喜に感謝

 女子代表のリオ五輪出場がほぼ絶望になってしまった。陳腐な言い方で恐縮だが、1つの時代が終わったのだろう。

 多くの方々も同意されるだろうが、敗因は若返りの失敗だと見た。多くの選手が北京五輪前から代表で活躍、10年近くに渡り世界のトップレベルで戦ってきた。昨年のワールドカップの準決勝を1つのピークに多くの選手が、すり減ってしまったのだろう。澤のみならず、海堀の突然の引退もその顕れだったのかもしれない。

 しかしだ。いや、だからだ。

 私は今回の敗戦を「仕方がない」と思っている。
 何故ならば、若返りを的確に目指していたとすれば、昨年のカナダワールドカップで好成績を得るのは難しかったと思うからだ。このリオ予選で相応に若手選手が活躍するためには、そのような選手をカナダで起用する必要があった。そうした場合、カナダで準優勝できただろうか。
 私は「カナダでの準優勝とリオの予選落ち」は「カナダでもリオでも本大会でそこそこの成績」よりも格段によいと思っている。さらに言えば、カナダで最高の成績を目指さず若返りを目指したとしても、このリオ予選で確実に勝てると言えないのは言うまでもない。
 言うまでもなく、このチームのピークは11年のドイツワールドカップ制覇だっただろう。さらに彼女たちは、その後も12年のロンドン五輪、上記のカナダワールドカップで準優勝と格段の実績を残してくれた。08年のアテネ五輪の4位と合わせれば、世界大会で、1度の世界制覇を含み、4大会連続、8年間に渡りベスト4以上を獲得している。一体、これ以上の成績を、どう望もうというのだ。

 もちろん、佐々木氏以上のカードがあれば、結果は違うのかもしれない。
 けれども。サッカーに浸り切って40余年。幾多の名将のチーム作りと采配を堪能してきた。そして、ここ最近のなでしこの鮮やかな戦績を見るにつけ、氏以上に的確になでしこを勝たせる監督がいるとは、そうは思えないのだ(女子選手に対するマネージメントを含めだが)。まあ、ぺケルマン氏やモウリーニョ氏が女子のチームを率いるのを見てみたい気もあるけれど。

 皆が今回の苦闘と現時点での結果に心を痛めている。しかし、これだけ皆が落ち込むのも、ここ最近のなでしこの成績があまりに輝かしかったから、その明暗の大きさが著しいからだ。予選を勝ち抜くのがやっとで、本大会では冴えない成績を続けているチームが予選で敗れても、ここまでの悲しさは味わえない。
 いつもいつも語っているが、「負ける」と言うことは、サポータにとって快感なのだ。そして、その快感は、結果がよかった時との落差が大きいほど、最高のものとなる。

 先般、澤穂希引退時に、女子代表の歴史を振り返った。繰り返すが、このリオ予選で苦闘している彼女たちの多くは、ここ最近の十年近くに渡り、幾度も幾度も歓喜を我々に提供してくれた、いや提供し続けてくれたのだ。
 今はただ、彼女たちに「ありがとう、お疲れ様」と、伝えるのみである。

 でも、でも。
 この悔しい状況において、感謝の意を伝えるのは、貴女たちに失礼なのはわかっている。
 だから、意地を見せて欲しい。
 リオは忘れよう。でも、4日後の北朝鮮戦で、美しい舞いを見せてくれないか。ベトナム戦もトレーニングの一環と割り切り体調を整え直し、佐々木氏の最後の采配となる試合で。美しい舞いを。

 そのように割り切ることが、ほんの僅かに残っている確率を少しでも高めることにもなるはずだし。
posted by 武藤文雄 at 01:42| Comment(7) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ああ、また愛情溢れるコラムを…ちょっと泣きそうになりました。
自分も感謝の気持ちが大きいです。もちろん悔しさもありますが。
U203位の田中陽子たちを始め、U17W杯で高倉監督共に優勝したメンバーも控えています。
協会の舵取りが正しければ、また頂点に返り咲いてくれると信じてます。
まず4日後の北朝鮮戦ですね!
Posted by むさきち at 2016年03月05日 01:54
月並みなことしか言えないですけど、「世界一」のチームの世代交代はやっぱり難しいですよ
並のチームの世代交代でも苦しむことが多いのに、日本サッカー史上最高のチームの世代交代を推し進めるのは本当に大変だったと思います
佐々木監督は少しゆっくり休んで欲しいです
Posted by 通りすがり at 2016年03月05日 04:44
観戦経歴 ほぼ同じです
女子サッカーに関してのエントリーは毎回頷くことが多いです
これからの女子の展開にもドキドキワクワクさせて貰えること請け合いです
Posted by モコ at 2016年03月05日 05:22
あのスペイン男子代表もW杯で惨敗したように、
盛者必衰。

続けることが重要でしょう。
Posted by at 2016年03月05日 05:46
はじめまして。私も長年、日本サッカーには愉しませてもらっています。仕事、家庭を放り出し、居てもたってもいられず現地観戦しました。愛するクラブのゴール裏は若い方々にお任せしていますが今回は迷わずゴール裏でした。この試合の重みや悔しさを監督選手サポーターの皆さんと感じ合え、これからも底辺の底辺からですが、応援し続けると再確認した日でもありました。
Posted by 40代半ば主婦 at 2016年03月06日 11:22
Posted by イサク at 2016年03月14日 15:03
すみません。コメント入力忘れてしまいました。
武藤さんのご意見ごもっともだと思います。
今年は、U‐20女子W杯があります。
U‐17で世界一になったメンバーで臨む大会なので、是非テレビ中継して女子サッカーの灯を消さないで欲しいと思います。
Posted by イサク at 2016年03月14日 15:11
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/434581292

この記事へのトラックバック