いや、よかった、よかった。しかも、進出を決めたイタリア戦、序盤に2失点する最悪のスタートから巻き返し、堂安の鮮やかな個人能力による2得点で追いついたのだから堪えられない。
加えて、試合終盤には、あのイタリアと相互忖度で試合をクローズさせたのだから、もう最高。単調な約15分間のすばらしさ、現地に行かなかったことを心底後悔した。
さらに、これが土曜日の晩なのだから、酒が進むと言うものだ。
しかもですよ。3試合とも先制点を奪われ七転八倒を余儀なくされたのだから、我らの若い戦士たちには格好の経験となった。
もっとも、その失敗要因は、非常に悩ましいものだったが。南アフリカ戦は、いわゆる初戦の序盤の緊張。ウルグアイ戦は、小川の負傷退場に対する過剰な負の反応。そして、イタリア戦序盤の最終ライン調整のグズグズさ。ウルグアイ戦の2点目を除いた4失点はいずれも、こう言ったおかしくなった時間帯に奪われたもの。
しかし、これらの失点後落ち着いた後は、(結果的にリードしている)敵は丁寧に守備を固めてきた。それにもかかわらず、日本は伝統のすばやいパスワークに加え、三好、堂安、久保の個人技で再三相手守備を崩すことができた。一方、前掛かりになったが故の敵の逆襲は、冨安の圧倒的な守備能力と中山の冷静な対応で、しっかり止めてしまう。
これだけの能力の選手たちが、どうして上記のような不首尾を演じてしまうのか。
自らへの過小評価のためではないか。そして、これこそ日本サッカー界の最大の欠点なのではないか。
ウルグアイもイタリアも確かに強かった。しかし、落ち着いて戦っている場面を見れば当方の戦闘能力は何ら遜色がなかったのは、誰の目にも明らかだろう。先制を許してしまった後に、落ち着いて粘り強く自分たちのペースに引き戻せたのだから、選手達の精神力も大したものだ。
そうこう考えれば結論は明らかではないか。あのような不首尾を演じてしまうのは、自分たちの能力に対する自信のなさなのだ。言い換えると、敵への過剰なリスペクト。
そしてこれは、マスコミを中心にした周辺が「相手が強い、日本が弱い」と過剰に騒ぎ、「日本のあれがダメ、これがダメ」と騒ぎ立てることによるのではないか。
誤解しないで欲しいが、私は別に日本代表がワールドカップに優勝できると言っているのではない。現実は厳しく、いまだ日本からは、欧州チャンピオンズリーグを制するようなチームで、コンスタントに活躍する選手を輩出はできていない。
しかし、イタリアの守備者のすべてが日本の守備者より能力が高い訳でも、スペインの若年層育成組織のすべてが日本の組織より優れているわけではない、と言うことをいいたいのだ。実際、この試合では、イタリアの中盤選手達は堂安をまったく止められなかった。イタリアのFWは単身では冨安をまったく突破できなかった。
だから、試合開始から選手達がもっと自らの能力に自信をもって戦っていれば、こんな苦しい戦いにならなかったと言いたいのだ。そして、そのためには、いたずらな自虐論はやめて欲しいのだ。もちろん、このユース代表のタレントたちが、欧州南米の同年代の名手たちに劣らない微分値の成長曲線を維持できるかどうかは、別な話なのだが。
まずは、2次ラウンドで、腰を引かずに堂々と戦ってください。
ともあれ、今日の堂安はすばらしかった。正直言って、南アフリカ戦でも、ウルグアイ戦でも、内山氏が、必ずしも本調子とは思えない堂安に最後まで拘泥した采配に疑問を感じていた。
申し訳ありませんでした。私が間違っていました。
あれだけ身体が伸び切った状態で、しっかりと空中でボールにミート。ペナルティエリアで3人を抜き去った後に、丁寧に内側の左足でボールにミート。クライフとディエゴだよな。クライフはインサイド、堂安はアウトサイドだったし、ディエゴの挙動開始点はハーフウェイライン、堂安はバイタルエリアだったけれどね。
このまま、大会終了後、堂安はユベントスに行ってしまうのではないかとの思いはあるが、彼の将来はこれからなのは言うまでもない。1979年のディエゴとなるか、2005年のオランダのクインシーにとどまるか。
まずは、2次ラウンドで、ディエゴへの道を歩んでください。
改めて国際試合と言うものはおもしろいものだと感心するこの大会。
そして、ここ最近、ワールドユース出場権を逸し続けたことは、日本サッカーの損失だとの意見をよく耳にした。正直言って、私はこれらの意見にはあまり賛同できなかった。もちろん、出場できれば、それに越したことはないし、選手達はすばらしい経験を積めたことだろう。けれども、出場権を得られなくとも、日本は常に五倫出場権をしっかりと獲得し、優秀な選手は次々にA代表に登場し続けている。ワールドユースに出られなくとも、致命的な損失はないのではないか、と私は考えていたのだ。
しかし、今大会を見ると私は間違えていたように思う。やはり、ワールドユースの出場権を逸し続けてきたことは大きな損失だったのだ。なぜならば、我々サポータが、こんなおもしろいタイトルマッチを愉しむ機会を逸し続けてきたのだから。