GK 川島永嗣(メス)
2017年に入っての最初のワールドカップ予選、敵地UAE戦でハリルホジッチ氏はGKに川島を起用した。この試合、前半早々に日本が久保の個人能力で先制した直後、DFの不用意な対応から許した1対1の決定的ピンチを、川島が防いだ場面は記憶に新しい。さらに続く埼玉タイ戦では、終盤のPKを、川島は見事に防ぐ。これらの川島の好守もあり、日本は得失点差を含め予選グループのトップに立つことができた。以降も代表で安定したプレイを披露、予選突破の立役者の1人となったのは、ご存知の通り。あのUAE戦まで、自クラブでもほとんど出場機会がなかったと聞くが、難しい環境にもかかわらず、体調を含めた能力を維持し続けた川島自身の努力、それをしっかりと観察し起用したハリルホジッチ氏(正確には、ハリルホジッチ氏のチームと言うべきか)の慧眼と合わせ、正に今回のワールドカップ予選の1つのハイライトだった。
DF 酒井宏樹(マルセイユ)
距離が出るクロスを蹴ることができて180cmを超える長身と言う特長があるサイドバックが、ようやく本物になった感がある。中でも長足の進歩は、その粘り強い守備。フランスリーグでも親善試合でも、ネイマールと堂々の丁々発止を演じてくれるまでに成長したわけだ。酒井宏樹とネイマールと言えば、この試合を思い出すわけだが、この6年間で酒井は着実にネイマールとの差を詰めてきたことがわかる。これは嬉しい。もちろん、レイソルでプレイしてきた時から有効だったクロスは、これからもっともっと猛威を振るってくれるはず。まずは、大迫、原口、岡崎らとの連携強化を期待したい。
DF 吉田麻也(サウサンプトン)
吉田麻也も、このワールドカップ予選中に大化けしてくれた。ザッケローニ氏が率いたときから代表の定位置をつかみ、プレミアリーグでも相応の活躍をしながら、敵との1対1の際に(自らの鈍足を考えすぎるのか)慌てる悪癖があった。しかし、16年の敵地豪州戦以降、格段に落ち着きが増し、何かしらの風格も漂うようになってきた。この成長に、ハリルホジッチ氏が相当な関与をしたと考えるのは、私だけだろうか(敵地豪州戦直前の、埼玉イラク戦では、麻也は相変わらず、落ち着きのないプレイを見せていた、この2試合の間の「何か」が麻也を変えたように思うのだ)。だいたい、世界を代表する名DFたちだって、テュラムやカンナバーロやマスケラーノと言った「超人」を除けば、足が遅いとか、後ろを突かれると弱いとか、百点満点の選手は少ないのだから。29歳でロシアに向かう麻也に、期待したいのは、かつて井原正巳や中澤佑二が見せてくれた、格段の予測能力。頼むぞ。
DF 阿部勇樹(浦和レッズ)
ACL制覇は、結局この男に帰する。ペトロビッチ氏の崩壊の後、指揮権を任された堀氏のヒットは、阿部を中央にした4DFで後方を固めたことだろう。さすがに、往時の強さと速さは失われたが、格段の読みと位置取りは未だ健在、もちろんロングボールの弾道の美しさも全盛期とは変わりない。
実はこのポジションは、リーグ制覇に強さで貢献した谷口彰悟や、リーグ戦フル出場し天皇杯決勝に進出した中澤佑二と、迷ったのだが、やはりあのACL終盤の超然とした守備を思い出すと、やはり阿部だなと。
MF 槙野智章(浦和レッズ)
嫌いな選手だった。いわゆる守備の1対1の応対のうまさは国内屈指の能力を持つにもかかわらず、肝心の場面で敵のマークを見失うことが再三。さらには、リードされた試合で、強引に前に位置取りし、チームのバランスを崩す場面を幾度も見せられてきたから。しかし、17年後半から、それらの悪癖が消え、センタバックとしても、左サイドバックとしても、見事なプレイを見せてくれた。不用意な判断ミスががなくなれば、周囲を叱咤激励する発信力の強さもポジティブにはたらく。サンフレッチェ時代から、槙野を甘やかし、上記のミスを犯しても許し続けてきた、ペトロビッチ氏が去ったことも、槙野には幸運だったのだろう。もちろん、槙野が今日の能力を築くためには、ペトロビッチ氏の教育は重要だっただろうが、ここに来ての氏との別離が、この逸材をようやく本物にしてくれつつあると期待したい。
MF 山口蛍(セレッソ大阪)
ブラジル大会でも準レギュラとして活躍し、将来を嘱望されていた蛍も、ようやく真価を発揮しつつある。元々、球際の強さ、ボール奪取力、常識的だが丁寧な展開、などいわゆる守備的MFとしての能力は折り紙つきだった。何よりすばらしいのは、そのスタミナだ。90分間、最後の最後まで、戦い続けることのできる能力は、必ずやロシアで我々に歓喜を提供してくれることだろう。
MF 井手口陽介(ガンバ大阪)
底知れぬ潜在力。そのボール奪取力は明神智和のデビュー時をを髣髴させるし、埼玉豪州戦の決勝点に代表される長駆後の継続性は2002年当時の稲本潤一を思い起こさせるし、正確なパスやドリブルは(そのふてぶてしさを含め)J2からJ1に殴り込みをかけてきた当時の中村憲剛の印象すら与えてくれる。もしかしたら、日本サッカー界が生んだ最高の素材ではないか。我々のロシアでの歓喜は、もはや井手口抜きには考えられないが、何かしらそれに留まらない期待を抱かせてくれる。一部に欧州の2部リーグへ移籍すると噂もあるが、才能の安売りだけは避けて欲しいのだが。
MF 中村憲剛(川崎フロンターレ)
詳細は10大ニュースで。
MF 堂安律(FCフローニンゲン)
あのワールドユース(U20ワールドカップ)での、イタリア戦。ヨハン・クライフの74年ブラジル戦のような1点目、ディエゴ・マラドーナの86年イングランド戦のような2点目。ロシアに間に合って欲しい。
FW 小林悠(川崎フロンターレ)
縦に飛び出す際のボールの置き方と、敵DFとの間合いの取り方が巧みな、このストライカ。大久保嘉人が去ったクラブで、中村憲剛から腕章を受け継ぎ、Jリーグを初制覇し、得点王となった。そして、主軸のほとんどを欠いた東アジア選手権でも、技巧のみならずエースとしての自覚を発揮、上々のプレイを見せた。好素材が完成に近づきつつある。すばらしいシーズンだった。けれども、小林悠がロシアの23人に残るためには、大迫勇也、岡崎慎司、久保裕也、浅野拓磨、杉本健勇、武藤嘉紀、場合によっては本田圭佑との争いに勝たなければならない。選手層の分厚さは結構なことだが、何とも厳しいものだ。
FW 大迫勇也(1FCケルン)
大迫はいわゆる万能型のセンタフォワード。格段のキープ力で日本代表の攻撃の中軸を担い、予選突破の立役者の1人となった。ハリルホジッチ氏のチームの攻撃は、大迫の格段のキープ力を軸にしている。そして、先日のブラジル戦でもベルギー戦でも、このやり方はそれなりに通用した。紛れもなく、大迫は日本最高のフォワードになりつつある。しかし、残念ながら、このままでは日本最高のストライカになれるかどうはわからない。ハリルホジッチ氏に要求されているボールキープは重要だが、もう少しシュートに余力を残しておけないものか。この課題をクリアしてくれれば、我々は格段のストライカをも入手できるのだが。1968年に日本がメキシコ五輪で銅メダルを獲得した際、日本には背番号15の万能型ストライカがいた。あれから50年が経った。同じ背番号でプレイする大迫が、どこまで釜本の域に近づけるか。
更新が、しばらくなかったので心配していました。
2018年の講釈、期待しています。
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更新がしばらくなかったので、心配していました。ありがとうございます。
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