2007年06月20日

冴え渡る明神、復活した松田直樹

 朝の出勤電車でエルゴラッソを読んでいたら、「マリノス−ガンバ戦に松田が出場濃厚」との記事を発見。「これは見なければならない」と思い立ち、定時退社して三ツ沢に向かった。最寄のバス停についたのがキックオフ5分前、急ぎ足で入場する。三ツ沢のメインスタンドは、一箇所の入り口からスタンド下の廊下?を通ってスタンドへに上がれる階段に進む構造になっている。その廊下中央部の売店はビールを買う客で混雑しており、気ばかり焦る。その混雑をようやく突破すると、もうキックオフまで時間がない。ダッシュだ。すると、反対方向に進む集団の先頭の人とぶつかりそうになり、慌ててブレーキ。先頭の人と私は向かい合う形で静止した。
 かくして、190cmを越える長身のボスニア・ヘルツェゴビナ人と、160cmの中年太りの日本人が、僅か50cmの距離で、お互いにらみ合いながら道を譲り合うと言う奇妙な状況が生まれた。一瞬、握手をしようかとも思ったが、中年男と握手しても、先方は何もうれしくないだろうから、丁重な会釈の後に右手をやや上げて道を譲った。先方は僅かに左手を上げて前進。後はもうお互い、試合を観たい思いでひたすら前進とあいなった。
 と言う事で、キックオフには僅かに間に合わなかった。もちろん後悔はない。

 前半はガンバが圧倒する展開となった。
 マリノスは坂田を中心とした前線でのチェイシングを守備の基盤としているようだ。このチェイシングはガンバが最終ラインでボールを回す時は非常に有効。しかし、明神と橋本は中盤でボールを絡め取るや否や素早く展開、加地と安田の両サイドバックは動き出しが早い攻撃参加で、サイドで素早く2対1を作り、次々と好機を演出。さらに最前線では、播戸がバレーをおとりに使いながら再三変化のある動きで裏に抜け出す動きを見せ、マリノス守備網を悩ませる。言い換えれば、マリノスのチェイシングは、明神、橋本の展開には効力を発揮しない。何か別の手を考えなければ。
 結果的に押し込まれたマリノスは、前線に正確なボールを出せずに明神に刈り取られる悪循環が継続。ガンバの猛攻を許した。中澤とこの日当たっていたGK榎本を軸に、マリノスはかろうじて0−0で前半を終了した。前半を見る限りでは、このまま後半に突入すれば、ガンバが何点取るかわからないと言う雰囲気すら感じられた。
 一方のマリノスの攻撃だが、明神、橋本のところで攻めの速さが1度落ちてしまうので、隼磨なり小宮山なりが押し上げても数的優位が作れず、苦しい体勢からのクロスを上げるのを余儀なくされ、中々有効な攻撃にならなかった。
 ちなみに安田の着実な成長は嬉しい。攻撃に関しては評価が定まった感がある若者だが、この日気に入ったのは守備。逆説的だが、隼磨へのタックルで警告を食らった場面に感心した。押されっぱなしのマリノスが前半で唯一ペースを掴んでいた時間帯、よい体勢でこぼれ球を拾った隼磨が突破を深いタックルで止めようとした。僅かに対応が送れファウルとなったが、寄せからタックルに行くまでの動きの素早さと思い切りがよかった。明らかに正当なタックルを狙いながらもファウルになってしまったもの。確かに激しいタックルだったが、ファウルは当然としてあれでイエローはなかろうと思うのだが。

 後半アタマから両軍が動いた。ガンバは安田、播戸に代えてマグノ・アウベスと家長を投入。あれだけ攻勢をとりながら点を取りきれなかったので、西野氏にしては珍しく早めに動いたのだろう。さらに、ローテーション的な起用を行なう事で、連戦の疲労を回避する狙いがあったのかもしれない。押し気味の試合に、強力なドリブルを武器にする2人を投入し、一挙にマリノスを殲滅する狙いは納得できるものだった。一方、マリノスは山瀬弟に代えてマイク・ハーフナー。トップの吉田孝行が2列目に下がった。これは後方からのフィードの目標を入れたと言う事だろうが、「このままではやられるからとにかく何か手を打った」と言う印象もあった。
 ところが、これらの選手交代が全てマリノスに有利にはたらくのだから面白い。まずマリノスの選手はマイクが入った事で、やや不正確ながら長いボールを入れて、押し上げようとする。不正確でも明神のラインを超えてボールが入れば、とりあえず押し込む形にはなり、そこを坂田のチェイシングが襲う。そのため遠藤が下がる事になり、二川との距離が開く。結果的にガンバの攻撃頻度は下がり、その分マリノスの時間帯が増える。さらに明神のところで止まらないと、必ずしもガンバのセンタバック、シジクレイと山口は磐石ではない。後半開始早々、センタバック2人が同サイドに寄ったところで、吉田とマイクがそれぞれフリーでペナルティエリアに進出しシュートする好機を掴んだ。さらにガンバのミスパスを拾った河合?からのパスを受けた吉田が鮮やかな巧技から、シジクレイと山口が抜いた場面は惜しかった。
 これだけマリノスが前掛りになる以上は、ガンバの逆襲にさらされるのは当然の事。ある意味では、その逆襲を効果的にするために、西野氏の交代劇があったのかも。ところが、このガンバの逆襲速攻が予想外の展開にはまり込む。まず家長が全くの不調。ドリブルの名手が、思うように足にボールが付いていなかった。試合前に私とにらみ合ったお方の心証は相当悪くなったのではないか。さらに西野氏の誤算は、前半播戸に散々悩まされていた松田が後半から突然に冴え渡った事だろう。
 前半の松田は褒められた出来ではなかった。播戸の短い距離をスピードの変化をつけてボールを受けるランニングに再三逆を取られ苦闘していた。ところが、後半開始早々強引に縦を突破しようとしたマグノ・アウベスを止めた以降は、完全に乗ってきた。と言うか、あの一発で持ち味の思い切りを取り戻したというべきなのかもしれない。
 ガンバは再三逆襲から3対3、いや4対3の場面を作るが、それらを松田と中澤がことごとくはね返した。

 試合終盤、上野と山瀬がすっかり疲労してしまい、マリノスはガンバの猛攻を許す。それらをまた中澤と松田が全て止めてしまう。野次馬の私が見ていても興奮する攻防だったのだから、両軍のサポータ達はさぞ面白かった事だろう。
 かくして試合は0−0の引き分け。実に面白い試合だった。

 この日自由席は売り切れ。仕方がなく大枚4000円を投資した訳だが、存分に元を取る事ができた試合だった。相変わらず冴え渡る明神智和と、復活した松田直樹を堪能できたのだから。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(7) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「長身のボスニア・ヘルツェゴビナ人」との遭遇のくだり、思わず吹き出してしまいました。
氏の構想には明神も松田も入ってないのでしょうが、2人ともお金を払って見る価値のある貴重な選手だと思います。

願わくばボスニア人氏と武藤さんの2度目の遭遇は、ゆっくりと語り合えるような場であればいいなと勝手に妄想しております。少なくとも凡百の記者やライター相手よりもはるかに有意義なものになるような気がします。
Posted by 迷い猫 at 2007年06月23日 02:18
松田は今節もスタメンのようですね。
あの短い間で試合勘を取り戻したところはさすがという他ありません。
安田にはU-20W杯でもあのパフォーマンスを発揮してもらいたいですね。


ところでハーフナーは歴とした日本人ですからハーフナー・マイクと書かれては?
ちょっと気になったもので。
Posted by ぬぁ〜ん at 2007年06月23日 03:54
前にも三沢で190センチの人が人垣の交通渋滞を起こしたとか・・・。武藤さんの冷静沈着振りににやり、です。

松田はハーフタイムにチームメイトに頼んでビンタしてもらったんですって。すごい効き目ですね・・・・。
Posted by at 2007年06月23日 08:43
家長が絶不調でがっかりした試合でしたね・・・

潜在能力はメッシ以上。

ないない。という思いが確信に変わった試合でした。
Posted by まさみつ at 2007年06月23日 18:47
一般の観客が通るとこを190の方も通るのですか??
えぇ??
関係者口とかから入るのでなくって??
俺も会いたい!見てみたい!
Posted by のんべー at 2007年06月23日 20:50
>後悔はない
ほうほう、そうですか
自慢の仕方も、勉強になります(笑
Posted by とんちゃん at 2007年06月23日 22:14
カレン・ロバートの表記も悩みどころですね。
本名ベースではなくて、サッカー協会への登録名ってことなんでしょうかね。
Posted by たけお at 2007年06月26日 21:37
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