若年層の代表チームは、有為な素材に経験を積ませるためにあるのだから、負けたとは言え我々の若者達がこれだけの経験を積む事ができたのだから、大成功と言える大会だったのだろう。と、強がりを言うには、あまりに惜しい敗退だった。
チェコ戦と言うと、3年前の甘美な思い出と言う事になる。しかし、今回のチームは、当時ネドベドに率いられた速くて鋭いパスでひたひたと攻め込んでくるやり方とは随分異なり、大柄な選手への長いボールを基盤にしたチームだった。ネドベドやポボルスキーと言ったタレントがいないと、コーラー、ロクベンツ頼りになってしまうと言う事なのか。ちょっと寂しかった。その寂しいチームに注文相撲でやられたのだから、悔しさはひとしおなのだが。
序盤こそ押し込まれたものの、前半半ば以降日本は小気味の良いパスワークでチェコを圧倒。CKで先制後も攻勢を取る事ができていた。さらに後半早々にPKで加点(映像で見る限り明らかなPKだし、完全に崩せていた)。典型的な勝ちパタンと思われた。
ところが、このあたりからチェコが、「長身選手に長いボールを合わせ後方から怒涛の押し上げをする」と言う、単調ながら徹底した攻撃をしかけてきた。日本の対応手段としては
(1)ラインをさらに上げて前線からプレスをかける
(2)中盤の運動量を上げて再度ボールキープで優位になるようにする
(3)後方の選手を増やしてはね返す
(4)敵の間延びを狙い逆襲速攻を仕掛ける
等の方法が考えられた。2点差があるのだしいずれかの手段に意思統一し、まずは落ち着くべきだった。しかし、残念な事にいずれの策を執る事もなくズルズルと押されるに任せてしまった。そのような意味では、個々の選手の判断力にも大きな課題があったし、吉田監督の采配にも疑問が残った。チェコは相当無理攻めを仕掛けていたのだから、我慢すれば攻め疲れも期待できたのだが。
失点はPK2本によるものだが、いずれのプレイもPKと言われて仕方がないものだった。PK場面以外も、あの時間帯には好機を多数作られたのかだから、追いつかれて当然と言う時間帯だった。せめて1点差にされた時は、落ち着く絶好のタイミングだったのだが。
同点になって、チェコが一息ついた以降は、退場者が出た事もあって、再び日本のペースとなった。以降は慌てる事なく丁寧に攻め、延長終盤には後一歩まで攻め込んだのだが、仕留め切れなかった。この日3本のPKを取った主審だが、終盤の誰が見てもハンドでPKと言う場面を見落とされたのは悔しいね。
それにしてもバランスの取れたよいチームだった。穴がないと言う意味では、99年の準優勝のチームよりも優れていたのではないか。当時のチームと比べて攻撃ラインは遜色ないし、守備ラインの人材は格段に今回の方が優れていたと思う。だからこそ、もう少し多くの試合経験を積んで欲しかった。世界のベスト16程度で終わってしまうには、あまりに惜しい世代だった。
当時小野たちはやはり同じ1/16ファイナルで、ポルトガルと死闘を演じPK戦で準々決勝進出を決めた。あの試合は後半早々遠藤が先制し、さらにポルトガルが選手交代を使い切った後にGKが負傷退場。10人で素人GKとなったポルトガルが、逆に戦意を高めてきて猛攻を仕掛けてきた。日本は、80分に追いつかれ、延長でも圧倒的な攻勢を取られたが、かろうじて同点で試合を終え、PK戦の末振り切る事に成功した。
チェコの5人目にやられるまで、あの場面を思い出し、勝利を信じていたのだが。
済んでしまった事は仕方が無い。そして、彼らの挑戦はこれで終わりなわけではない。まずは今秋行なわれる五輪最終予選がその舞台となる。8月上旬には最終予選に向けた遠征が行なわれると聞いているが、そこから今回のユース選手が大量に五輪代表に流入し始めるはず(五輪代表の反町監督はA代表に帯同しベトナムにいるのだが、ヴィクトリアに行かなくてよかったのだろうか)。
そして、安田よ。君が目指した「99年メンバ越え」は、ワールドカップ本大会で実現してくれ。
2007年07月12日
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吉田ジャパン、冒険の終わり
Excerpt: U−20W杯、日本vsチェコ 森島 河原 柏木梅崎 田中
Weblog: NETTARO BLOG
Tracked: 2007-07-14 20:06
U-20 日本 vs チェコ (2-2 / PK 3-4)
Excerpt: 次の相手がネドベドのような選手がいないチェコという話だったので、これはベスト8までは確実だなと期待していたんだけど、残念ながらPK戦の末に日本は負けてしまった。国際大会のトーナメントにおける勝利という..
Weblog: Una Noche Perfecta Para El Descarga
Tracked: 2007-07-15 08:06
ノープレッシャーでボールを持った時のクロスはスピードが無く不精確、敵陣では持ちすぎて相手に取られたり、逆に自陣では軽くはたいてピンチになったり・・・流れがチェコになった時に相手に合わせてハイボール合戦を始めた時には目を覆いたくなりました。
へろへろクロスの替わりにドリブル&壁パスを使えば4点くらいは楽に取れた(うちPK2点)気がします。
チーム全体の経験不足としても納得出来ない。
お決まりの交代しかしなかった無策な監督のせいもあってでスペインと真剣勝負する機会を失ってしまったことは悔し過ぎます。
武藤さんのように
>済んでしまった事は仕方が無い
とはまだ思うことが出来ずにいます。
腹が立って腹が立って・・・。
2000年はシドニー
'99の3月頃にWYがあって,99'年〜'00年初旬にシドニーのアジア予選があり,というスケジュールだったように記憶しております.
各ポジションにいい選手が揃ってて、あれ?むしろ過去2大会に比べてずっといいんじゃないかと思いました.
そして何よりみんな明るくてふてぶてしいのも良かったですね.
この選手達がいまいちパッとしない五輪代表に喝を入れて是非北京に行って欲しいです.
本気の試合は3試合だけ。
これで、大成功といえるほどの経験を踏めたのか?
だとしたら、何を見ているのですか??
名前のある程度売れてきた選手を並べたから、勘違いされているのではないですか。
今回のチーム構成は、明らかに攻撃にシフトさせたもの。
中盤に相手を潰せる選手はいない。
両サイドバックは、2人とも守備能力の低さを露呈。
ただし、中盤もサイドバックも攻撃力、特に機動性や積極性を期待されての起用だと感じ取れます。
逆に言うと、受けに回った時に弱さをさらけ出す。
世界を相手にする時、主導権を握りつづけることは不可能。
勝ち残るチームなら、我慢できなければダメですよね。
まさにその部分が出てしまったのがチェコ戦のあの時間帯。
何度も押し込まれたものの相手のミスに助けられたのが、コスタリカ戦。
どこをどう見たら、バランスが良いといえるのか?
常に主導権を握ろうとする、積極的に試合を進める。
それを世界レベルで表現することがある程度できた。
私なら、その部分を高く評価します。
自分のblogでやればいいのに。
直近のツーロンでふるわなかったのと、チームとしての試合経験が少なすぎただけで、すくなくとも、チェコはBチームだったし、こんなベスト16で終えるようなチームではなかった。真の力を本当に見せずに終ったのが、残念でならない。
*あと、怪我で選出できなかった森本と長谷川の不在も痛かった。
まあ、難しいことは抜きにして、俺はこのチームが好きだったし愛すべき野郎どもだと思いましたよ。録画したチェコ戦もなかなか見る気になれません。