明日のオマーン戦はパナソニックスタジアム吹田、疫病禍下の折、さすがに参戦は断念した。このような折々に、世の中の正常化を願わずにはいられない。
最終予選初戦と言うのは、色々思い出深いものがある。あのフランス予選、ウズベキスタン戦のカズの大爆発(今思えばこの稀代のストライカが日の丸をつけて光り輝くのは、この試合が最後となるのだが…もっともあれから24年経ってまだ現役って何なのだろうか)、ドイツ予選は北朝鮮相手に小笠原の先制と大黒のアディショナルタイム(終盤の中村俊輔を軸にした猛攻はいかにもジーコ氏のチームらしかった)、南アフリカ予選は敵地でバーレーンに3-2の勝利(3-0から闘莉王のミスなどで1点差にされたのはご愛嬌だった)、ブラジル予選は(明日と同じ)オマーンに3-0で快勝(この勝ちっぷりは日本サッカー史に残る完勝、前田遼一の完成がすばらしかった)、そして前回のUAE戦は酒井宏樹と長谷部のミスから1-2の逆転負け(ハリルホジッチ氏の岡崎→浅野、清武→宇佐美、大島→原口の交代はそれぞれ合理的だったが、ことごとく裏目に出たのが味わい深かった)。
さて明日はどのような試合を見ることができるだろうか。
過去色々森保氏には文句を言ってきた。しかし、何のかの言っても、今我々が所有しているチームは、各ポジション穴がほとんどなく、史上最強感も漂っている。ややゴールキーパと左バックの層が薄い感もあったが、先日の五輪での谷晃生と中山雄太の活躍で埋まりつつある。
などと思っていたら、相変わらずおもしろい人選を行うのが森保氏だ。まず両サイドバックを酒井宏樹、山根視来、室屋成、長友佑都、佐々木翔、中山雄太とそれぞれ3人選抜。3DFを試したいのではないかとの報道もあったが、その場合原口元気と伊東純也もサイドMF候補となるから、サイドプレイヤは余剰気味。
一方で中盤後方のタレントは遠藤航、守田英正、柴崎岳の3人だけ。森保氏はこのポジションの人数が足りなかったことによる失敗を、つい最近の五輪で犯しているのだが。例えばここには川辺駿、橋本拳人、稲垣洋などを最近選考しているし、谷口彰悟をこのポジションで試している。そして何より田中碧もいる。消耗の激しいポジションなのだから、厚めに選んでおいて損はないと思うのだが。まあ、森保氏としては、五輪同様板倉滉を中盤要員と考えているのかもしれないが。
などとと思っていたら、冨安健洋と守田が来日できず、板倉が負傷離脱とのこと。守備的MFどころかCBまで足りなくなってしまった。3DFのトライどころではなく、CBは吉田麻也と植田直通、守備的MFは遠藤航と柴崎のみ、控えすらいない。急遽昌子源を呼び戻したとのことだが、昌子は今日のルヴァンカップをフル出場している。何とまあ段取りの悪いことだ。せめて1日前に決断していれば状況はましだったのだろうが。少なくともこのオマーン戦については、比較的近隣で今日ルヴァンがなかった神戸から、ベテランの山口蛍や売り出し中の菊池流帆を呼ぶような方策もあったのではないか。
それにしても、森保氏は、よほど現役時代の自分と同じポジションの遠藤航を消耗させるのが、お好きなようだ。
勝ち点勘定からすれば、開幕のホーム戦だからキッチリと勝ち点3を確保したいところ。いや次節の中立地中国戦と合わせて勝ち点6をとっておきたい(3節は灼熱のサウジでのアウェイゲーム、4節は地元とは言え難敵豪州だから)。
そこに対する最大の不安は、上記散々嫌味を言ったように、CBと守備的MFに控えすらいない惨状が挙げられる。麻也、植田、遠藤航、柴崎の誰かが負傷したり消耗した場合、中山や佐々木が使われる可能性が高いが(今日試合をしている昌子よりは体調がよいだろうから)、ぶっつけ感が満載だなこれは。
また、豊富な攻撃ラインのタレントを、森保氏が使いこなせるのかも不安。五輪でも特定の選手に拘泥して選手の消耗を招いたことは記憶に新しい。しかも得点について、最も期待できる南野拓実が本調子でないと言う情報もある。
立ち上がりにうまくチームがはまり、早々に点がとれれば、オマーンを前に引き出すことができるだろう。そうなれば、鎌田大地と大迫勇也を軸にした速攻から好機を大量に作れる流れを作ることもできそうだ。しかし、常識的にはオマーンは後方を固めてくるだろうから、前半は相手を疲れさせるべくボールを回し、後半勝負となる可能性もある。その際に、先日の五輪ニュージーランド戦のように、森保氏が采配機能不全を起こさないでくれればよいのだが。
などと不安を語るのも、代表戦の楽しみだ。選手の個人能力では圧倒しているのだし、前線の選手の知性や技巧でオマーン守備網を再三切り裂くのを楽しみにキックオフを待つのが、正しい楽しみ方と言うものか。