2021年09月10日

快勝だったが学ばない森保氏、やはり更迭が妥当

 森保氏は早々に更迭すべきと確信を持った中国戦の快勝劇だった。

 理由は明白、短期決戦の試合を勝ち抜くための采配が稚拙のみならず、直前の失敗の反省を織り込むことができないからだ。今のまま森保氏に代表を託したとしても、ワールドカップ出場権を獲得する可能性はそれなりに高いと思う。しかし、本大会で1次ラウンドを突破し1/16ファイナルを勝ちベスト8に進むことは、森保氏では極めて難しい。
 アジアカップの決勝進出、五輪のベスト4、森保氏の戦績は決して悪くない。内容面でも、五輪で見せてくれた守備網の堅牢さは中々のものだった。また能力の高い若い選手、Jリーグで台頭してきた選手を丹念に試し、おそらく史上最高レベルの選手層の厚いチームを作ったのも森保氏の功績だ。
 けれども、選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。要は1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。
 さらに悪いことに、失敗したことの反省が反映されていない。五輪での敗因は、選手選考段階のミスを含め、中心選手の消耗を放置したことにあった。オマーン戦は、選手の合流不可や負傷があったにもかかわらず試合前に対応せず、さらに雨中の試合で消耗した選手を交代させず終了間際の失態を招いた。中国戦は、敵の作戦ミスもあり前半先制に成功、後半攻めに切り替えてきた相手を冷静にいなしての完勝。けれども、交代策があまりに拙かった。危ない場面がなかったのは単に相手が弱かったからだ。
 五輪の失敗の反省が、最終予選の2試合で何も活かされなかったのだ。

 これまでも森保氏の采配に疑問は多かった。けれども、長期的に「何か」を考えているがための不可解さだと思っていた。たとえば、アジア選手権で韓国になすすべなく敗れたり、アジアU23選手権で無策のまま完敗を繰返したときは、腹がかなり立ったけれども、その「何か」を見極めたいと思っていた。
 しかし、五輪からこの最終予選の2連戦、長期的見解がどうあろうが、本腰を入れて勝負する試合でも、采配の稚拙さ、反省のなさが明らかになった。「何か」は幻だった。「何か」はないのだ。采配が稚拙で反省がないだけのことだったのだ。ワールドカップ本大会の采配を森保氏に託すのは、あり得ないことだ。

 中国戦については、詳細を論じる必要もない試合だった。単に中国が弱かったのだ。
 前半は、明らかな先方の自滅。5-4-1で守備を固める事自体は否定しないが、前線でのプレスもなく、両サイドの守備もいい加減。後方に引いて一切プレスをかけない1970年代風のサッカー。解説の岡田氏が外に開いた室屋や長友に対し、中盤の選手が当たりに行かずサイドバックが対応しているのを見て、激怒していたのには笑った。中国協会は今からでもよいので、岡田氏を監督にしたらよいのではないかw。
 それでも、日本はオマーン戦の衝撃が抜け切っていないのか、中々ギアが入らなかったが、あそこまで非組織的守備網ならばいつか崩れる。大迫がまったくのフリーでポストに当てた時はイヤな予感がしたが、伊東が持ち味の縦突破を見せ大迫が難しいシュートをキッチリ決めてくれた。
 これで本来のプレイを取り戻した日本。後半から帰化選手を大量に投入し前に出てきたところで、一切好機を作らせなかった落ち着いた試合運びは見事だった。

 ただし、追加点をとれなかったのは残念だった。
 要因の1つには、76分に起用された鎌田の調子が極端に悪かったことが挙げられる。落ち着いて中国をいなして好機すら許していない終盤、焦る相手を引き出して速攻をしかけてトドメを刺したい時間帯だったのだが。鎌田は、引き出しの動きが少ないのみならず、中途半端なドリブルで再三ボールを奪われてしまった。オマーン戦も残念なプレイ振りだったが、まだシーズン開幕直後で疲労がたまる時期でもないが、どうしたのだろうか。こののオフの移籍問題が尾を引いてでもいるのだろうか。もちろん、それを見極められず起用した森保氏の責任なのだが。
 さらにそのほかの交代策がひどかった。後半序盤に古橋が負傷し、交代の1枠を使っていたから後半の交代機会は残り2回。常識的には鎌田投入と同時に、もう1人(2人でも3人でもよいが)フレッシュな選手を入れるべきだろう。大迫に代えてオナイウ、久保に代えて堂安、柴崎に代えて守田などいくつも選択肢があったのだが。そして終盤長友の負傷時に佐々木を入れる時にも他の選手を代えることができたはずだ。
 現実的に後半の展開を見る限り、失点のリスクは非常に小さいものだった。しかし、その小さいリスクを几帳面に消すことが短期決戦での勝利の要諦なのだ。そして、森保氏は五輪と言う勝負どころで失敗した。さらに、その直後のワールドカップ最終予選の最初の2試合でその失敗の反省を活かせなかった。
 更迭が適切と言うものだろう。

 もちろん森保氏への不満はこれだけではない。
 特に攻撃面において、選手の特長を組み合わせた連係を作ろうとしないこと。森保氏のチームを見ていると、南野や久保のシュート能力を活かす、伊東の縦突破を活かす、古橋の裏抜けを活かす、オナイウのゴールエリアでの強さを活かす、このような各選手の特長を組み合わせる連係は、ほとんど見られない。両サイドにしても、サイドバックとサイドMFを有機的に組み合わせたインナーラップやダブルオーバラップなどの細工は見られない。ただ、4-2-3-1に選手をはめこんでいるだけだ。
 4-2-3-1と言う選手配置にこだわり、そこに選手を当てはめることしかしないのも不満だ。Jで猛威をふるっている三笘や前田大然を、五輪では4-2-3-1に無理矢理押し込みほとんど機能させられなかったことは記憶に新しい。
 けれども、こう言った不満は、ある意味で監督のスタイルと言えるかもしれないし、ワールドカップ本大会の重要な試合までカードを隠している可能性がある。もしかしたら、森保氏は本大会の1/16ファイナルや準々決勝で、南野と久保と堂安と鎌田を田中碧が鮮やかに操る、今まで見たことがない鮮やかな連係を見せてくれるのかもしれない。あるいは、突然に選手配置を4-3-3に切り替え三笘と伊東の両翼が強豪国の守備網を切り裂くのかもしれない。だから、文句は言い続けるだろうが、このような不満は勝負どころまで結論は断定できない。
 これらについては、まだわからない。

 けれども。
 1試合、1試合を勝ち切るために、丹念に几帳面に工夫することができないのは論外だ。
 序盤に述べたことを繰り返す。選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。そして、五輪での最大の失敗である選手の消耗対応を反省していないこと。要は森保氏は、1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。これは将来の改善は期待できない。
 これだけの選手を準備できたのだ。
 来年のカタールワールドカップ、私は森保氏に采配を委ねるべきではないと思う。ベスト8以上の成果を挙げる確率を少しでも上げるために。
 森保氏の更迭を望むものである。
posted by 武藤文雄 at 23:57| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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