とにもかくにも、J2降格と言う難しいシーズンに監督を引き受けてくれて、ここまで多くの選手の特長を活かした攻撃サッカーを見せ、上々の成績を挙げてくれた実績。ここまでの原崎前監督の功績を讃え、感謝したいと思う。ありがとうございました。
そして、今後の氏の指導者生活が成功することも祈りたい。ただし、ベガルタ戦以外でだが。
フォギーニョと中島のコンビによる強くて前線に精力的に飛び出す中盤。氣田、名倉、加藤、真瀬、内田らサイドプレイヤの精力的な上下動。富樫と中山を軸にした強さとシュートのうまさが際立つ最前線。ベテラン遠藤が見せる魔術。特に氣田や皆川など、昨シーズン手倉森前監督が、あまり機能させられなかった選手が、原崎氏の下でよく化けてくれたのは大いに讃えられるべきだろう。
半世紀近くとなるサポータ人生、これは自分にとっては、2003年のベガルタ清水秀彦氏更迭と2018年の日本代表ハリルホジッチ氏以上の超ビックリ更迭劇となる。
清水氏の時は、(少々失礼な言い方になるが)当時のベガルタフロントへの助言者があまり信用できず、「何か妙なことが起こらなければよいが」的な思いがあった。そのため、発表を聞いた時の驚きはそれほどではなかった。
ハリルホジッチ氏の時は、さすがに驚いた。上記リンク先で延々と講釈を垂れた通り、田島会長の判断がまったく理解できなかったからだ。ただ、当時から会長の言動を見聞きする限りでは、氏にとっては日本代表の好成績以上に何か重要なことがあるのだろうと言う諦念はあった。これはこれで不愉快だが、田島会長はルールにのっとって選考された協会会長だし仕方がない。今日見せてくれている彼なりの努力を、現役の選手時代に発揮して欲しかった思いはあるけれども。1975-76年の高校選手権決勝での、浦和南対静岡工業戦、浦和の大エース選手田島幸三の鮮やかな2得点に憧れたサッカー狂としては。
けれども、今回の原崎氏更迭は、まったく予想外だった。ここに来ての4連敗、勝点勘定的にも相当厳しくなっているし、チームの沈滞感も相当なものがあるのだろう。しかし、シーズン当初から原崎氏が見せてくれたサッカーは魅力的で、成果も出ていた。原崎氏更迭の判断は、J1復帰と言う短期目標、J1再定着と言う中期目標、国内トップクラスのクラブと言う長期目標、いずれにとってもマイナスにはたらいてしまうのではないかとの不安も大きい。
確かに、攻撃志向を徹底するためだろうか、守備麺の課題は多かった。自陣から無理せずに抜け出すべきなのに逆襲速攻を無理にねらい、急ぎ過ぎて、逆に敵にボールを奪われてしまうケース。セットプレイでのファーサイドやライン前の守備。両サイドバックを前線に送り込み、押し込んだところで散見される、ミスパスから決定的な逆襲を許す。
もちろん、これらが解決してくれれば嬉しいが、いずれも選手個々の判断力に起因する課題。各選手の知性のレベルアップは監督にとっても最も難しく時間のかかる仕事。ここまで素敵な攻撃的サッカーを見せてくれた原崎氏に、たとえ時間がかかってもこれらの修正を期待するのは、十分理に叶っている。原崎氏だって、Jを率いるのは初めての経験、この難しい状況を打破してくれれば、我々は格段の監督の入手に成功すると期待していた。
正直言って、私は今シーズン、いや今後も原崎氏と一緒に戦いたかった。
一方で。私はベガルタの佐々木社長を信頼している。社長就任以降最大の課題だった債務超過問題を解決の目処を立て、大口を含めたスポンサを丹念に増やし、原崎氏にチームを託し上々の成果を上げてきた。クラブやチームの詳細な内実は、我々サポータには理解できない。クラブ内、チーム内の詳細を検討した上、佐々木社長はこの重い判断を下したのだろう。佐々木氏の判断には敬意を表したい。そして、公認の伊藤彰監督の実績は中々のものがあるのも、また確かだ。
その上で。
我々がやれることは簡単。伊藤新監督、そして梁勇基とその仲間達を熱狂的に応援すること。そして、シーズン終了後にJ1復帰に歓喜すること。まずは次節敵地大分戦、難敵が相手だが勝点3獲得を期待したい。