2023年09月09日

ドイツとの再戦

 早いもので、カタールの興奮から1年近く10ヶ月が経った。
 一方でW杯予選やアジアカップも近づいてきている。48国出場と言うおよそ緊張感のないW杯予選、優勝以外考えられないアジアカップと、何とも味わい深い相違はあるが、代表の試合が楽しいことだけは変わりない。
 そして、今回の欧州の強豪ドイツ、トルコとの2連戦。欧州各国がクローズな地域対抗戦を重視するようになり、なかなか有効な親善試合が組めなくなっている中で、良好なマッチメークを行った日本協会にも敬意を表したい。そして、11月には早くもW杯予選が2試合。その後、アジア制覇奪回をねらい選手達は1年ちょっと振りにドーハに降り立つ計画。落ち着かない楽しい日々が続くが、ありがたいことだ。
 まずはドイツ戦。親善試合とは言え、先方からすればカタールの復讐戦。さらに言えば、最近の試合でドイツはすっかり不調(W杯終了後、1勝1分3敗)とのこと。この手の親善試合では珍しく、先方がどうしても勝利を挙げたい事情が強い。これは、難しいが楽しいタフな試合が期待できそうだ。もちろん、ドイツは強いのは間違いない。特にここ10年くらいのドイツサッカーは、昔の無骨さがなくなり、柔軟で洗練されたパス回しを見せてくる。ドーハでも前半、当方が相当引いていたこともあったが、パスの強弱を巧みに使い分け、押し込まれたことが記憶に新しい。
 加えて、続いてトルコ戦。「トルコ」と聞くとついつい「21年前故郷宮城の復讐戦だ!」と言いたくなりますね。しかし、あのドーハの歓喜からもう10ヶ月経ったのも驚きだが、あの雨の利府の絶望からも既に21年が経ったのか。時の経つのは、本当に速いものですね。

 アジアカップに向けて、森保氏は様々なトライアルを行いたいことだろう。
 負傷がちだった冨安健洋が復活したところで、どのような守備網を構築するのか。ここまでの森保氏の起用のやり方を見ていると、右から菅原由勢-冨安-板倉滉-伊藤洋輝をベストと考えているように思うが、ドイツ戦の先発はどうなるのか。また、少々手薄完がのある左DFをどう考えているのか。ただ、ここは中山雄太が負傷から回復すれば問題なくなるのかもしれないが。DFラインでちょっと不思議なのは、瀬古歩夢の不選考。ここまでの起用方法を見ている限り、CBは冨安は別格として、板倉、谷口に続く序列は瀬古なのかと思っていたのだが。まあ。吉田麻也、長友佑都、酒井宏樹と言った大ベテランは事実上代表を去ってもなお、幾多の人材がいるのだから、文句を言ったらバチが当たりますね。
 中盤後方の選手選考が少ないのは、以前も講釈を垂れたが、森保氏の方針か(笑)。今回も川辺駿は呼ばれていない。合わせて気になるのは田中碧、東京五輪時点では日本代表全軍の指揮官獲得の時は近いと期待していたのだが、ドイツの2部リーグのチームから中々転身できないのはどうしたことか。結局リバプール入りした主将の遠藤航と守田英正を軸とすることになるだろう。しかし、このポジションはそれなりにタレントは多数いると思うのだが、森保氏は断固として多数を呼ばない。このポジションだけは妥協を一切許さず、自分の水準を超える選手しか選ばない方針なのだろうか(笑)。
 前線のタレントは本当に潤沢。現状では、両翼に伊東純也と三笘薫を並べるのが最強布陣かと思うが、その場合真ん中の2枚を8人が争うことになる(笑)。さらに今回は、ドラミ相馬勇紀と最近好調が伝えられる南野拓実が不選考なのだから贅沢なものだ。

 私がサッカーをはじめた半世紀前。
 ドイツ(当時は西ドイツでしたが)と戦うことはもちろん、勝つなどと言う概念は存在しなかった。いや、W杯に常時出場することや、アジアカップで常に優勝をねらうなども、およそ想像すらできなかった。
 アジアカップを初制覇したのが31年前か。以降90年代、日本は驚異的な右肩上がりでサッカー界の地位を上げていった。その右肩上がりは、いつか止まるだろうと思っていた。しかし、もちろん上がり下がりはあったし、微分値こそ小さくなったが、今なお右肩上がりは継続している。気がついてみたら、W杯本大会でドイツやスペインに勝ってもおよその驚きはなくなり、欧州のトップクラブで当たり前のように日本人選手が活躍している。多くの有為なタレントが欧州に流出しても、Jリーグは常にスキルフルな選手を多数抱え熱狂的な試合が、日本中のどこでも見ることができる。
 などと半世紀の思いを抱えながら、ドイツを返り討ちにするのを、じっくり楽しみたい。
posted by 武藤文雄 at 01:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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