恒例のベスト11です。
ドイツを返り討ちにするなど、実に景気のよかった日本代表チームの中心選手と、Jで活躍したタレントを、いつものように偏見で選考しています。
GK
前川黛也
神戸のJ1制覇を支えた安定した守備振り、A代表で唯一決定的タレントが不在のこのポジション。前川黛也が成長し、2026年大会で日本を支えてくれる可能性も十分にあると思っている。落ち着いたクロス処理と広い守備範囲と堅実なセービング。
ここで改めて年寄りの繰言として、前川黛也のお父上の前川和也のアジア制覇について語らせていただく。
1992年のアジアカップ準決勝中国戦、前半開始早々に先制された日本だが、後半落ち着きを取り戻し、福田正博、北澤豪の得点で逆転。ところがその直後、自陣前の混戦後にGK松永成立が意図不明のラフプレイで退場、オフト監督はこの緊急事態に北澤に代えてGK前川和也を起用した。その直後、中国の単調なクロスボールを、CBの柱谷哲二が意図不明のスルー、突然流れてきたボール処理を前川和也が誤り、日本は同点に追いつかれる。本件については、前川のミスとの記録は多いが、どう考えてても柱谷の判断ミスが致命的だった。1人少ない状況での難しい戦いとなったが、終了間際の堀池巧の鮮やかなクロスからゴン中山が美しい決勝点を決め、我々は決勝進出に成功、アジアチャンピオンに駆け上がった。本当に本当に嬉しかった。
ともあれ、あの苦しかった準決勝中国戦、そして続く決勝サウジ戦、我々サポータに初めてのアジア王者を提供してくれたのは、お父上前川和也だったのだ。
ご子息が改めてアジア王者の歓喜を提供してくれることを期待したい。
DF
菅原由勢
ユース時代からエリート選手。2019年のU20W杯でのプレイもすばらしかった。ところが、韓国戦の直接的敗因となってしまった痛恨のミス。その後オランダの名門での活躍があったものの、カタールW杯の最終代表選考直前の負傷で選考外となった。
こう言った不運を糧として、菅原は最高級の右サイドバックに成長した。このポジションは、内田篤人、酒井宏樹と、日本が常にトップレベルの選手の輩出が継続していた。ここに、内田、坂井と遜色ないタレントの、菅原が確立していること、素直に喜びたい
冨安健洋
その潜在能力からすれば、まだまだ不満は多い。また本人の課題とは言い難いが、負傷の多さはいかがなものか。
しかし、あのドイツ戦での完璧なプレイを見せられた以上、ベスト11には選んでおかないと。
谷口彰悟
カタール移籍後もコンディションを崩すことなく、トップフォームを維持。代表戦に呼ばれる度に堅実なプレイを披露。多くの日本人選手が欧州に戦いの場を移しているが、冨安や遠藤航のようなメガクラブで活躍の場を得ることができない選手が生涯年収を最大にする道筋は、谷口のように中東の金満クラブでのプレイではないかとも思える。それはそれで、複雑な思いにとらわれるけれど。
本多勇喜
ヴィッセルのJ初制覇を最終ラインで支えた。正直、この選手は今シーズンの大活躍までノーマークでした。瞬発力を活かした出足の鋭さ、落ち着いた守備対応、左足の精度。32歳となり、このようなタレントが登場するのだから堪えられませんな。
MF
遠藤航
30歳になってからリバプールのようなメガクラブへの加入し大活躍。考えてみればブンデスリーガでもW杯でもあれだけのプレイを継続してきたのだから、驚きではない。
ただし、こう言ったメガクラブを含めた欧州の一部クラブの編成は、戦闘能力の向上とは別に、選手の売買による利益創出も目的となっている。そうなってくると、日本人選手は、欧州市場への参画がどうしても遅くなり敬遠される傾向があった(だから、日本人選手の代理人の多くは、日本でほとんど実績上がっていないタレントを、無理に欧州で売りに出そうとするのだが)。しかし、この遠藤の成功は、ベテランの域に達した日本人選手の有用性を示すもの、今後の欧州での各選手の活躍の場を広げるきっかけになるのではないか。
守田英正
カタールW杯でも感じたのだが、守田は過去の日本サッカーがようやく生み出すことができた攻守両面で機動的に機能するタレントと言うことになるだろう。中盤後方から挙動を開始し、豊富な運動量で最前線あるいは両翼のサポートを忠実にこなし、時に得点も奪う。しかし、あれだけの頻度で前線に顔を出しながら、中盤守備で破綻もきたさない。
もちろん明神智和の全盛期に真っ当な代表監督がいれば、守田のように中盤を席巻するタレントとして日本代表で圧倒的な存在感を見せてくれた可能性はあっただろうが、まあぞれはそれ。
山口蛍や渡辺皓太と言ったJで秀でたプレイを見せた選手を選びたい思いもあったのだが、今年に関して言えば遠藤と守田がすばらし過ぎた。
紺野和也
あのルヴァンカップ福岡初戴冠の立役者。
ここ十年くらいで世界的流行(十年もの月日が経ったのだから、流行と言うのはおかしいか)となっている左利きの右ウィング。高速で頻度の多いタッチで俊敏性でキュッと中にも縦にも行ける。このような特長が明確なタレントは、チームとしてその異才をいかに活かせるかが重要で、福岡はこの小柄で勇気あふれるウィングにとって最適なチームと言える。これだけ目立った活躍をすると、他の金満クラブから声がかかりそうなものだが、来期も福岡でプレイするとのこと。このまま、この格段の才を活かす活躍が続けばA代表入りも見えてくるのではないか。
伊東純也
日本サッカー史上最高のFWなのではないかとの雰囲気が漂ってきた。
30歳になっても衰えない縦への格段のスピード、そしてトップスピードで長駆しながらブレないトラップの精度がすばらしい。あの高速下の高精度のボールコントロールを見ていると、伊東をトップ下にして久保を右サイドに配した方が、もっと日本は点をとれるように思うのは、私だけか。
三苫薫
川崎時代の活躍を考えれば、プレミアでの圧倒的存在感は不思議ではない。
ただ、私は意地が悪いので、この世界最高級のウィングプレイヤを、長期に渡り代表のレギュラとしてこなかった理由を、森保氏に問いたい。
FW
大迫勇也
やはり今年のCFは上田綺世でも古橋亨梧でもなく、このお方でしょう。優美なテクニシャンに得点力が戻ってきた。
ただ、私は意地が悪いので、この日本サッカー史上屈指の優美なストライカを、カタールW杯代表に選ばなかった理由を、森保氏に問いたい。
余談ながら…
百花繚乱の感がある代表の攻撃的MF。上記の通り、伊東純也は日本サッカー史上最大のFWではないかと思わせる存在感だし、三苫薫は世界屈指のウィングだ。そんな中、久保建英、鎌田大地、堂安律が並立し、凄絶なポジション争いを演じている。そんな中、最近の久保は東京五輪やカタールW杯での独善的が過ぎるプレイがなくなり、レアル・ソシエダでも代表でも見事な攻撃の牽引ぶり。鎌田のドイツ戦での気の利いたポジショニングは見事なものだった。代表での評価が落ちたと揶揄される堂安だが、序盤押し込まれていたトルコ戦で独特のキープで最初に作った好機で伊藤敦樹の得点を演出した場面など大したものだった。結構な時代になったものだが、やはりベスト11となると、ルヴァンカップ決勝の紺野和也かなと思いました。
2023年12月31日
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