2007年08月14日

日産スタジアムの惨劇

 夏休みに入ったのだが、さすがに徳島に行く余裕はなく、坊主とマリノス−横浜FC戦を観に行った。横浜ダービーと言う事もあり、マリノスが相当精力的に販売促進を実行していた試合だ。試合中の公式発表によると、53916人の入場。大観衆の見守る中のダービーマッチの雰囲気は中々だった。もっとも、誰もあのような試合展開になるとは予想はしていなかっただろうが。
 また、多くの観衆がダービーマッチにも関わらずマリノスを応援していたのも興味深かった。このあたりは、「マリノスは横浜で圧倒的な大衆支援を受けているため」なのか「マリノスの知名度が横浜FCと比較して圧倒的に高いため」なのか「両軍を比べる限り『過去よりも現在あるいは未来がピーク』のスター選手はマリノスが圧倒的に多いため」なのか「80年代半ばからプロ化を推進した日産の努力の蓄積のため」なのか「マリノスが販売促進した事による事そのもののため」なのか、色々な事情が考えられるのだろう。
 ただし、この両クラブの何とも言いようがない過去のいきさつを考えると、この試合の情宣に用いられてた下品なキャッチはいかがかと思うのもまた事実。クラブの地域立地から高揚するライバル意識が、ダービーマッチの最大の面白さ。その高揚に、いささか芝居じみた煽りを全否定する気はない(ただし、あまりに幼児性を前面した対立の煽りは勘弁して欲しいものだが)。しかし、この両クラブだけは、過去のいきさつがいきさつだけに、煽れば煽るほど、何か言いようのない寂しさを感じたのだ。まあ、1つの見方だと思っていただければ。

 フィールド上で繰り広げられた惨劇を振り返る。

 前半の1点目はあろう事かGK菅野のミス。思うように勝ち点を積み重ねられない中断前の各試合でも見事なプレイを見せていたこのGKがよりによってこのようなミスをするとは。何か、このプレイだけでこの日の横浜FCは悲惨な事になるのではないかと言う予感がした。横浜FCは、直後の決定機を奥がボールを収めきれず逸機、代表経験のあるベテランのミスは痛い。そして、後半終了間際、横浜FCの難波が負傷。この場面、遠い2階席から見ても大変な状況だと思えたのだが、不可解な事に横浜FCは交代選手の準備が遅れる。結果的に10人で戦っている時に2点目を奪われてしまった。負傷が相当深刻でフィールド内での治療に時間がかかった事もあり、負傷直後に準備を始めれば11人で戦う事ができたと思うのだが。余談ながら、私にはこの場面、難波が急に進路を変えた事でマリノスDFに激突したように見えたのだが、横浜FCが試合後「極めて悪質なラフプレイ」として提訴したと言う。裁定を待ちたい。
 それにしても横浜FCの前半は、大黒柱とベテランと監督が決定的ミスを犯し0−2、この時点ではこれ以上悪い事は無かろうという印象だった。

 しかし、横浜FCは後半それ以上の地獄を見る事になる。後半早々の3点目。山瀬が独特の抑揚の利いたドリブルで右から持ち込み横浜FC守備ラインが引き付けた上で左へ展開、これにより全くのフリーになった小宮山はよくルックアップしてペナルティエリアに進出した山瀬にグラウンダのセンタリングを通した。左右に振られたとは言え、敵のエースMFをあそこでフリーにしてしまうとは。確かに山瀬と小宮山は巧かったが、守備を基盤にするチームがあの程度の揺さぶりに崩れては話にならない。もし、山口素弘がいれば、このように揺さぶられても易々と山瀬をフリーにはしなかっただろう。しかし、もし山口がいたとすれば、スタミナと守備能力の衰えから別なところで破綻をきたしただろう。これは大ベテランを駆使してJ1昇格した横浜FCの言わば構造的問題なのだ。逆に言えば、衰えが顕著になった山口を軸にJ1に突入してしまった横浜FCが、山口の代わりを見出せずにもがいているとも言えるのではないか。この日守備の中央を固めた早川、太田、呉範錫、マルコス・パウロの4人の能力は、十分にJ1で戦かえるレベルに達していると見たが、短い時間で厳しいリーグを戦いながら連携面で存分に機能するチームを作る事ができるか。現実的にJ1残留は相当厳しい勝ち点勘定だが、ようやく人材は揃った感がある。もし残留を果たせなくともチームの基盤を再構築できれば、J2でまた強さが発揮できるはず。昨期J2で見事な手腕を見せた高木氏の手腕を見守りたい。

 以降は、吉田、山瀬弟が巧みに作るスペースに隼磨、小宮山が自在に進出、サイドで数的優位を作っての揺さぶりを繰り返し、面白いように得点を重ねた。特に小宮山の成長は見事なもので、ドゥトラの穴を存分に埋めた感がある。得点力ある大島、坂田の2トップ、J屈指の攻撃的MF山瀬を軸にした攻撃ライン、後方を中澤と松田が締める守備ライン。マリノスはいずれのチームをも破る戦闘能力を確保していると言えるだろう。
 いささか個人的な戯言、吉田、山瀬は代表でも十分使えるタレントだと思う。吉田はボールの引き出しとスペースメークが得意で、得点能力も高い。山瀬は最近でこそ配球も巧みになったが、元々は羽生同様豊富な活動量と裏へ抜けるタイミングがよい選手。パスを出すタレントが豊富な今の代表だが、MFの前方でボールを引き出すタレントとして2人共面白い存在だと思う。山瀬はオシム爺さんがチーム結成時に召集されていたのだが、どのような評価なのだろうか。
 また小宮山も人材不足気味の左DFのタレントとして興味深い。とにかくボールを持った時のふてぶてしさがよい。課題は強力な攻撃タレントとの守備面での応対能力か。加地、駒野と大きく差を付けられた感のある隼磨と共に奮闘を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
山瀬はオシム爺さん好みの選手だと思うんですけどねぇ

1.最初の時にベンチでの態度がよっぽど悪かった
2.怪我持ちだから代表のハードスケジュールに耐えられないと考えている
のどちらかじゃないでしょうか?
羽生の離脱で今回呼ばれたら2. 呼ばれなければ1. と予想w 
Posted by at 2007年08月16日 04:33
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