2025年12月31日

2025年10大ニュース

1.ブラジルに勝った
 ブラジル代表に真っ向勝負を挑み、堂々と勝ち切った。
 1960年代、東京五輪に向け、日本は西ドイツのクラマー氏を招き、組織的な強化を行なった。以降も、多くの選手や指導者が西ドイツに渡り、多くを学んできた。言うまでもなく、メキシコ五輪銅メダルや、奥寺康彦や長谷部誠のブンデスリーガでの活躍は、それら一連の活動の典型的成功例である。そして、2022年W杯、さらに23年の親善試合でドイツに2連勝したのは記憶に新しい。
 一方で、1970年代より「ブラジルに学ぶ」と言う文化が日本サッカーには根付いていた。ネルソン吉村、セルジオ越後と言った日系ブラジル人の来日、JSLに登場した多くのブラジル人タレント。近江達氏、井田勝通氏などの先駆的指導者たち。まあ毀誉褒貶はありますが、納谷宣雄氏のような独特のブラジルコネクションと、ご子息の三浦カズ。来日したジーコが教えてくれたプロフェッショナリズムや勝利への執念。ドゥンガやジョルジーニョに代表される世界最高級選手のプレイや振る舞い。ラモスや闘莉王などのブラジル生まれの帰化選手の代表での献身。一方で、日本代表は、ブラジルに代表される中南米諸国を苦手としていた。いわゆる個人技で必ずしも優位に立つことができないため、強みを発揮しづらく、欧州やアフリカ勢と比較して相性が悪かったのだ。
 このブラジル線では、前半やはり個人能力差から0-2とリードされたが、後半序盤のハードなプレスから敵のミスを誘引し南野が先制。その後起用した伊東純也が、堂安との巧みなコンビネーションから抜け出し決定的なクロスを上げ、中村敬斗と上田綺世の連続弾で逆転。そのまま押し切った。堂安、純也が個人能力で上回り、ブラジルに勝つことができた。歴史的勝利だった。
 ホームの有利さ、先方は外国人監督を招聘してのチーム作り途上、控えメンバーが多いなど、幸運もあったのは間違いない。しかし、日本戦の直前にブラジルはソウルで韓国に5-0で完勝している。また、日本も冨安、板倉、遠藤航、守田、三苫など多くのスターを欠いていた。誇ってよい勝利だった。
 W杯本大会、2次ラウンド初戦でブラジルと当たる可能性もある。そうなったら、やはり相当難しい試合にはなるだろう。しかし、勝つ可能性が十二分にあることを、私たちは完全に理解している。

2.鹿島アントラーズ久々のJ制覇
 鹿島アントラーズの国内タイトル獲得が9年ぶりと言うのは少々驚きだった。毎シーズンリーグ戦でも上位につけていたし、2018年にはアジアチャンピオンズリーグも制していたからだろうか。
 今年のチームは、鈴木優磨、植田、三竿健斗、小川など欧州から復帰した選手、知念、レオセアラ、小池らJで実績あるタレント、そして荒木、松村ら他クラブへのレンタルで経験を積んだ生え抜きの人材を、フロンターレで実績を上げた鬼木監督がバランスよく配置。GK早川、植田を軸にした守備の安定と、鈴木を軸にした攻撃が機能、特に試合終盤に再三得点を決めるなどの、勝負強さが目立った。
 もう1つ、最近の国内のトップ高校生が直接欧州に移籍してしまう事案が増えていることに対し、ユース強化を実践。プレミア制覇を含めた3冠王を獲得したのも注目に値する。

3.町田ゼルビア天皇杯制覇
 昨シーズンJ1に昇格し、堂々と上位進出に成功した町田ゼルビア。今シーズン天皇杯を制覇、ついに初タイトルを獲得した。
 有力IT企業が積極的な出資を行い、ドラミ相馬や中山などの海外からの復帰選手、望月ヘンリーや林などの有力な若手をしっかり獲得、黒田監督の指導よく順調な強化が進んでいる。天皇杯決勝では、ドラミがヴィッセルのベテラン酒井高徳をズタズタにして快勝、時代の流れを感じさせるほどだった。
 ただ、このクラブは先日より議論されているロケーションが大変な競技場問題、パワハラ問題を抱えている。前者については以前も語ったので割愛。後者は先日のJ当局の発表に対する町田の対応を見ている限りでは、町田というクラブの当事者能力が疑われる事態にも思えてくる。最近の事案なので、どうこうは語らないが、非常に心配だ。

4.水戸ホーリーホックのJ1昇格
 四半世紀に渡りJ2で奮闘していた水戸ホーリーホックがJ1昇格を決めた。比較的経営規模の小さなクラブに大きな勇気を与えることとなった。
 組織的な守備も見事だったが、何よりすばらしかったのがベテラン渡邉新太と若きスター齋藤俊輔の2トップ。シーズン初めは「大分の渡邉が水戸に移ったのか」くらいの印象だったが、格段のボールキープとシャープなシュートで水戸の連勝を支えた。よいFWが格段のストライカーに化けた感があった。そして、齋藤は正に大化け、U20W杯でも活躍したが、いったんスピードが落ちてから急加速で相手を抜きされるのが強み。まあ齋藤については、仙台サポーターとしては、ユアテックで3人抜きの強烈な一撃にやられた印象が強いのですが。早く欧州に行ってください。
 とは言え、このクラブは、若手の育成では定評があり、最近は早期からの出場機会が得られるとの評価が定着、加入を希望する学生選手が多いと聞く。実際、古くは闘莉王、最近では前田大然など、優秀な若手の登竜門的なチーム作りが奏功したということか。
 J1での戦いは決して楽ではなく、何より競技場問題の解決など課題も多いが、まずはJ1での奮闘を期待したい。

5.浦和レッズ世界へ挑戦、川崎フロンターレアジア王者にあと一歩
 クラブW杯、アジアチャンピオンズリーグエリート、いずれも怪しげな大会フォーマットはさておき、主催側は真剣な金儲けの場としての充実を検討しており、この流れは変わらないだろう。日本のクラブにとって厳しいのは、リーグ戦とのバランスをとりながらの日程の厳しさだ。「日程が厳しいのは欧州トップリーグのクラブも同じ」と言う向きもいるかもしれないが、彼らと比較して経営規模の小さな日本のクラブは、欧州各クラブのように潤沢な予算から分厚い選手層を揃えるのが難しい。
 レッズは、リーベル、インテル、モンテレイに3連敗したわけだが、もう少し準備の期間があり各選手の体調が揃えられていたら結果は随分異なるものになっていたように思える。ただし、さすがレッズサポーター、その存在感は世界中から感嘆されたようだ。もっとも、サポーターの方々は自分たちが褒められても、勝敗が芳しくなかったのだから、嬉しくもないだろうが。
 フロンターレは、最近の中東特有の異常で不公平な日程にやられた。アルナスルに快勝した準決勝から、中2日での決勝アルアリ戦はどうしようもなかった。もちろん、相手も強かったのだが、決勝では明らかに体調が整っていない選手もいたし、さらに前半での三浦の負傷が痛かった。
 アジア、世界で日本のクラブが勝つためには、経営規模拡大以上に、日程を何とかしなければ、との思いを強くする2大会だった。

6.夏夏、年またぎ制のJリーグ開始
 いよいよ来年より、年またぎ制のJリーグが始まる。このシーズン制変更で、わずかながら日程的な余裕ができて、アジアや世界の戦いが楽になるようならばよいのだが、J1を20チームに増やしたため、あまり余裕が作れるようには思えない。特に日本海側の雪国のチームでなくても、冬期の夜は寒いので、ナイトゲームは難しそうで、結局消化できなかった試合を、強引に4〜6月に消化するしかなさそう。加えて、最近は夏期の暑さ、雷、豪雨などが激しくなってきており、試合の消化が厳しくなってきているので、リーグ終盤の6月に中止を余儀なくされることがなければよいのだが。
 不思議なのは、数年の準備期間があったにもかかわらず、Jリーグ当局が具体的な準備を何もしていないように見受けられること。意思決定が行われた際は、雪国のクラブに何がしかのサポートが行われるような報道があった記憶があるのだが。まあ、試してみて改善をはかっていくしかないのだろう。

7.ジェフユナイテッド千葉のJ1復活
 ジェフ千葉がJ1復活を決めた。ジェフというクラブは、前身の古河と合わせ、JSL、Jリーグを通して44年にわたり1部リーグの地位を維持してきた名門中の名門。そのジェフがとうとう降格した16年前2009年の衝撃は中々だった。しかし、古河電工、JR東日本としっかりした株主企業があり、降格が決まった際には、まさか16シーズンにわたり昇格できないなど、誰も予想しなかったのではないか。
 このクラブは、1986-87年シーズンに前身の古河電工が、岡田武史、宮内聡、永井良和らを軸にアジアクラブ選手権(今日のACLEの前身)を制覇している。これは日本サッカー界が初めて獲得した全アジアの大会でのタイトルだった。また、2000年代半ばに、イビチャ・オシム氏の指導の下、全選手がハードワークを行いながら、狭い領域で素早いパスを回し、前線に次々と選手が飛び出す攻撃的なチームを作ったが、これも印象的なチームだった。約40年前と20年前に、このクラブが披露したサッカーは、今日世界のいずれの国とも互角に戦うに至った日本サッカー界の発展に大きく貢献するものだった。
 果たして、この名門クラブは、首都圏屈指の球技専用競技場を舞台にどのようなサッカーを見せてくれるだろうか。

8.横浜マリノスのJ1残留
 J1序盤に最下位に沈み、ACLEでの疲労もあって不振を極めていた横浜マリノス。マリノス関係者を含め、多くの人がJ2降格を予想したのではないか。J2以下を経験していないJクラブは今のところ、マリノスとアントラーズのみ、とうとうその一角が崩れるのか、との印象が強かった。
 ところが、このクラブは夏以降、大胆に選手を入れ替え、大島監督の下に大逆襲。最終盤を待たずに残留を決めた。従来とは異なるボール回しを軸とするサッカーを切り替え、選手を集めるだけでなく、大胆に放出したあたりもさすがだった。とにかく、恐れ入りました。

9.競技場建設が各地で話題になる
 サンフレッチェ広島は今シーズン、ルヴァン杯を制覇した。サンフレッチェは、過去どちらかと言うと、経営規模は必ずしも大きくなく、育成の巧みさで上位を維持していた印象がある。ところが、最近は経営規模も相当大きくなっている。その一つの要因は、市街地中央部に作られた競技場が常に大入りになっていることが挙げられる。サンフレッチェをはじめ、ガンバ、サンガ、Vファーレンなどの比較的最近作られた競技場が刺激となり、多くのクラブが新たな球技専用競技場の構想をはじめている。
 今なお、多くのJクラブは、国体用などに作られた陸上競技場をホームグラウンドとしているケースが多い。贅沢を言ってはキリがないが、これらの競技場は、屋根がない、交通が不便(試合終了後駐車場が大渋滞する)、ゴール裏が低くて遠く試合がよく見えない、などの致命的な欠点を持っている。観客動員増はもちろん、
 山形では建設がはじまっている(ただし、出資を予定していた企業がモンテディオの経営から外れ、状況が流動化しているが)し、岡山や秋田では、議論が具体的になっているようだ。頭が痛いことに、この国は少子化や長年続いたデフレの影響もあり、サッカーのような娯楽投資に否定的な人も多い。また、昔からサッカー界は、野球界と異なり、公費を使う図々しさに欠けるところもある(笑)。もちろん、長崎のようにすべてが民間投資で競技場(長崎の場合はホテルやショッピングセンターもついているが)を建ててしまうケースもあるが、多くのケースでは、ある程度の税金の協力が必要だろう。
 そのためには、日本中のサッカー人は、サッカーを含めた娯楽、賑わいの楽しさを、しっかりと関係者に説明し続ける必要があるのは間違いない。

10.釜本邦茂逝去
 ブラジル線の上田綺世の決勝点を釜本さんに見せたかった。「ワシなら、その前のバーに当てたやつで決めていた」とおっしゃるかな。
posted by 武藤文雄 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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