ジュニアユース代表は、ナイジェリアに完敗した後、フランスにも敗れ、3位抜けも得失点差で叶わず、1次リーグ敗退となった。ナイジェリアに対しては(果敢な戦い振りはさておき)ちょっとどうしようもない印象があったが、フランスとは十分やれていた。しかし、柿谷のあの「ミラクル」があってなお、短い時間帯で逆転されたのだから、言い訳の余地はなく完敗と言うしかないだろう(たまたま「魔の時間帯」で2失点したのは確かだが、全体の流れから言ったら2失点はやむ無し、と言う展開ではあったのだから)。ちょっと悔しいのは、グループリーグが3位でもベスト16に残れる可能性があったため、2点差にされるのが最悪の事態となるために、試合終盤に強引な無理攻めができなかった事か。また、何とかしたい試合終盤に、柿谷と水沼の2人共がピッチにいないのも残念と言えば残念。
しかし、未だベンチプレスすらしていそうに見えない貧弱な上半身しかしていない、我らが若者達が技巧と判断で、フランスとナイジェリアと堂々と戦っただけで、現時点では十分かと言う気もする。追いつくのは不可能かもしれないが、フィジカルの差はこれからの鍛錬でいくらでも詰まるはず。したがい問題になるのは、技巧と判断なのだ。
「勝てなかった」事よりも、「つなげなかった」、「逃げのロングボールを蹴ってしまった」、「仕掛けるべき時に仕掛けなかった」と言う事を、1人1人がどれだけ反省できるか。先の長い戦いは継続する。まずは2年後のワールドユースが愉しみである。
ともあれ、ちょっと水沼親子について。
1978年、翌年の第2回ワールドユースを目指して強化を進める松本育夫監督率いる日本ユース代表は、バングラデシュで行なわれたアジアユース大会に出場した。この大会の上位2国が翌年日本で開催されるワールドユースに出場できる。もちろん、日本は地元なのでこの大会の成績はどうあれ、ワールドユース出場権があるのは言うまでもない。
そのアジアユース。水沼貴史は高校3年生で日本の中心選手として出場した。最終ラインには柳下正明(浜名高→東農大)、水沼と同じ浦和南高の田中真二。水沼と一緒に中盤を構成したのが、半年前の高校選手権の準決勝で浦和南の3連覇の野望を打ち砕いた四日市中央工業高出身の樋口士郎(当時本田技研)、さらに全国的には全く無名の存在だった仙台向山高の鈴木淳(まだ高校2年生だった)。最前線には、尾崎加寿夫、さらには直前のインターハイで大活躍した関塚隆などがいた。
前年の77年イラン大会では、金田喜稔、木村和司、山本正邦らのメンバで、準決勝進出を果たしていた日本(もし、この準決勝でイランに勝っていれば、第1回ワールドユース大会に出場できていたのだが)。このバングラデシュでの大会は、直前に行なっていた欧州遠征の内容もよかった事もあり、それなりの好成績が期待されていた。
しかし、大会に入って日本のプレイは低調。日本は敢え無く1次リーグで敗退する。
その後、日本は約1年間、徹底した強化を継続し、79年のワールドユースに臨むが、2分け1敗でグループリーグ敗退。再び日本がワールドユースに登場するのは、94年の予選を勝ち抜いた95年大会の16年後となる(この時の中心選手は田中誠、松田直樹、奥大介、中田英寿など)。
この親子は、共に高校3年生で日の丸を背負い苦闘を演じてくれた訳だ。水沼貴史が出場していたのはアジアユース大会。一方水沼宏太が出場したのは1世代下ながら世界大会であるワールドジュニアユースだけれども。
若い選手に過剰な期待をかけるのは適切ではない事を理解しているつもりだ。しかし、右サイド下がり目からの突破と味のあるクロス、敵陣前でのふてぶてしさ、ハイスピードのパスに対するボレーキックの巧さなど、親父殿を思い起こさずにはいられないプレイ振り。そう考えると、ついつい、この若者だけには大きな期待をしたくなってしまうのだが。
2007年08月28日
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この大会、タジキスタン以外のアジアのチームが、厳しいグループに入れられていますね。特に日本は、出場が決まった時から「恐らく相当厳しいグループに入れてくるんじゃないかなぁ」と思っていましたが、案の定…。17歳という年齢では、身体能力で大変大きな差が出てしまい、日本にとっては難しい戦いを強いられる黒人選手のチームが見事に3つ並びましたね(笑)。例えハイチに勝ったとしても、破壊力のあるナイジェリア、フランスに、勝つだけでなく大量点を日本から獲って頂き、勝ち点3でも得失点差で及ばず敗退…。そんなシナリオが最初に組分けを見たときに思い浮かびました。まぁその通りになってしまったのは何とも悔しいのですがね。1年前のアジアユースでの日本と柿谷君(笑)を見せられたら、ストレスを感じてしまうのも無理無いかなぁと。ホスト国として、日本よりは戦いやすかったはずの韓国の今大会の惨状を見ると、尚の事そう思います。タジキスタンの入ったグループの緩さには笑いますが、タジキスタンなら例え勝ちあがっても元々はアジアじゃなくてソ連だった国ですから面目は保てると見たのかも知れませんね。それでも柿谷君などは「らしさ」を見せてくれたのが救いでしたし、これからも彼等に、夢を見つづけたいと思います。
まだ体もできていない10代の選手が必死に走っている姿を見て
大成を望むのは云々・・・ボディアングルが悪く云々・・・視野の取り方が云々と
したり顔で批判を書き込める大人がいるとは信じられません。
個性を見守り育てなければ日本の将来を担う若い世代が成長することはできません。
絶望的に力の差を感じたナイジェリア戦でも水沼は走り、戦っていると私は感じました。
技巧に問題があって当たり前の世代が、体格差も承知の上で知恵を振り絞って
走れなくなるまで世界と戦っている姿に将来の光を感じたように思いました。
この人の書き込みを見て日本の将来は大丈夫なのかと不安になりました。
批判がしたいのであればこの世代の試合の観戦は遠慮して頂きたい。
久しぶりに気分が悪くなる書き込みを見て反応してしまい申し訳ありません。
これからも武藤さんの講釈楽しみにしています。汚い書き込みをお許し下さい。
怪我でもしてたのかな?