高円宮の決勝を観に行く計画もあったのだが、諸事情で叶わず、1日自宅に滞在。結果的に朝から様々な競技の映像を愉しむ1日になってしまった。
まず大リーグのヤンキース−インディアンス。
既に2敗してもう後がないヤンキースが、序盤0−3とリードを許す大苦戦。このまま松井のシーズンもオシマイかと思っていたら、そう単純ではなかった。
松井は、まず3回に内野安打で出塁しチャンスを作って、そのままホームを踏む。続く5回もレフト前安打で出塁し、後続が続いてまた得点。引き続き、3ランホームランが出て逆転。さらに6回には1死2、3塁で敬遠され、続くバッタの右前安打を右翼手がタイムリエラーで1塁から長躯ホームイン。3得点を挙げ、勝利に貢献した。膝の負傷は相当悪いらしくDHでの起用だったが、貢献度は相当高かった。
大リーグの試合を丁寧に観るのは珍しいのだが、6回松井が敬遠される直前の場面は無死1、2塁で代打が起用され見え見えのバントを行なうのは興味深かった。やはり大リーグでも、バントすべき場面は同じなのだなと。終盤5点差のヤンキースが継投をどうすべきかも、明日以降の試合を見据えなければならないので、また複雑。「大リーグは日本と異なり細かい野球をしない」と言うのは間違いなのを再確認できた。
続いて高円宮杯決勝。
序盤から流通経済大柏が運動量で圧倒する。トップの小柄な大前の素早い動き出しに呼応して3人から4人が同サイドに一斉に飛び出す動きが面白い。サッカーのセオリーは、ピッチ全体を広く使い敵DFを分散させる事だが、流通経済大柏のやり方は全く逆。狭いエリアに3、4人が飛び出し、その範囲で数的優位を作り、強く精度の高いパスをトップに当てて崩しを狙う。サンフレッチェの守備は4DFのラインディフェンスだが、68mのピッチの左右全面を4人で真面目にカバーしようとするので、局所的に必ず数的不利ができる。このような局所サッカーを狙う場合、運動量やパスの精度が狂うとどうしようもなくなるものだが、流通経済大柏はこのやり方70分過ぎまで押し切ってしまった。
サンフレッチェは2つの対処法があったと思う。流通経済大柏のサイドバックの押し上げは、ちゃんとMF陣が見張る事ができていたので、両サイドバックはタッチライン沿いに拘泥せず、中央に絞りこんでしまってよかったのではないか。そうすれば、あれだけ数的優位を作られる事はなかったと思う。あるいは、流通経済大柏のハイペースが90分間続くとは考えづらいので、3DFか何かに切替えスイーパを置いた布陣で我慢をするとか。
しかし、サンフレッチェは奇策で対応する事なく、通常のラインディフェンスで我慢を継続した。流通経済大柏が攻め疲れするまで0点で押えられればよかったが、あれだけ攻められればいつかミスが出る。失点場面は明らかにGK原のミス。(流通経済大柏から見て)左サイドを大前がえぐり低いセンタリング、詰めてくるFWはいなかったので、DF篠原に任せればよかったのだが、無理に取りに行ってしまった。篠原は篠原で原の無謀な飛び出しを無視して、さっさとタッチにクリアすればよかったのだが、原の声が耳に入ったのだろう遠慮?してボールに触れなかった。結果的に2人ともボールに触れず(触らず)ボールは中央に流れ、全くフリーの小島が流し込んだ。
さすがにその後は流通経済大柏も運動量が落ちてきたが、逆にサンフレッチェは守り疲れが出てしまったのか、攻め手がないまま時間がどんどん経過してしまう。それならば、パワープレイに出るとか、中盤の選手を代えて運動量を増やすとかすればよいのだが、そのままのメンバで戦いを継続。終盤、立て続けに3人交代を使ったが、流通経済大柏の守備を脅かす事はほとんどなくタイムアップ。
戦闘能力差から、試合前優位が伝えられたサンフレッチェだが、守備も攻撃も何か杓子定規に終始し、結果的に何もできずに90分を終えてしまった感が強かった。言い換えれば、大ベテランの本田監督と、まだ若い森山監督の差が出た試合と言えるのかもしれない。
また大前は素晴らしい選手だと思ったが、年齢別の代表には選ばれないのだろうか。少なくとも、これだけのタレントをJリーグが必要としない程、日本サッカー界は選手層が厚いとは思えないのだが。
そして、夕刻にはラグビーワールドカップ、イングランド−豪州戦。
9年前にブラジル−ノルウェー戦を愉しんだマルセイユのヴェロドロームスタジアム。
まあ両軍のラックでのボールキープの巧い事。日本のラグビーと、これらのトップレベルの差は、フィジカルよりもラックで体勢が崩れた際のボールキープ能力(つまりボール扱いの巧さ)にあると、あらためて確信した。
豪州の方が、ボールを持った時に変化をつける事のできる選手や、突破に工夫できる選手が多かったように思える。しかし、イングランドは豪州ラックがボールキープしている時、とにかくラフプレイやオフサイドを起こさぬように、ひたすら我慢し続けた。結果的に微妙な判定のペナルティの獲得に成功し、豪州を振り切ってしまった。
トップレベルのラグビーを見る度に、しっかりしたボールキープ、我慢を重ねる守備、貴重なセットプレイを得点につなげる、とサッカーとの類似性を感じる事ができるものだ。
と、テレビ桟敷でサッカーを含めた各種競技を堪能できた体育の日であった。
2007年10月08日
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