選手時代から、落合は好きな選手だった。知性と技巧が融合したバッティングは、野球の素人でも「見事なものだな」とわかりやすかった。晩年のジャイアンツ時代「チームが苦しくなった場面」で投手に一声かけるタイミングが絶妙だったが、試合の流れを完璧に把握しているが故なのがよく理解できた。
ドラゴンズの監督として、抜群の実績を挙げているのは間違いないところだったが、このチームの伝統?か、どうしても日本選手権では勝ち切れずにいた。
で、素人の疑問なのですよ。もちろん、山井の交代についてです。
「あそこまで完璧だった山井(マメがどうしたとかを含めて)」より「押えの切り札岩瀬」の方が、押える確率は自明なほど高いのだろうか。
自明なほど高いなら、落合采配は当然だろう。野次馬が論評するのは自由だが、「日本一」のためにそのような采配をするのは当然の事だろう。
でも、私にはその「自明さ」がよく理解できない。94年にジャイアンツの槙原が完全試合を達成した直後のTVでのインタビューで「今日は投げていて全く打たれる気がしなかった」と言う趣旨の発言をしていた。おそらく完全試合を実現するような時は、投手は体調調整や技術のバランスが完璧にはたらいているのだろう。
そう考えると、「山井をそのまま投げさせた方が、ドラゴンズの勝利の確率は高かった」ように思うのですが、違うのだろうか。
ともあれ、あそこで完璧に押えた岩瀬が凄いのは確かだがね。
2007年11月05日
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岩瀬という男はそれは中日ファンには絶対的なんだそうです。
岩瀬をルーキーの頃から今に至る過程を見続けた中日ファンならあの采配には納得であり、
岩瀬という存在を置き去りにしてあれやこれや議論されているのは心外でもあると、
その方はおっしゃってたそうです。
とってもいい文章だったんで原文そのまま紹介したいところだったんですが。
贔屓クラブの動向に一喜一憂する人間なら誰もが頷くであろう意見だと、私は思います。
コメント欄の増え方が楽しみです。
さて、一人のドラゴンズファンの立場からすると、
確率の高さは十分に自明と言って良いかと思います。
それよりもなによりも、落合監督自身が所謂「温情采配」で
去年の日本シリーズはじめ何度も痛い目にあっています。
なので、今年のクライマックスシリーズから日本シリーズに至る
短期決戦に徹した落合監督の「ポリシー」からすると、
今回の決断は十分にロジカルなものです。
ただ、その一度決めたポリシーを確認するための「踏み絵」が、
あまりにもあまりにも大きすぎたことは皮肉なものです。
あるいは今回の采配の可否は、歴史が決めるのではと思います。
今回の「踏み絵」をきっかけに、ドラゴンズが日本一を何度も取るようになれば、
何十年か後に賞賛をもって語られるでしょう。
逆に、これで山井投手がクサって活躍できず、
チームの成績も振るわなければ、非難を受けても仕方がありません。
ちなみに、20年近く前に高卒初登板でノーヒットノーランを
達成した投手がドラゴンズにいましたが、
残念ながらその後の活躍は期待ほどではありませんでしたね。
1.第5戦目。ナゴヤドームでの最終戦。
2.通算成績は3勝1敗。
3.得点は1−0。
4.この試合を落とすとあと2戦はアウェイ・札幌ドームで2連戦・・・。
この状況下「この試合を落とすと3勝4敗で負ける可能性がある」と落合監督は考えたのではないでしょうか?
そして、@昨年1勝4敗でシリーズを落としている、A50年以上日本一になっていない、という事実と B岩瀬への信頼感=岩瀬の方が抑える可能性が高い を考慮に入れ、「山井交代」となったと思います。(昨年日本シリーズを取っていたら「山井続投」だったと思います。)
また、もしかしたら落合監督は「最後は岩瀬」と戦前から決めていたのかも知れません。
小生も人後に落ちない中日ファンですが、個人的には山井の完全試合を見たかったと思っています。岩瀬はNTT東海から逆指名で中日に入団した時から応援していますし、「岩瀬で優勝」の場面を見られたのは非常にうれしいですが、今回の交代は「夢」がなかったと思います。
当然もう彼には9回へのモチベーションはないのです。
監督は代えざるをえないでしょう。
ベンチで清々しい表情で応援にまわっていた山井の様子を見るにつけても、
やはり彼が申し出て、
監督はやむを得ず交代を決めたのだと思います。
落合監督は人の気持ちを第一に考える監督です。
岩瀬が抑える確立は高いとしても100%では決してないのに、そのうえたったの1点差で非情な采配は絶対やらないと私は思います。
勝負は非情なものだと思うので、勝利を願っての采配はルール内なら何でもありと思います。監督はどんな采配でも胸を張っていい、と。でもその原因を選手に押し付けるのはちょっと…。記事が本当なら、求心力とか来シーズンに影響なきゃいいですが。
こんな説明ではいかがでしょうか。
山井はこの2年肩を傷めて活躍できておらず、完封経験もほとんどなく、9回にかかるプレッシャーは本人にとって未知の領域だった。
岩瀬は実績もあり、(川上憲伸が先発でないのなら)胴上げ投手になるにふさわしいとチームの誰もが認める選手。
落合監督は知っていた。
山井が「岩瀬さんに胴上げ投手になってほしい」と考える選手のひとりであることを。そして、岩瀬だけがそのプレッシャーに耐え、完全リレーで日本一を決める力がある投手であることを。
実績と、選手のメンタルの両方を熟知していたからこその継投策だった。
・・・うーん、押さえる確率=岩瀬>山井の説明にはなってないですね(笑)。
しかしその試合の結果は3−4のサヨナラ負けでした。
試合を決めたのは、当の落合博満。見事な逆転3ランでした。
完全試合などの記録が掛かった試合であっても1球で崩れてしまうのが野球の怖さです。
そういう面からすれば、やはり岩瀬でしょう。コントロールも良く、ホームランを打たれることも少ない。その前の日のピッチングはシーズン中とは違いパーフェクトなものでした。
ただ、それと「変えるべきかどうか」は別問題。僕はドラゴンズファンですが、山井の完全試合を見たかったですけどね。
乱暴な想像ですが、もしJリーグでこんなものがあったらどうでしょう。私はぞっとします。
どんだけチキンな選手なのよ、と思った。
プロの野球選手で、投手ならば誰もが夢見るような
大記録を、後アウト3つで達成出来る状況で、
抑える自信が無いから代えて欲しがるくらいならプロ辞めろと。
てゆうか、4回からマメを潰してて更に4回出来たなら
あと1回くらい抑えられたんじゃねぇの?
ホームランバッターが、実質セギノールだけで、なおかつ
彼には3人以内に回らない。
確かにチームの勝利、53年ぶりの日本一も重要かもしれないが
完全試合と優勝を同時に叶えられる確率があれだけ高いのに
勝利だけを目的に代える監督はどうなのよ。
全ての責任を自分自身に押しつけた落合監督の心意気を評価すべきでは。
だってこの交代で心ない罵声を浴びるのを(もし岩瀬が失敗したらなおのこと)承知して、あえて交代させる采配は、普通の監督だったら絶対にできないこと。シュートをしない日本人に無い心意気に喝采しましょうよ。
完全試合も見たかったのは確かなのですがね。それ以上の勇気ある采配をもっともっと評価しましょう。
全ての責任を自分自身に押しつけた落合監督の心意気を評価すべきでは。
だってこの交代で心ない罵声を浴びるのを(もし岩瀬が失敗したらなおのこと)承知して、あえて交代させる采配は、普通の監督だったら絶対にできないこと。シュートをしない日本人に無い心意気に喝采しましょうよ。
完全試合も見たかったのは確かなのですがね。それ以上の勇気ある采配をもっともっと評価しましょう。
ギリギリのところでプレーする際に心身が直面する極限状況を知り尽くした、過去の伝説的プレーヤーである監督がくだした決断、という意味で両者は共通していると思うのです。
QBKで終わってしまった柳沢のせいでジーコの選択は忘れ去られているような気がしますが。
骨折明けの柳沢を選出して落ちたのは佐藤寿では?
ま、いいや。
ある意味Jの2シーズン制がそれに該当するのでは?
クライマックスシリーズほど酷くはないかもしれませんが。
落合監督は天才的な打撃を誇った「打者」だということです。
野村(現楽天監督)は「ヒットの延長がホームラン」と言ったのに対して、落合は「ホームランの打ち損じがヒット」と言ったのは有名な話です。
落合監督は「打者」であるがゆえ、どんな投手でも突然打たれてもおかしくないと思っているのではないでしょうか。
もし2007年の中日監督が投手出身であったなら、例えば山井が「もう限界です。9回は岩瀬さんでお願いします。」と言ってきても叱咤激励して9回のマウンドに送り出したのではないか、と思います。
落合監督と投手コーチ、山井投手の間にどんな会話があったのか知る由もありませんが、何かしらネガティブな事を言ったので、交代させたでしょう。
落合監督は手に血マメができたまま、打者に投げた経験はないと思います。天才落合博満にそんなハンデを負ったまま、投げる投手を想像できなかったのではないでしょうか。
でなければ、タイトルマッチの権威など無いに等しい。
であれば、勝利した以上、落合監督の判断は正しかった、といわざるを得ないと思う。
だが、そう思いながらも、完全試合を見られなかった落胆も確かにある。
プロ野球とは、勝利だけを見せるものでは決してない。
人間が人間に感動する。野球観戦の目的をそう語った作家がいる。
無茶なことをする、非常識なことをする、驚愕することをする。
日常から解放された場所としてプロスポーツの舞台があるとするならば、あの場面は、最大の見せ場ではなかっただろうか?
成功していれば、観客は見たものを、あるいは敗戦の象徴として、あるいは勝利の象徴として、語り続けるだろう。
山井本人にとっては、ひどい言い方だが、おそらくは人生最良の瞬間となったであろう。
シリーズの流れはほぼ中日の手にあった。たとえ、あの試合を落としたとしても、十分に日本一になれただろう。
そう考えると、やはり、あそこは続投するべきだったのではないか?
だが、その謎に答えがでることは無い。
中日というチームは優しいチームだ。OBや生え抜き、功労者に対する扱いを見れば判る。
だが、常に名選手を擁しながら、中日が優勝できなかった理由は、その優しさゆえのゆるさだったのではないか。
それを落合監督が打ち破ることが出来たのは、今までの中日の空気とは異なる厳しさを持ち込んだためではないか。
思えば、幾たびか優勝をもたらした星野監督も厳しさを前面に出した監督であった。
しかし、星野は日本一になることが出来ず、落合は中日の呪いを打ち破り日本一をもたらした。
逆に考えると、中日ののろいを解くには、あのようなわが道を行ける存在だけでいいのではないのか?
いずれにせよ、2007年の日本シリーズ覇者は中日ドラゴンズ。
それだけは変わりのない事実として残り続ける。
Jリーグ史上最悪のマッチメイクは、やはり98年のJ1参入決定戦でしょう。
当時のJリーグをJ1・J2に分けるにあたり、Jリーグの下位4チームと当時JFLの川崎の計5チームが変則トーナメントのような形で戦い、3チームがJ1に参入できる大会。
この奇妙奇天烈なシステムにより、結果的にリーグ戦で最下位だった福岡(18位)と17位の神戸が参入戦で勝ち抜けたためJ2降格を免れました(J2降格は16位の札幌)。
更に、参入戦に出場するJの4チームは過去2年間のリーグ戦の成績により選ばれたため、当時J昇格1年目で1年分しかポイントが無い札幌がその年のリーグで年間14位だったにもかかわらず参入決定戦への出場を余儀なくされ最終的にJ2降格してしまいました。
大分昔の話になりましたが、思い返してみると今回のクライマックスシリーズより遥かに酷いルールです。
確か更に、仏WC予選出場によりJリーグの試合に参加出来ない選手がいるチームには、人数に応じた追加ポイントが与えられたような記憶が...
あのときはまあしょうがなかったかもしれません。札幌はかわいそうでしたが。
でも、こういうシチューションだと、落合監督の判断はサッカー的には当たり前ですね。サッカーなら優勝争いでも同じ気持ちになると思います。
サッカーと野球では背景となる価値観が大きく違うことに改めて気づかされます。
武藤さんがサッカー的な思考(勝利の確率)で岩瀬より山井と書いているのは承知しております。玉木とかやくみつるとかがしている"空気嫁"という批判に対する感想です。
想像ですが、落合監督は「完全試合間近の最終回に守っている野手のプレッシャー」も考慮したのではないでしょうか?
あと3アウトで日本一というただでさえ緊張する場面で、敵失による出塁も許されない状況に置かれた野手の心理は想像を絶するものが有ります。
緊張しているが為に生じるミスで出塁を許し、完全試合が無くなって気落ちした山井が突如崩れる、というシーンは充分有り得ますし、より安全を期するという意味で回の初めから岩瀬、という判断を下したのではないでしょうか?
個人的にはシリーズでの完全試合を見たかったですけどね。
9回のマウンドに立った岩瀬のプレッシャーは相当だったと思いますし、現に『人生で一番投げたくない状況』といったようなコメントを残しています。そういった状況においてでもキッチリ仕事をこなした岩瀬はさすがです。やはりその辺りが岩瀬が中日の絶対的なクローザーである所以であり、(逆説的ではありますが)あの交代に至ったのではないかと私は勝手に納得しております。
ところで上記の岩瀬の『投げたくなかった』発言を聞くとアジアカップのPK戦を思い出します。
と無理矢理サッカーの話題に持っていくのはズルいですかね?
押し迫ったあの状況でそこまで考えたかな?と私は疑問ですが、実績や怪我というそれ以前の山井を思えば、岩瀬という選択は現実的には当然かと。
完全試合はロマンですから。
もちろん、スポーツからロマンが失われたらお仕舞いだ!ってのも一理あるし、それはもう立場や思い入れ、競技に対する哲学の違いとしか言いようがない。
さしづめサッカーなら、勝つためにファンタジックなプレーが皆無だとしたら?ってところでしょうか。
「落合やっちゃったよー!」と大笑いして観れたから、良しとしたい気分ですね。
いつでも限りなく完璧に抑える岩瀬と、
あの試合だけはどーゆーわけか物凄かった山井を比べるのは難しいですよ。
送りバントを失敗した後にホームランを打って怒られる打者っーのを思い浮かべたけど、
完全試合要らないから、ただ0点に抑えてくれた方がチームでは評価されたのではないかなぁ。
こーゆー投球ができるならシーズン中にやれ!と、小言を言われてる気がしますね。
53年間優勝が無いだけに、落合自身も2度負けているだけに「勝ち急いだ」とは見れない?
今まで良かった流れを一度リセットしたわけだから。
さすがの岩瀬で、あそこをキッチリ抑えたのはいくら賞賛しても足りないけど、
山井で打たれて落とすより、岩瀬で打たれて落とすとそのダメージは計り知れず。
落合だったら、そうしたリスクは頭に無かったんだろうか?
50年優勝してない重要なカップ戦のH&Aのホーム第1戦、自チームの中堅GKが大当たりで好セーブ連発のままPK(があるとして)を迎えたが、外国人枠の都合で控えにはヤシンがいる・・っていうような状況ですかね。
武藤さんが監督でしたら、どちらを選ばれますか?
もうそれだけで確実に球史に残るよ。
これから日本シリーズのたびに、この晴れの舞台で完全試合を達成した男として、毎年語り継がれ、思い出してもらえただろうに。
そのチャンスを棒に振った山井。
つくづくもったいないことをしたよ。
監督のせいなのか、本人のせいなのかは知らないが。
山井というピッチャーは、ある時イキナリ崩れたりすることがあります。
今まで完璧だったとしても、その”ある時”が来る可能性もあるんです。
岩瀬というピッチャーは、その”ある時”がほとんどありません。
本人が調子が良いと言ってる時は尚更。
「1本」ヒット打たれたら替えれば良いって意見を時々見ますが、
「走者無し」の救援と「走者有り」の救援とを比べたら、後者の方が
圧倒的に難しいです。。。
しかも、ランナーが居るということは、HRが出たら逆転!
日ハムにHRを打てるバッターがいないという話しですが、
プロなんだから、確率的には有り得ない話しでは無いんです!(変な代打以外)
と考えると、岩瀬への交代は必然だったのではないかと思う次第です。