2007年11月22日

五輪代表北京出場決定

 このような試合については、「出場決定」直後にまずは興奮して歓喜を文章にしておかないと、どうにも書きづらい。書くタイミングを逸してしまったため、結果的にひたすら辛口の評論のみになってしまう。

 正直言って、私は前半途中半ばで予選敗退を覚悟した。
 このような思いを抱いたのは、93年のドーハイラク戦1−1に追いつかれた以降もイラクの猛攻にさらされ続けた時以来だった。
 97年のジョホールバル、岡野の決勝点直前の、アリ・ダエイの一撃がバーを掠めた際は、まだ豪州戦が残っていた。ジーコ時代にもっと苦しい試合はいくらでもあったが、ワールドカップ予選が煮詰まった試合では、非常質が高い試合を見せてくれた。シャーラムでサウジの猛攻を川口田中誠が凌いでいた時は、リードはしていたし、負けてももう1試合残っていた。国立アテネ予選でレバノンに追いつかれた時は、大久保がすぐに問題を解決してくれた。
 青山敏のクリアで事なきを得た大ピンチ(詳細は別途)があった事が問題ではなく、後方の選手が全く押し上げないプレイ振りにあきれたのだ。
 押され気味だった日本、散発的ながら逆襲を行なう。ところが、その逆襲時に攻め上がるのは、2トップの李、岡崎、トップ下の柏木、そしてサイドMFの本田圭と水野のどちらか1人だけ。サウジの攻撃選手が3人程度しか残っていないのに、どうして日本は6人が後方に待機しなければならないのか。イタリア風の少人数速攻と言えば聞こえがよいが、残念ながら日本の若者達はイタリア代表選手と異なり、素早く戻るサウジ守備ラインを4人だけで破るほどの技巧と判断の冴えは持っていない。
 押上げが薄いと、攻め切れないのみならず、こぼれ球を簡単に拾われ、また押し込まれる事になる。さすがに後方に6人残っているから、逆襲速攻はされる危険はないかもしれない。しかし、簡単に中盤でボールを拾われ、完全に中盤を制されてしまう。そしてボランチ、サイドバック、サイドMFで3対2(2のうち1は本田圭と水野と守備力に課題のある選手)を作られ、攻撃を継続される。試合直前にも予想したが、サウジは前半から仕掛けてきただけに、非常によくない試合展開となった。
 もちろん、水本、青山直の後方に伊野波を配し、さらに最後尾に西川がいるのだから、そうは危ない場面を作られる事はないのだが、あのような試合を続ければ、90分のうちいつかは崩される場面を作られてもおかしくない。
 無失点で終わってよい試合であり、しかも戦闘能力ではこちらが優位にあり、さらに先方は移動と慣れない寒い気候なのだから、思い切り引いて守備的な試合をするのは1つの作戦だろう。それを否定するつもりはない。しかし、そうだとしたら本田圭と水野を両翼に配するのは何故なのだ。それならば内田をなり上田だろう。いや、このような試合をするならば、谷口や小椋や河本をメンバに入れておけば、水本や細貝をサイドに回す事も可能になるのだが。そのような選手選考を拒絶しながら、どうしてこのような試合展開を行なうのか。そして、あそこまで引かずとも守備的な試合をする事は十分に可能なはずではないか。
 繰り返すが、これほど暗澹たる気持になる代表戦は、本当に久しぶりだった。もう負けると思った。

 後半になり試合展開は一変した。
 後方の選手が押し上げるようになり、「しっかりとボールを保持する守備的な試合」となった。これなら大丈夫だ。
 本田圭と水野の運動量の少なさは気に入らなかったが、青山敏が前方に出て、細貝との上下関係が明確になり(青山敏は敵地ベトナム戦で守備的ボランチとしても機能したな、大変器用なよい選手だな)、展開も速くなる。さらに3DFとFWの距離も短くなったので、こぼれ球の支配率も高まる。後半半ば以降はさすがにサウジに疲労が顕著になり、危ない場面を作られる可能性もどんどんと減っていった。サウジは交代選手を使い、次第に攻撃的に切り替えるが、しっかりと押し上げ適切にボールを回すサッカーをする日本は、ほとんど危なげなかった。唯一、後半半ば伊野波がボール処理を誤り敵FWに裏を取られ掛けた場面が危なくなりそうだったが、水本が完璧に読み切った。
 複数回の決定機を掴みながら決めきれず、敵はノーチャンス。0−0のまま引き分けでよい、と言う状況で75分まで経過。どのように試合を締めるか、非常に難しい展開になったが、日本の選手達は冷静だった。80分過ぎまではしっかりとボールをキープ、以降は敵コーナフラッグ近辺でのボールキープを交え、完全なクローズ体制となった。細かな贅沢を言えば、コーナフラッグのキープは柏木、水野のテクニシャンだけではなく、李のような肉体派も参加すべきだとか、89分、90分には水野→内田、本田圭→上田または小林と言う交代で時間をつぶすべき(ロスタイムに内田?がスタンバイしたようだったが、あれでは遅過ぎる、反町がテンぱってしまうのは仕方がないので、ここは井原がしっかりしなければいけない)とか、小さな不満はあったけれど、
 終盤、サウジはパワープレイに持ち込もうとしたが、適切なラインが作られ、西川と青山直がいる状況では、好機すら掴めずに試合終了。

 前半の恐怖感との落差があっただけに、またかつての予選突破とは異なる歓喜を味わう事ができた。
 前半ほど激怒した試合は珍しいし、後半ほど選手と一体になれた試合もまた珍しい。最悪の前半、完璧な後半、この落差は一体何だったのだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:45| Comment(3) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最低限の目標は達せられたが…。
反町では本選は期待できない…それが感想。
Posted by u at 2007年11月23日 22:44
ロスタイムに交代準備してたのは森島のようですね。
http://www.jsgoal.jp/news/00057000/00057471.html
(聖火台近くからはよく見えませんでした)
反町さんも井原さんも動くの遅すぎ。あれじゃ時間稼ぎになりませんよね。

でもともかく、出場できることになってよかったよかった。
Posted by at 2007年11月23日 22:54
本当はきっと、前半攻撃的に行って先制点を取り、絶対有利の体勢に持っていきたかった。だからこその本田と水野だったんだろうと思っています。
向こうも必死になって先制点を奪いに来たため、両サイドの守備のお粗末さが表に顕れて、ああいう展開の原因になったのだと言う感じで見ていました。
しかし、今回のように前半の戦いをきちんと分析して、短いハーフタイムでチームを修正することができるのだから反町監督は良い監督だと感じました。
ここまで来たら全て彼に任せるのが一番良いのでしょう。
Posted by fujioka at 2007年11月24日 00:41
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