2007年11月25日

終戦2007

 無限に長いと錯覚させる52節を戦うJ2もあと2節。
 試合は0−0のままロスタイムを迎えようとしていた。コンサドーレが勝ち点88(今日は試合なし)、ヴェルディが勝ち点85でリード中(しかも得失点差は圧倒的にヴェルディが有利)。そして直接に戦っているサンガは勝ち点82、そしてベガルタは勝ち点80。事実上、上位2位に入れる可能性は潰えつつあった。となると、サンガとの3位争いと言う事になる。となれば、試合終了間際、強引な無理攻めを仕掛けるしかない。
 そして、ベガルタの猛攻を、サンガのGK平井、CB角田、森岡が必死にしのぐ試合終盤。サンガペナルティエリア直前で、選手同士が交錯。ベガルタの選手がファウルをアピールするが、主審はプレイオンと判断。サンガの石井(数シーズン前にベガルタを解雇された)が逆襲速攻を試みる。そして左サイドから逆サイドに展開。右からの渡邉大剛?のクロスが逆サイドに降られると、そこには全くのフリーの石井が。人数は足りていたベガルタ守備陣だが、試合終了間際の逆襲、左右に大きく振られたところでマークを再確認する余裕はなかった。まさかの失点。
 その後もあきらめず、攻撃を仕掛けるベガルタ。最後はCKにGK林までが攻撃参加したが実らなかった。かくして、残り1試合で3位サンガと勝ち点5差。

 終戦。

 限界ギリギリまで戦いながら、力及ばなかったと言う試合だった。
 何かこう、今シーズンを象徴するような試合だった。双方ともに煮詰まった終盤戦ゆえに、ややもすると蹴り合いに近い試合ではあった。それでも勝たなければならないベガルタは、よく攻め込んだ。しかし、攻撃に変化が僅かに足りず、崩しきれなかった。萬代の不在(警告累積による出場停止)は痛かったが、一方でこの日起用された選手達も皆見事な程に戦ったのだから、現在のチーム力の限界と言うものだろう。
 もちろん、シーズンを振り返れば、「あの試合で勝ち点を拾っていれば」と言う思いを抱く試合は無数にある。でも、それはいずれのチームでも同じ事。繰り返すが、現状のチーム力の限界だったのだ。

 もっとも、今期を振り返れば、ブランメル時代を含め、最も充実したシーズンだったようにも思える。既存の選手(外国人はロペスのみ残留)に、永井、田之上、ジョニウソンと言う効果的な補強、望月新監督はボールを丁寧に高速につなぐ創造的なサッカーを指向。シーズン半ばに林(シュナイダーの負傷への対応とも言えるが)、岡山、ファビーニョと言う役に立ち経験がある選手を追加補強。上下動はあったが、我慢を重ね、丹念にJ1を目指した。
 紛れもなく、将来を見越してよく戦ったシーズンと言えるだろう。このようなシーズンを繰り返せば、近い将来には、J1にも復帰できるだろう。さらには、J1でもそこそこに勝てるチームも作れるだろう。いやいつかは、J1でも上位に進出できるだろう。と、将来の発展を期待できるシーズンだった事は間違いない。
 しかし、それでも昇格できなかった事から目を背けてはいけない。

 一方で、今期のように評価すべきシーズンに昇格を失敗すると、改めて未来永劫年末の11月や12月には、毎期このような「失望の快感」を味わい続けるような気もしてくる。実際、J1に昇格した01年シーズンや、J1に残留した02年シーズン以外には、毎年末に「失望の快感」を味わっている。そして、上記のように過去を振り返ると最も充実したと思えるシーズンだった今期も、また「失望の快感」なのだから、もうこれからは脱却できないような心境にもなってくるのだ。
 そして、このような「失望の快感」に慣れている自分が嫌だ。嫌なのは嫌なのだが、こうやって飲んだくれていると、どうにもこの感覚に浸り切ってしまうのだよな。修行はまだまだ続くと言う事か。
posted by 武藤文雄 at 23:58| Comment(7) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
現場で見て参りました。

本当にあと一歩でした。決定力、守備力とも本当にあと少しの所で昇格に足りなかった。
外人FWが当たりだったら・・、と何度も思わされる11月でした。

とは言えこのサッカーを来年も続けられれば昇格は濃厚だと思います。
ゴタゴタが起きないで、いいムードのまま来年を迎えたいですね。
Posted by ちん at 2007年11月26日 00:12
大剛で正解です。
これだけの好ゲームをやってのけるチームでも
3位争いになってしまうとは。
J2がいかに難しく、そしておもしろいか、
残酷な話ですね。
01年はロスタイムで決められ
07年はロスタイムで決めて、
運命のいたずらとはまさにこのことなのか?
秋田のセレモニーまでスタジアムに残ったサポさんもいたようでお疲れ様でした。
次はJ1でやりましょう。
Posted by 京都サポ at 2007年11月26日 00:15
本当に残念でしたね。J1の降格も含め、毎年この時期は悲しいことが起こりますね。来年こそは!!
Posted by ソウコ at 2007年11月26日 09:01
お疲れ様でした...今年のJ2のレベルは間違いなく去年より高かったと思います(うちのチーム、今年でなくて本当に良かった...)。

う〜ん、他人事ながら、今回の仙台はいけると思っていたのですが。
補強はいろんな意味でツボだったかに思えたのですが、後半戦は攻撃がもうひとつ、だったでしょうか(ただ、最後は守備でやっちゃいましたが)。

去年から見て、いいチームになってきているっていうトレンドは変わっていないと思います。来年はまた甲府という、少ない手駒で勝つやり方を知っているチームが来ますので、また大変なシーズンになるかとも思いますが、頑張ってください。お待ちしております。
Posted by sillywalk at 2007年11月26日 10:38
同じ悔しさでも博多の森で入れ替え戦進出を逃した時のような悔しさとは違うすっきりとした悔しさをお土産に帰仙しました。今はこのチームでこの選手たちとあと1試合しかできないという寂しさでいっぱいです。本当にいいチームになりました。

来シーズンに向けてこの土台を無駄にすることだけは絶対にして欲しくないと強く思います。
Posted by RuI at 2007年11月26日 12:36
昇格への長い戦いが一段落しましたねぇ〜

早くも来期も望月体制かって話が出ていますし
(社長が言ってましたし)いかに今期を継続させ
られるかって所が重要になってきそうですね。

確かに失望の快感はありましたけども、来期への
希望も同時にある事は確か…
(毎年あるんですけど似たような感情は(笑))

しかしどうせ失望の快感を味わうのであれば
やはり入れ替え戦という珠玉の戦いにて味わい
たかったなっていう気持ちも(笑)
Posted by 近会 at 2007年11月26日 12:42
スタジアム到着と同時に気づきました。そういえば冬の西京極アウェイは逆光がきついからグラサンかキャップが必要だったのだと。
「このままドローか。仕方あるまい」と気持ちを収めかけた後半ロスタイム、逆光の彼方の反対側ゴール裏が沸き上がるのが見えてしまいました。

来季はどういう体制になるのかわかりませんが、個人的にはいつものようなジェットコースターのようなシーズンオフではなく、来季に向けてじっくりと心と体を練っていくような時間が欲しいなとは思います。

ここに来て札幌3位の可能性さえ出てきましたね。来季はどこがJ2にいてくれて、どこがJ1に行ってくれたらいいのか、エゴイスティックに考察中です。
Posted by かわうそさん at 2007年11月26日 19:31
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